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77.ぜんぜん平気よ。耐えることには慣れてるもの

名前:スカル・ファイター

レベル:6

種族:スカル・ファイター(進化条件 レベル20)

ステージ:2

体量値:D 魔量値:F 力:D 速度:E

魔力:F 守備:F 魔抵:G 技量:F 運:E


総合ランク:E+




名前:スカル・マジシャン

レベル:8

種族:スカル・マジシャン(進化条件 レベル20)

ステージ:2

体量値:F 魔量値:D 力:G 速度:G

魔力:D 守備:F 魔抵:G 技量:F 運:E


総合ランク:E+




名前:スカル・ライダー

レベル:3

種族:スカル・ライダー(進化条件 レベル20)

ステージ:3

体量値:E 魔量値:E 力:D 速度:F

魔力:D 守備:E 魔抵:G 技量:E 運:E


総合ランク:D-




名前:スカル・ワイバーン

レベル:9

種族:スカル・ワイバーン(進化条件 レベル20)

ステージ:3

体量値:D 魔量値:E 力:D 速度:D

魔力:D 守備:D 魔抵:G 技量:E 運:E


総合ランク:D




 ハローハロー、こちらオル子、ただいま大絶賛ガイコツハーレムフィーバーですよ!

 ご覧ください、前もガイコツ、横もガイコツ、空も溢れかえるほどのガイコツです! どいつもこいつも私のハートを射止めんと群がってきます! かー! 辛いわー! モテる女っていうのはこういう時辛いわー! かー!


「……などと言ってる場合ではないい! ぬおおおお!」


 敵が近づいてくる前に、私は一気に前に出てガイコツどもに突貫!

 ボーっとしてたらガイコツどもがササラたちの元へたどり着いちゃう! ターゲットを私に集中させて意識を逸らさせるのよ!

 私の体当たりによって、ガイコツどもは一気に五体バラバラにはじけ飛ぶ。むふー! 流石ガイコツ、守りは大したことないわね! この調子で一気に……


「飛んで火にいる夏の虫。お馬鹿さあん」

「な、なぬう!?」


 前に出た私を待っていたとばかりに、後衛に控えていたスカル・マジシャンどもの杖が赤く光る。

 そして、杖の先から放たれるのはファイヤーボール。一つどころじゃない、何十という火球が私目がけて発射。ぬ、ぬわああ! 回避回避いいいい!

 ヒレをバタバタさせて、必死に上空にあがると、そこにはスカル・ライダーとスカル・ワイバーンがこんにちは。あらまあ、ドラゴンの骨だなんて素敵な武器素材になりそう……じゃなくて!


『グァアアアア!』

「ほぎゃああ! ブレス、ブレスがー!」


 空に逃げた私を狙って、骨トカゲたちから一気に闇ブレスが吐き出された。ぬおお! 地味に痛い! なんかオル子さんの美肌がチリチリするんですけど!

 お返しとばかりに尻尾アタックで二組のワイバーン・ライダーセットをぶっ殺して、慌ててクレアのもとへ。


「クレア、ポチ丸! 敵の攻撃が地味にちくちく痛いんですけど! あのガイコツども、みんな攻撃力や魔力が最低でもDはあるから、ずっと貰い続けると厄介よ!」

「主殿、ミュラに避難の指示を。これだけの数ともなれば、混戦は必至。ササラやミリィ、エルザの母君を守りながら戦っては後手に回ることになります」

「うにゅ……でも、空も森も敵でいっぱいよ? 私たちで道を切り開く?」

「馬鹿、あのチビ助には変身能力があるだろうがよ。クレアに変身させて『転移『瞬』』を使わせろ」


 あ、そっか。ミュラにはその手があるんだっけ。

 アルエドルナの『浸食世界ポイズン・テリトリー』という技でウィッチの里の守りが解かれているなら、一気に転移できるのよね。


「それなら、私たちも一緒にウィッチの里まで下がった方がよくない? エルザたちに合流できるし」

「全員で移動すれば、嬉々として『森王』は魔物全てを里に投入してくるだろうが。奴が俺たちの前に現れるとき、気配を感じなかったところを見るに、恐らく奴もクレアの転移と似たようなスキルをもってやがるからな」

「恐らく、この異常を察知したエルザたちが今頃ウィッチ族を『館内』へと避難させているはずです。今、里の中にこの数の魔物に攻められては、少なからず死者がでるでしょう」

「それは困るぬー! ウィッチの里には一人の死者も出してはならんのですよ!」

「チビ助たちを転移させて、ヤツがここに残ればそれでよし。もしチビ助を追うようなら、仕方ねえが俺たちもクレアのスキルで転移して対処するだけだ」


 うぬ、ちょっと賭けになるけれど、アルエドルナがミュラやウィッチの里ではなく私を意識してもらうように仕向けるしかないわ。

 作戦を了承し、私はミュラに声を上げる。


「ミュラ! クレアになって転移して頂戴!」


 偽オルコビームでガイコツを撃ち続けていたミュラは、こくりと頷いてクレアに変身。

 そして、『転移『瞬』』を使用して一気に離脱。それを眺めていたアルエドルナ目がけて、オル子さん発進!

