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75.ライバル令嬢の登場? 笑わせないで、蹴散らしてあげる

 



「進化先が二つあるな」


 ポチ丸の進化先、間違いなく正統進化とオルカ化の二種類だと思うけど、ちょっと気になるかも。

 ポメが普通に進化したら、いったい何になるのかしら。同じトイ・グループのシーズーとかキャバリアとか?


「進化先の名称は何て表記されてるの? オル子さん、気になります!」

「『ワイルド・ハウンド』と『フェロシャス・ポメラニオルカ』だな」


 つまりあれかしら。正統進化すると、ポチ丸だってちゃんと魔物犬として成長するということなのね。

 むしろ『オルカ化』しちゃうと、ポチ丸って一生ポメのまま終わるってことなんじゃ……ぬう、格好良く生きるか、愛玩ポメ人生を送るか。これは難問ね。

 むいむいとヒレを振って、ポチ丸に一応アドバイス。


「ポチ丸さんや、ポチ丸さんや」

「あ? なんだよ」

「多分、正統進化である『ワイルド・ハウンド』になると、ポチ丸の望む狼系になれると思うのですぞ。名前からして、猟犬っぽい格好良さがあるし。逆に『オルカ化』である『フェロシャス・ポメラニオルカ』にいっちゃうと下手すれば姿そのままの可能性も……」

「何言ってんだお前。俺が選ぶのは『オルカ化』一択だ。正統進化なんぞ興味ねえよ」

「マジで!?」


 このワンコ、迷うことなくポメ生涯を選びましたよ? 即答でしたよ!

 いくらなんでも、ポメラニアンの牙ではハーディンやイシュトスの喉笛を噛み切るなんて絶対不可能だと思うんですけども……


「初期ステータスから見て、この体は最下級の魔物だろう。その俺がこれからイシュトスやハーディンとの戦いについていくには、正統進化なんかしてても仕方ねえ。その点、オルカ化はステータスを引き上げ、破格のスキルを得ることができるからな。迷う理由なんて微塵もねえんだよ」

「ほむう……一度『ワイルド・ハウンド』に進化してから、『オルカ化』するって手もあるんじゃない?」

「『ワイルド・ハウンド』の先に『オルカ化』が表示されない可能性もないとは言えねえだろ。どっちにしろオルカ化するなら、早い方がいい。それに、お前が申し訳なく思うほど、俺はこの体を嫌っちゃいねえ。一度ぶっ殺されて、こうして生まれ変わったからこそ、見える景色だってあらあな」


 やだ、何このイケポメ。相変わらず発言と声だけは格好いいわ。

 まあ、ポチ丸がそれでいいなら問題ないんだけどね。ほら、私のドジでこんな体にしちゃったから、格好いい魔物の姿になりたいのかなって。うん、ちょっとだけ胸のしこりが取れたかも。


「クハハッ! それじゃ進化といこうじゃねえか!」

「うむ。ポチ丸、相棒としてお前の晴れ姿をとくと目に焼き付けよう」

「ああ、しっかりみてろや!」


 クレアの言葉にキャンキャンと吠えて、ぐるぐるその場を回り始めるポチ丸さん。飼い主に散歩を告げられたワンコか何か?

 愛玩動物状態のまま光に包まれ、進化タイムに突入。ポメであることは確定した以上、あとは大きくなるかどうかよ。ビッグ・ポメきちゃう!? 私が背中に乗れるくらいのポメかもん!


 光が収束し、そこから現れたニューポチ丸。

 大きさはこれまでと同じ、見た目も見事に白ポメのまま……うおい!? 何も見た目変わってないじゃん!? なんで!? 進化キャンセル!?

 困惑する私に、ポチ丸の口からその理由らしきものが飛び出してきた。


「進化できたんだが、変な警告が出やがった。『条件が『白い犬、ポチ丸』とロックされているので、名前や進化による姿の変更はできません』だってよ。なんだ、ロックって?」

「何それ意味不明なんですけど。どゆこと?」


 つまり、ポチ丸は何らかの理由で『白い犬』って条件から外れられないってこと?

