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And Following

 山小屋には無事着いた。簡単に掃除して食事をとった後、魔術師の指示で再び出掛ける準備とロープを用意する。

「ついてきたからには、協力してもらおう」

 魔術師がそう言った時、ダグコールたちが身を固くしたのは仕方のないことだったろう。今までの経験からして昏き竜への祈祷方法は生贄ばかりのようで、なにを求められるのかと肝を冷やした。彼らの予想は幸いにも当たらず、残念なことに遠からずだった。

 尾根沿いにすこし下山し、一行は入り組んだ谷へ入っていく。

「この先にある小屋を制圧する。住人は最低5人。全員殺しては意味がないが、一人いれば十分だ」

「何のために?」

「儀式に贄が必要だ」

 やはり、と思うとともに安堵があった。見知らぬ他人というだけで、こんなにも人の気持ちは変わるものかとカーリデュルアは思う。だがそれだけでは済まされない者もいたようだ。

「ちょ、ちょっと待てよ………そいつらとはどういう関係があるんだ? ただ山に住んでる人たちなんじゃ……」

「ふむ。詳しいことはしらないが、確かに山に住む者たちだな。一軒家に住んでいるが、年のごく近い兄弟というのでもない限り家族ではなさそうだ」

 魔術師がどうやってそれらを知り得たのか気になるところだが、それよりも仲間のことだった。ジェイレンドはついてきた仲間の内で一番痩せた男で、もとは粉屋の三男だった。気さくで女好き、だが女たちの目がまずカーリデュルアのほうに行きがちなのでよくぼやいていた。仲間想いだし、一緒にいて楽しいやつだが、カーリデュルアが特に強く残るよう説得を試みた相手だった。邪竜の信徒が示す道を辿っていくには、必要な部分が変わっていないように思えたから。それは密かな喜ばしいことだったが、はなれていく仲間を心配するジェイレンドは頑固だった。

「オレたちの目的はアーベルダムに復讐することだろう? これは、ちがうんじゃないか。こんな、無関係な人間を巻き込んで………」

「ヘイ、ジェイ。臆病風に吹かれちまったな」

「おまえな、やっていいことと………悪いことがあるだろう!」

 ことさらに軽い調子で答えるのはコーダックスだ。以前から仲の良い二人だったが、果たして今も変わっていないのか……。

 臆病な、とはカーリデュルアも思い、しかし口にはしなかった。自分を大事にできるのはいいことだ。その意味では俺に欠けているものかもしれない……。だがここ最近で彼が欠けている、と自覚したものは他にもたくさんあった。集落を襲った事件のせいで失くしたのか、元からこうだったのかもわからない。

 ソアフェイムは関係ないとばかりに谷の奥へ体を向けていた。実際これは若者たちの問題なのだが、あんまり声が大きいので周囲を警戒しているのだ、と思い至った。

 よそ見していると、気付けば仲間たちの視線はカーリデュルアに集まっていた。当然だろう、彼らをここまで連れてきたのだから。

「みんなが引っ越すソーホーズって、山三つ越えたとこだよな」

「ああ………、クレインボアト山狭を通れば、越すのはいっこで済むだろな」

 答えてくれたダグコールに頷き、ジェイレンドに改めて言う。

「すぐにひっ返して、みんなと暮らせよ。俺に言えるのはそれだけだぜ」

「兄貴……」

 拳が強く握られすぎて、小さく震えている。その様を目にしながらカーリデュルアは続けた。

「復讐をするのと、似たようなことだろう、これからするのは。今すぐには脅威じゃないものを、すべきだと思ったからわざわざ殺しにいく。人の死の善し悪しなんて考えてると、手前の首を絞めそうだ」

「うむ。どうも面倒くさいことになってしまったな」

 魔術師の呟きがどれを指すのか、微妙なところだった。谷の奥から女がひとり、現れたところだった。

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