 うおおお! 魔法やブレスが飛んでくるけど、ここは強引にいけええ! 痛い痛い痛い! でもみんなを守るために我慢じゃあああ!


「小娘が無様に逃げちゃったかしら。もはやこの森は私の領域テリトリー、どこに逃げてもすぐに魔物だらけになるわ。それに居場所なんて、すぐに感知できるというのに無駄なことを……あら」


 空に浮かぶ金髪ロールの顔面目がけてがぶりんちょ! 私のピカピカの白い歯は虚空を切ってガチンと重なる。アルエドルナは一瞬で私の後方へと移動していたわ。

 ぬう、ポチ丸の読み通り、こいつ、クレアと同じ瞬間移動の使い手! だけど、この空振りは織り込み済みよ! 大事なのは、意識をミュラではなく私に向けることだもん! 挑発挑発う! ヘイト稼ぎターイム!


「避けるなんてつれないわね? その首から上を噛み千切って挿げ替えてやろうかと思ったのだけれど。アディムの寵愛を受けられず、その娘に八つ当たりすることでしか感情を消化できない醜い女の顔なんて必要ないでしょう? その顔を直視しなければならない鏡が可哀想だもの」

「……醜い? この私が醜いですって?」

「ええ、それはそれは見苦しいことこの上ないわね。魔物の美しさとは、その在り方によって決まるもの。強さを追い求め、どこまでも戦いに身を投じた『海王』。死してなおアディムに忠誠を誓い続けた『山王』……私の殺した『王』はどいつもこいつも手強く、その在り方には美しさがあり、敬意すらすら感じたわ」


 一呼吸入れ、私はわざとらしく大きく息を吐き出す。これ大事! 他人を虚仮にするとき、このタメが大事なんですよ! ここテストに出ますよ!

 どこまでも傲慢にアルエドルナを見下しながら、私は嗤って言い切る。


「けれど、お前はとんだ期待外れね、『森王』。欲した男を手に入れられなかった腹いせを、その娘に行うことで解消しようとする。ああ、実に魔物らしく己の欲望に忠実な在り方だけれどね――そんな卑屈で矮小な存在に、この『王』たる私が消せるものか。何もかもが小さいのよ、お前は」

「うふ、うふふっ――躯ども、まずはその魚を殺しなさい。目障りだわ」


 やっほほーい! ヘイト稼ぎ成功! 散々の暴言ごめんち! 殺した後、オル子さんお気に入りコスパ最高の化粧水をあげるから許してね! 元の世界に戻ったら仏壇にでも捧げるわ!

 しかし、逆上して直接襲ってくるかと期待したけれど、やっぱり自ら手を下すつもりはないみたいね。

 私に一撃いれられかけたことで、周囲にスカル・ワイバーンどもを多数配備して堅牢な守りにシフトしてる。

 どうやら私がこれまで戦ってきたグラファンやアヴェルトハイゼンとは完全に異なるタイプの魔物みたいだけど……


「さてさて、どうしましょうかね……っと!」


 空中で旋回し、追ってきていた骨竜たち目がけて一直線にオル子ファイナルタックル!

 一匹二匹三匹四匹! まるで団子に串を刺すかのごとく、次々と敵をバラバラに。ほほほ! 力Sは伊達じゃなくてよ!

 だけど、体当たりを終えて体勢を整えようとしたときを狙って、火弾と闇のブレスがまとめて私に。あばばばば! 痛い熱い痛い熱いひぎぃ!

 もがきながら敵をヒレビンタで粉砕しつつ、私は距離を取ろうとするけれど、すぐにスカル・ワイバーンの群れが追ってくる。


「むぐぐ、敵は一撃で倒せるけど、数が多過ぎて処理が追い付かぬうう……攻撃後、動きが止まったところを集中攻撃されるから、無傷という訳にもいかないし……」


 一匹一匹は雑魚なんだけど、それがまとめて攻撃してくるんだからたまらない。しかも相手はガイコツ、死なんて恐れずにかかってくるから迷いがない訳で。

 うむう……参ったな。私のステータスって、強敵とぶつかり合うには適してるんだけど、こういう雑魚の群れを掃討するのに向いてないのよね。

 『ブリーチング・クラッシュ』も『冥府の宴』もどちらかというと、敵一体に深刻なダメージを与えるタイプで、雑魚を片付ける技じゃないし。

 逆にエルザは広域破壊が得意で、そんなエルザと異世界でずっと一緒だったからこそ、この欠点に今まで全然気づかなかったんだけど……いなくなって分かるエルザの大切さだわ。

 うむ、私にはエルザが必要なんですよ! もう二度と離れないよ! 一生エルザに寄生して生きていきまふ!


「とにかく今はミュラがエルザたちを連れて戻るまで粘るしか! ほあたあ! 愛のヒレビンタ! 喜びのヒレビンタ! 汝の隣人をヒレビンタ!」


 襲いくる骨バーンの首をビンタでぶっとばし、ライダーの体を叩き落とし。

 ふっ、これぞ私にとって一番隙のない最小モーションアタック、ヒレビンタ! 力Sランクから繰り出されるビンタは伊達じゃないわ!