 オルカ化したら、みんなの衣装みたいに白黒まだら模様になるかと思ってたんだけど……ロック、ロックねえ。つまり、ポチ丸は『白い犬』としていなきゃいけない強制力でも……白い犬? 強制力?

 その瞬間、ふと私の脳裏を過ったのは、ポチ丸が誕生したときの海王城でのこと。

 あのとき、天使さんパワーで翡翠の涙結晶に私、なんてお願いしたっけ……ええと、確か、『白い犬を飼って名前はポチ丸と名付けて可愛がりたい』――や、やばっ! これどう考えても私のせいじゃん!


「すすす、姿なんて変わらなくてもいいとオル子さん思いますよ!? ぽ、ポチ丸は今のままでも十分素敵だし、見た目なんて関係ないと思うのよ!?」

「おい、オル子、お前なんで声が裏返ってんだ? どうしてポチ丸から視線を逸らしてるんだ?」

「ななな、何を言うのかしらササラさん!? 私、何も隠してなんていませんことよ!? おほほほほ!」


 ササラのジト目を必死にかわして高笑い。言えぬ、姿が成長してないのは私のせいなどと言い出せぬ。

 ごめんねごめんね、天使さんに今度会えたら、私の人化とあわせてロック解除をお願いするからね。イケワンになるのはその機会にしましょう!

 冷や汗だらだらの私を他所に、ポチ丸さんは超上機嫌。ぴょんぴょんとジャンプし、周囲を駆け巡りながらご満悦。


「クハハハハッ! これが『オルカ化』かよ! 体中に力が満ち溢れてやがる!」

「おお、ポチ丸ってばご機嫌ね。ステータス見せてもらいまふよ? 識眼ほっぴーんぐ!」


 さてさて、ポチ丸さんはどれくらい強化されたのかな?

 元がG-だったもんね、総合ランクFになれたのかしら。この喜びようからして、まさかのE超え?




名前:ポチ丸

レベル:10

種族:フェロシャス・ポメラニオルカ(進化条件 レベル20)

ステージ:2

体量値:D(F→D) 魔量値:E(G→E) 力:D(F→D) 速度:C(F→C)

魔力:E(G→E) 守備:F(G→F) 魔抵:F(G→F) 技量:C(G→C) 運:E(G→E)


総合ランク:D-(G-→D-)




「うおおおおい!? ステータス上がり過ぎでしょこれ!?」


 思わず絶叫ツッコミしちゃったじゃないの。それくらい上昇率が酷い。

 エルザとかミュラも上昇率半端じゃなかったけど、ポチ丸は二人を遥かに引き離してぶちぎりの成長率よ。

 他のみんなのステータスと比べちゃうと見劣りするかもしれないけれど、元がポメラニアンのほぼオールGと考えたら恐ろしい成長だわ。このステータスならその辺の魔物でも単独で倒せるレベルだもの。

 総合ランクに至っては、ひいふうみい……9段階上昇!? く、クレアを先に進化させてて正解だったわ! 下手すれば剣化できなくなるところだったもの!

