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53.波乱万丈に生きたいわ。退屈なんてつまらないじゃない

 



 火山を目指して空の旅。頭の上のミュラも風が気持ちよさそうで何よりです。

 オル子号は仲間たちを乗せて今日も行く。風来のオル子のダンジョン巡り始まるよー。


「ミュラとルリカの進化を目指すのよね? この辺で適当に魔物を狩っていく? それとも火山についてから?」

「二人はあと一つ二つで進化だったわね。このまま真っ直ぐ進んでいれば、火山に到着する頃には進化できるでしょう」

「ほむ?」


 火山まで空を飛んでいれば、ミュラとルリカは進化できるの?

 まさか二人は移動するだけで経験値が手に入るというチートアイテムを所有していたりするのかしら。足はありませんがオル子さんも履いたりできますか?

 エルザの言葉の意味を理解できず、首を傾げていると、分かりやすく噛み砕いて説明してくれた。


「私たちはアルバ火山を目指して真っ直ぐに飛んでいるでしょう?」

「うにゅ」

「ラヴェル・ウイングの話では、アルバ火山から毎日のように飛竜が飛んできてはラヴァーレ渓谷を襲っていると言っていたのでしょう?」

「うむうむ」

「私たちはラヴァーレ渓谷から出発している。つまり――こんな風に、わざわざ敵を探す手間が省けるということよ」

「ほむ……ぬおおお!?」


 エルザが指さした空の向こうに視線を向けると、遥か彼方から飛竜の群れがバッサバッサと飛んできていた。

 ぐぬう、空中を移動中に敵襲とは卑怯なり! まるで馬車で移動する令嬢を襲う山賊のような連中め! ヒロインの窮地を救ってくれるナイト様はどこかな?


「なるほど。ラヴァーレ渓谷を襲おうとする飛竜を狩って二人の経験値を稼ぐつもりだったのだな」

「折角だもの、利用できるものはなんでも利用しないとね」

「エルザさんエルザさん! やばいんですけど! オル子さん、みんなを運ぶ籠を固定するためのロープ巻き付けてるから、体当たりも何もできないんですけど!」


 ヒレをジタバタと必死で振ってヤバいアピール。

 ぬおお、この状態で戦っちゃうとみんなが振り落とされて地面に真っ逆さまじゃないの!?

 かと言って私に出来る遠距離攻撃って混乱誘発用のコンフュ・エコロケーションくらいしかないし……あれ、この状況、私完全に封殺されてない? 

 ど、どうしよう!? こんな風に悩んでいる間にも、飛竜どもとの距離がドンドン詰まっていくし!

 ああでもない、こうでもないと悩む私に、エルザが微塵も動じることなく言い切る。


「あなたは特に何もしなくていいわ。力を温存しておきなさい」

「へ?」

「ミュラ、偽オル子を作成した後、私に変身して。クレアは偽オル子に騎乗して私の魔法の後に斬りこんで。ルリカは全員に水のヴェール、そして回復待機を」


 エルザの指示に、みんながテキパキと戦闘の準備を進める。あ、あれ、オル子さんは?

 杖を構え、みんなの準備が整ったのを確認し、エルザはぽつりと言葉を紡ぐ。


「いつもオル子に頼ってばかりだものね。たまには戦場で証明させてもらうわ。『海王』オル子の配下もまた、彼女と並び立つに相応しい魔物であると――ストックを全て解放、『アビスキャノン』」


 エルザのスキルが発動し、彼女の杖先からとんでもない太さのレーザービームが放たれた。

 いやいやいや、何この凶悪なごんぶとビーム!? こんなのロボットアニメでしかみたことないんですけど!?

 エルザの放った光の柱は、空の向こうの飛竜たちを一気に呑み込み、あっという間に半分近くも消滅させてしまった。た、大量殺傷兵器過ぎるでしょう!?

 ステージ3になって、魔力Sまで上がったのは知ってたけど、ここまでヤバい破壊力になるの!? スキルも併せてえぐすぎる! ウチの魔法少女、強過ぎるでしょう!


