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8話

久しぶりの投稿です。

良かったら続きを読んでください。

よろしくお願いします。

「戦うしかないんだよね」

諦めたような表情を美羅依は柚耶に向けた。

これからどうして行けば良いのかわからない。けれど、目の前にいる彼が先を示してくれる。

そう信じることが今の自分にできることなのだと、思うことにした。



この世を守ることは自分の守りたい者を守ることになる。

何時の世も身近にいる者を守りたくて、唯一愛した人を失いたくなくて、必死にこの世を守ってきた。前世で彼女を突き放したのも彼女を魔の手から守りたかっただけなのに、彼女はこの世の犠牲になった。

魔の手に一度は堕ちた彼女はその罪悪感から封印の人柱になり、この世から姿を消した。

まさかこの世に転生できるとは思いもよらなかった。記憶を失くした彼女は五歳まで記憶を持っていたようだし、考えられるのは五歳の時にあったという襲撃事件が原因なのは言うまでもないこと。

今は記憶のない彼女が少し羨ましいし、どこか安心した。前世の忌まわしい記憶は彼女を苦しめるものでしかなく、自分にとっても忘れられるのならば忘れたいものだった。


もう、瑠璃を苦しめたくない。


柚耶は忌まわしい過去を振り切るように手を強く握った。

「…そんなに強く握っては手が切れちゃうわ」

美羅依は柚耶の握られた手にそっと自分の手を添えて力を抜くように促す。その表情は心配そうに柚耶を見上げていた。

「あ、ごめん」

柚耶はとっさに手を引いて謝った。

「おっかしいの。柚耶が謝ることなんてないのに。手を見せて」

美羅依が笑いながら、手を差し出した。柚耶は何の疑問もなく強く握られていた手を差し出した。

「精霊よ、能力(ちから)を貸して」

美羅依は小さくそう呟くと柚耶の掌につけられた爪痕に唇を寄せた。

「えっ…美羅依?」

柚耶は美羅依の突然の行動に驚いて手に力を入れようとしたが、美羅依の伏せられた瞳があまりにも美しくて見入ってしまっていた。

「…はい、これで大丈夫。私は貴方ほどではないけれどこのくらいの掠り傷程度なら治せるんだよ」

知ってた?と、はにかみながら言う美羅依が愛おしくて思わず頬に手を伸ばしかけて手を止めた。

「どうしたの?」

美羅依は不思議そうに柚耶に小首を傾げながら聞いた。

「…何でもない。傷は、ありがとう」

柚耶はそう言うと席を立ってリビングを後にした。美羅依は不思議そうに残りのお茶を飲みながら柚耶の去った後をしばらく眺めていた。

ありがとうございました

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