 ポチ丸のステータスをクレアに伝えると、目を丸くして驚き、そして嬉しそうな表情。


「良かったな、ポチ丸。これならば街の周辺に生きる巨大タニシとの喧嘩にも負けまい」

「はっ、今となっては連中なんぞ眼中にねえよ。今の俺が戦ったらただの弱い者いじめになっちまうからな。俺は弱者に興味ねえんだよ!」

「やだ、このワンコ、タニシ相手にドヤ顔してる……少し前まで巨大タニシやカエルに弄ばれて、泥だらけで帰ってきてはメソメソしてたくせに」

「してねえよ!」


 でも、泥だらけに館を汚して、ルリカに晩御飯抜きを喰らった時のポチ丸はマジ泣きしてた気がするんですけども。

 何にせよ、ポチ丸が嬉しそうで何よりよ。これでポチ丸は名実ともに世界最強のポメラニアンになったという訳ね。全世界のポメ愛好家が大喜びしそう。


「しかし、ステージ3までは上昇しなかったのだな。レベルが41になっていたから、一気に駆け上がるかと思ったのだが」

「ステージ1と2ではレベル上昇に必要な経験値が違うみたいだからな。ステージ2における必要経験値に変換されたんだろうよ」

「新スキルは手に入ったの? 何か便利そうなのはありそう?」

「おうよ。なかなかに面白い能力をもらえたぜ?」


 そう言って、ポチ丸はゲットしたスキルを説明してくれる。手にしたスキルは全部で三種類。




・(オル子との絆)鯱の威を借る子犬(『オル子』および『オルカ化』した仲間の任意のスキル1つが使用可能となる。効果中、対象となった仲間はそのスキルは使用不可となる。効果途中、このスキルのキャンセルは不可。効果T120:魔量値消費(小)、ただし対象のスキル発動時には必要となる魔量値が消費される:CT150)


・ワイルド・ワン(単体:中:ダメージ2.0倍:力依存、魔量値消費(小):CT30)


・フリスビー・バック(単体:近:自身に付与されたバッドステータスを任意の敵に押し付ける:魔量値(小):CT60)




 ほほむほむほむ、これはまた癖のある能力だわ。

 『ワイルド・ワン』は中距離用の攻撃技ね。距離のある相手に当てられる技は貴重だし、ポチ丸としても嬉しいでしょう。

 『フリスビー・バック』はかなり使える技だと思う。これがあればアヴェルトハイゼンのドラグ・グラビティみたいなバッドステータスを逆手にとれる訳だもんね。

 状態異常無効化なうえ、敵にマイナスを押し付けるなんて地味にえぐいわ。


 そして、最後の『鯱の威を借る子犬』、これは判断が難しいわ。

 言うなれば、ミュラの変身のお手軽版って感じなのよね。敵のスキルは駄目だし、使えるスキルは一つだけだし、発動中の間、元の持ち主はそのスキルを使えない。でも、変身と違って一日一回の制限はないし、気軽に使えるのは魅力かも。

 ただ、ポチ丸が私の『冥府の宴』やエルザの『アビス・キャノン』を使っても、攻撃力や魔力不足でダメージが通らない心配もあるわ。

 もうちょっとポチ丸が強くなってから意味を成すスキルなのかな。そんなことを考えていると、クレアがポチ丸に問いかける。


「ポチ丸。それらのスキルは『剣化』している時も使えるのか?」

「クハッ――試してみるか?」


 クレアの問いかけに、ポチ丸がニヤリと悪そうな笑みを浮かべる。ぬぬ、これは悪戯をするワンコの顔だわ!

 オルトロス形態になり、クレアの手の中に納まるポチ丸。ほむ、どうやら『オルカ化』しても剣に変化はないみたいね。

 剣を握ったクレアの右肩に現れた剣霊ポチ丸。

 そして、私たちから距離を取り、二刀流で剣を構えたクレアが突然、大空へと超スピードで舞い上がり――勢いそのまま剣を大地に叩き付けて叫ぶ。


「はあああ! 『ブリーチング・クラッシュ!』」

「な、なんですとおおお!?」


 クレアの一撃は大地を抉り、その場に大きなクレーターを生み出した。

 な、なんてこと! それはまさしく使い勝手の悪さに定評のあるマイ奥義じゃないの! 

 二刀流状態では、クレアはスキルを使用できないはず! それなのに使えたということは、ポチ丸のスキルは剣状態でも使用可能ということなのね! ごいすー!