「やるな、エルザ。私も負けていられんか――ゆくぞ、ポチ丸よ! 主殿の道を阻害する愚かな飛竜どもを一匹残らず切り裂いてくれよう!」

『応よ! 所詮トカゲどもなんざ俺たちの敵じゃねえ。『山王』前の良い肩慣らしだぜ! カハハッ!』

『アイサレケイレイジョウ、オルコチャン! アイサレケイレイジョウ、オルコチャン!』


 剣霊ポチ丸を肩に乗せ、偽オル子の上に乗ったクレアが戦闘機の如く射出された。あれってミュラ以外も乗れたんだ。相変わらず私に全然似てないのがイラッとするんですけど!

 偽オル子が空を翔け、飛竜とすれ違いざまに一閃。たったの一太刀で竜の首が刎ねられていく。

 いや、クレアもやばいけど、ポチ丸剣の切れ味がヤバすぎる。オルトロスだっけ、全然名前負けしてないチート武器じゃないの。


 そんなクレアたちを援護するように、エルザと彼女に変化したミュラがサンダー・ブラスターやライトニング・フレアを叩き込みまくる。

 二人とも鬼火力過ぎるわ。ミュラは偽オル子の操作をしながらエルザの魔法を撃ちまくってるし、エルザは魔法を撃ちつつ、杖銃によるオルカ・ショットで並行して敵を撃ち殺してる。


 あまりに苛烈な攻撃で、飛竜は私に近づくなんて出来るわけがない。それどころか、恐ろしい速度で数を減らし続けている訳で。

 この光景に私は改めてみんなの凄さを実感する。

 あまりに圧倒的に飛竜を仕留めていくみんなに加え、回復と補助まで使いこなすルリカまでいるんだもの。これぞまさに仲間チートだわ!


「くふっ、にゅふふっ」

「何よ、気持ち悪い笑い方なんかして」


 やばい、なんか込み上げる嬉しさが抑えられないんですけど!

 こんなに凄い人たちが、私の傍に居てくれるんだもん。この広い異世界で出会えて友達になれたんだもん。みんなが一緒なら、なんだって出来る気になるじゃない!

 『山王』だか何だか知らないけれど、今なら誰が相手だろうと全然負ける気がしないわ。今の私ならトランプで大富豪をずっとキープし続けることだってできちゃう!


「みんなああ! 私と友達になってくれてありがとおおお! みんな大好きよおおお!」

「また唐突に恥ずかしいことを……子どもみたいに思ったことを何でも口にするんだから。相変わらず馬鹿ね」

「ふふっ、エルザが嬉しそうで何よりです」

「そこは私じゃなくてオル子にしておきなさいよ、いつもみたいに」

「この滾る恋の情熱をいかんせん! これはもう空飛ぶトカゲちゃんにぶつけるしかねえのです! コンフュ・エコロケーション! うおおお! コンフュ・エコロケーショーン!  感動をありがとおおおう! ボンバアアアアアアア!」


 とりあえず飛竜を手当たり次第に混乱させておきました。オル子さん唯一の遠距離攻撃を受け取ってね!


 戦い開始から十分も経たず、空飛ぶトカゲ50匹オーバーはみんなの力で見事に掃討されました。

 なんと圧倒的なのかしら! まさに神話の英雄たちにも勝るとも劣らぬ大活躍だわ!

 オル子さんに乗って無双する勇士たち、オルコー船のオルコナウタイとでも名付けましょう! 愛するみんなが強過ぎて申し訳にゃんこ!






・ステータス更新(レベルアップ一覧)


オル子:レベル2→3 (ステージ3)

エルザ:レベル2→3 (ステージ3)

ミュラ:レベル18→19 (ステージ2)

ルリカ:レベル19→20 (ステージ2)

クレア:レベル10→11 (ステージ3)


ポチ丸:レベル3→6 (ステージ1)



 

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