 とにかく、クレアは空を飛べないし、上の敵は私がなんとかするしかないかな。

 陸でもクレアがガイコツ戦士の群れを相手に頑張ってくれてるんだもん。もし、クレアが危ないようならそっちに援護を……


「はあああ! 『剣閃『蒼』』! その程度で主殿の一の剣たる私を止められるか! 技を借りるぞ、ポチ丸! 『ワイルド・ワン』!」

『クハハハッ! いいぞ、たまんねえな! おら、お前ばかり楽しんでねえで俺にもやらせろや!』

「うむ! 剣化解除および『サカマタ・フェイカー』、オルトロス創造! 存分に暴れるがいい、ポチ丸!」

「言われずとも! カハハ! 試させてもらうぜ、『オルカ化』の力とやらをよ!」


 ……うん、援護、必要ないみたいね。

 何あのクレア無双。剣技で次々とガイコツどもが台風に巻き込まれたように吹き飛んでるんですけど。

 周囲に密集した敵には『剣閃『蒼』』でまとめ切り、離れた敵には『ワイルド・ワン』で狙い撃ち。状況を見てポチ丸を分離して、サカマタ・フェイカー一本で戦ったり二刀流したり。隙が無さすぎる。

 なんだろう、クレア、ちょっと無敵過ぎじゃない? 敵の攻撃はひょいひょい避けて、カウンターの必殺必殺必殺。シミュレーションRPGの剣士か何か?


 お供ポメルーのポチ丸の働きも凄いわ。あんな小さい体のタックルなのに、ガイコツ戦士が次々に吹き飛んでるし。

 敵の攻撃もひょいひょい避けて、即座に噛み付いたり体当たりしたり。グラファン時代から戦い巧者だったけど、犬になっても変わらないじゃない。反則でしょ、あのコンビ。


 でもこれはチャンスでもあるわ。縦横無尽に暴れまわる二人のおかげで、ガイコツ魔法使いのターゲットが私とクレア、ポチ丸にうまいことばらけ始めたわ。

 さっきまでは私を殺すことに全力だったせいで避けられなかったけど、密度さえ下がれば恐るるに足らず! さあ、反撃といきましょうか! どっせい!


「尻尾ビンタにヒレビンタ! もひとつおまけにボディプレス! 意味はないけど、とりあえず跳ねまわる! 立てば芍薬座れば牡丹! 泳ぐ姿は百合の花! 華麗なる令嬢のダンスをとくと味わいなさい!」


 とにかく動きを止めないこと、隙の生まれそうな大技を使わないことを心掛け、私はスカル・ワイバーンどもを次々に叩き潰していく。

 ぬふう、見える、見えるわ! 敵の動き、ブレスや魔法の軌道が手に取るように分かる! 伊達に『海王』や『山王』との死線を潜り抜けちゃいないのよ! 勉強以外において学習能力に定評のあるオル子さんを舐めちゃいけないわ!

 いくら雑魚をけしかけようと、この程度じゃ私は止められないのよ! この程度なら『海王降臨』や『山王降臨』を使うまでもないでしょう! 対『森王』に備えて温存よ!


 とにかく今は少しでも力を温存して、エルザたちとの合流までの時間を稼がないと。

 いくら敵が数を少しずつ増やしても、限度だってあるでしょうし、こうして減らしていけばいつかは打ち止めに……


「あらあらあら。駄目でしょう? 躾のなっていない愚物にきちんと絶望の意味を教えてあげないとね――『輪廻回廊リーイン・メイズ』、目覚めなさいな」

「ほむ? リンスインシャンプーとな……って、うおおおおい!?」


 パチンと立て巻きロールが指を鳴らした刹那、大地に散らばった骨たちに紫の光が宿り、まるで何事もなかったかのように立ち上がり、次々に再生していく。嘘でしょおおお!?

 呆然とする私たちに、アルエドルナはけらけらと笑って語り掛けてくる。


「うふふ、そうよ、その顔が見たかったのよ。必死になって数を減らしていたみたいだけど、ざんねーん。こいつらに死なんて存在しないわ。だって、何度倒れようと私が甦らせちゃうんだもの。私の生み出した『浸食世界ポイズン・テリトリー』において、躯どもに終わりなんて存在しないの。つまり、お前たちが力尽きるまでこいつらは止まらないのよ」


 ひ、酷過ぎる……あんまりよお!

 確かにゲームとかで、取り巻きを蘇らせるボスとかいたけれども! リアルでされると、これほどまでに心にきちゃうものなのね……いかんですよ、これは! チートよくない! 断固抗議!

 さて、今まで倒した連中が軒並み甦り、さらに黒球からは未だにアンデッド軍団が量産され続けているこの状況。真面目にどうしよう、これ。

 陸も空も見渡す限り骨だらけ、酷い有様なんですけど……ええと、戦闘開始からやり直すのコマンド、どこ?



 

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