「どうやら剣化している際には、スキルの発動権や消費はポチ丸ではなく私になるようですね。『ワイルド・ワン』、『フリスビー・バック』および『鯱の威を借る子犬』使用可能というメッセージが流れましたので」

「ほええ、つまりスキルの使えない二刀流の状態でもポチ丸のスキルは使用可能ということなのね。クレアのスキルではないということで、サカマタ・フェイカーの例外ってことなのね」


 つまり、『オルカ化』したクレアとポチ丸が組むことで、その強さは三倍にも四倍にも膨れ上がっちゃうのね。

 この二人、相性良すぎでしょ? ガチでやったら『六王』側近クラスのソロ討伐なんてできるんじゃないの? あ、一人と一匹だからソロじゃないけども。


「本当は『海王降臨』でも使ってみるつもりだったんだが、流石に使用は不可能らしい。『降臨』系はこのスキルじゃ無理だな。ったく、そこのチビ助はとことん規格外って思い知らされるぜ」


 受肉ワンコに戻りながら、ポチ丸は私の頭の上のミュラを笑って見つめる。

 ミュラは私に変身すれば『海王降臨』も『山王降臨』も使えるからね。変身とレンタルじゃ、やっぱり違うってことなのかな。

 でも、それでも破格なスキルだわ。これならポチ丸の強さはもちろんのこと、クレアの強さに更なる上乗せがされるというものですよ!


「あと、チビ助のスキル全般もアウトだな。正式名称が分からないから駄目なのか、こいつのスキルが全て降臨系と同じくらい常識外の能力だから駄目なのかは分からんが」

「ふむう。ミュラの力は色々特別だもんね。なんてったって私の自慢の娘ですからね!」


 ミュラを頭に乗せてふんぞり返る私。おほほ! 愛しの娘が褒められてこそばゆいわ!

 褒められて嬉しいのか、ミュラも私の頭を乱打して喜びアピールよ! ほほほ! 照れ屋さんな娘ですのよ!

 まあ、何にせよクレアとポチ丸、二人が進化できてよかったよかった。切り込み隊長のクレアたちがこんなに強くなったんだもの、私たちの戦力大幅アップは間違いなしね。


「私とポチ丸は無事『オルカ化』できましたので、これからは主殿に合流してお手伝いをいたします。何をすればよいでしょうか?」

「えっと、それじゃ瀕死ギリギリまで弱らせた魔物をここまで運んでくれる? ミリィとササラのレベル上げ兼、肉塊を館の食材貯蓄用にとっておくからぬー」

「私がアイテム・ボックスに入れてちゃんと持ち帰ってあげるからねー」


 ポチ丸を抱っこして、エルザママがおっとり微笑む。

 あらま、いつのまにポチ丸を。私をナデナデしたり、可愛いモノに目がありませんこと。ポチ丸はジタバタもがいて逃げようとしてるけど。


「まだ魔物を解体するのかよ……俺は料理人でも何でもないんだけどな」

「やりますよ! ササラもカッコいい女になりたいでしょう! 『オルカ化』をはたし、魅惑のモデル体型を手に入れるのです! スリムでキュートなボディになれるわよ!」

「いや、スリムはどうかなあ……」


 ササラがぼそりととんでもないことを言う。こら、人のお腹を見てなんてこと言うの。

 シャチボディとしては十分スリムなのよ! わ、私ってばどれだけ食べても太らない体質だから……ほ、本当だよ!?


「太陽が落ちるまで時間はあるし、もうちょっと頑張りましょ。いっぱい働いた後のご飯はおいしいよ! おかわりだってしちゃうもんね!」

「きゅるくっくー!」

「はいはい、お前に付き合うって言っちまったからな。せいぜい頑張ることにするよ」


 ミリィとササラの快い承諾をもらい、レベル上げ再開よ。

 もう一度湖に飛び込み、エビやら魚やらを連れてこようとしていた――その時だった。


「――うふふ、みいつけた」

「……へ?」


 突然、湖に初めて聴く女性の声が響き渡る。

 いいえ、女性というには幼さが残り過ぎているかもしれない。どちらかというと、少女というような……ど、どこ!? どこにいるの!?

 戦闘力のないササラとエルザママを守るように構え、私と剣を抜いたクレアは周囲を見渡していく。ミュラも私から飛び降り、偽オル子に乗って戦闘準備済み。

 そんな私たちを見下ろすように、その少女は前触れもなく上空に現れた。え、ど、どうやって? 瞬間移動かなにか?


「あらあらあら? びっくりさせちゃった? 怯えさせちゃった? 怖がらせちゃった?」

「い、いつの間に……馬鹿な、私に気配を微塵も感じさせないなど」


 上空に現れたのは、予想通りの幼い少女。ミュラより少しだけ年上かしら。

 黄金の長髪を左右でロールに巻き、フリフリな紅ドレスを身に纏った、青い瞳が特徴的。ううん、まるでクラシック・お嬢様スタイル。お姫様と言っていいかも。

 一見ただの美少女、人間なんだけど……そんな女の子がフワフワと空に浮かんでる時点で、明らかに人間じゃない訳で。何あの嫌な予感ビンビンな魔物は。


「貴様、何者だ! ハーディンの配下か!」

「あら、あらあらあら。あんな若造の配下だなんて失礼しちゃう。あの子、顔だけはアディム同様好みだから、生首だけ残して大切に愛でてあげてもいいかな? 私、顔立ちの良い男は好きよ? 愛した男はみんな一人残らず殺して保管してあるの。私のモノ、みんな私のモノ、うふふ」

「なっ……」


 な、なんかとんでもない電波飛ばしまくってるううう! クレアが絶句しちゃってるうう!

 やばい、あれ絶対お近づきになっちゃ駄目なタイプだわ。私もイケメンは好きだけど、流石に死体なんぞ集めぬわ! 生きてハーレムしてこそ乙女の生き様というものよ!

 クレアがドン引きしている以上、私が対応しないと。ササラなんか本気で怖がってるし。仕方ないわね、ここはオル子さんがガツンと言ってやりますよ!


「どこの誰だか知らないが、自分語りならその辺の木にでもやってくれる? 私はお前になんか微塵も興味ないのよね」

「あら? あらあらあら? 最近『王』に成りたての分際で、随分と偉そうじゃない? 品のない魔物、知性も低そうだわ。なんだか馬鹿っぽい顔」


 だ、誰がバカじゃあ! オル子さんほど頭の良いシャチは地球でも存在しませんぞ! 分数の計算だって出来るんですよ!

 憤っていると、上空で私を見下している巻きロールが、スカートの端をつまんで挨拶。


「たとえ魚類が相手でも、同じ『六王』。たとえ品性が皆無の化け物でも、相応の礼儀を。はじめまして、新たな『山王』、そして『海王』さん。半信半疑だったけれど、無事出会えて何よりだわ」

「……同じ『六王』ですって? あなた、まさか――」


 私の言葉に、立て巻きロールがにっこり微笑んでその名を告げた。


「私の名はアルエドルナ――『森王』アルエドルナ。以後お見知りおきを……する必要はないかしらね? だってあなた、今日この場で死んじゃうんだもの」


 『森王』さん、にっこり笑ってオル子さんに死刑宣告。

 ああ、眩しいくらい、狂気に染まった美少女の笑顔だわ……というかね、こんなのおかしいよ。『森王』なんて私、なんも聞いてないですよ。

 何このフィールドマップでレベル上げしてたら雑魚に交じってボスが出たみたいなイベント。こんなの強制敗北待ったなしじゃないのよ。

 何しに来たのよ、あまりにも空気読めなさすぎでしょこいつ……ボスならボスらしく手順を踏んで、それなりの雰囲気を醸し出しながら登場しなさいよ。ぐぬう。


「いきなり死ぬとはご挨拶ね――その言葉、血反吐を吐いた後で後悔しても遅いわよ?」


 さて、『六王』なんだから、間違いなくアヴェルトハイゼンクラスの実力者であろう『森王』さん。

 彼女を前にして、エルザもいない、ルリカもいない。私の背後には戦う力のないササラやエルザママ……どうしよう、本気でヤバくない、これ?



 

 

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