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ぼくとエナの あいうえお  作者: 日望 夏市
9/9

第41〜46話

第41話 るーるむしの るーとふぁいる



カタカタカタ カタカタカタッ タン


ビーッ


カタカタ カタカタカタッ タン 


カタカタカタ カタカタカタッ タン


ビーッ


カタカタカタ カタカタッ タン

カタカタ カタカタカタッ タン

カタカタ カタカタカタカタカタッ タン


ピピッ


「クリア!」


カタカタカタ カタカタ カタッ タン


ビーッ


カタカタ カタ カタカタカタッ タン

カタカタカタ カタカタッ タン

カタカタ カタカタカタッ タン

カタカタ カタカタカタカタカタッ タン


ビーッ


「トキオ 大丈夫?」


「ぼくは へいき」


トキオの姿は半分透過している


カタ カタカタ カタカタッ タン


ビーッ


カタカタカタ カタカタカタッ タン


ビーッ


「トキオ ごめんね」


涙を流しながら エナはものすごい 勢いで キーボードを叩いた


カタカタカタ カタカタカタッ タン



ビーッ


カタカタカタ タン

カタカタカタ カタカタッ タン

カタカタ カタカタカタッ タン

カタカタ カタカタカタカタカタッ タン


ビーッ


爪がはがれて 血がでていることも 気にせず プログラムを書き換えた



ビー ビー ビー



「トキオ パパが危険だわ パパの記憶ファイルが 消滅しかけているの」


「ぼくがパパに 融合して 食い止める」


「でも そんなことしたら」


「ママ ぼくは預言者だよ 3年後に再び 会えるはずなんだ」


「だけど・・・」


「ママ ぼくがここを離れたらデジタル時間が作動してしまう

その中でのルートファイルに 近づくのは・・・」


「大丈夫 トキオ パパを助けて」



トキオは家に向かった


家のベッドで うずくまったぼくに トキオは おおいかぶさり

そのまま 消えてしまった



つづく




第42話 レッツ レスキュー



ぼくは ベッドの上で 目覚めた

すると ウサギが入ってきて ぼくに 叫んだ


「エナを たすけて」


ぼくと ウサギは 脳博士の研究所の 地下室に急いだ


「エナ!」


到着したときには もうエナの 半分から下は 消えていた


「エナ もうやめるんだ!」


もう ぼくの言うことも 理解できなくなっている


ウサギは言った


「エナ 君を消すわけにはいかない」


カタカタカタカタカタカタ   


タンッ


「これで 終わったわ」


エナは力尽きて そのまま 動かなくなった


「ウサギ エナを救う方法はないのか?」


ウサギは返事をしなかった そしてこう言った


「ここは もうすぐ エンタルネットワークに 

吸収されて 消えてしまう 君は ヌシを見つけるんだ」


「エナ・・・・」


するとエナの体がゆっくりと起きて


「あなた アバターたちを 救ってあげて 

そして あなたも現実世界に 戻るのよ」


「エナ 消えないで」


「あなた アバターたちを 助けるのよ」


エナの体が 少しずつ消えはじめ 

やがて すっかり 無くなってしまった


「わかったよ エナ 君の望みどおりに」



つづく




第43話 ろーかる ろーてーしょん


「みんなを 公園に集めるんだ!」


ウサギと手分けして みんなを公園に集めた


「みんな聞いて ぼくたちは ヌシから独立した アバタ―だ

しかし ここはもうすぐ 消えてしまう 

ここが消えれば みんなも消えてしまう 

ぼくたちが 生き残れる方法は1つ ヌシともう一度リンクして 

意識をヌシに返すんだ このままでは 君たちのヌシも 

意識を無くしてしまう ヌシを見つけるんだ」


それぞれ ヌシとのリンクを試み ヌシが見つかったものから 

月へ行って リアル世界への バスに乗った


半日でみんなのヌシが 見つかった ただひとりをのぞいて


ウサギがぼくに言った


「君のヌシが みつからない」


顔だけくんと ジジイとババアの ヌシにも リアル世界から

捜索を依頼したが どこにもいなかった


「ぼくは エナとここに残る」


ここはエナの作った世界だ 

ぼくはエナと ずっとここに いたかった



「そうだ あの人なら 知っているかも」


ウサギはそう言い残して どこかに行ってしまった



「亀のおじさん 彼のヌシを探して!!!」



つづく




第44話 われを わすれた わたし



 僕はどのくらいここにいるのだろう。白衣の連中が、何やら検査を行っている。


 そのとき、警報装置がなった。


ビーッ ビーッ ビーッ ビーッ


 白衣の奴らがあわてて出て行った。僕は両手の拘束を解いて周りを見渡した。1台の小型コンピュータが、何かメッセージを発している。


「ドアのカギは解除した 廊下を右に進んで3つ目の赤いドアで待て 」


とスクリーンが僕を指示した。


僕はそのコンピュータを持って、指示通りに赤いドアへ向かった。


「しばらく待て」


赤いドアの部屋で、僕は待っていた。


「君はだれ?」


と入力したが、返事はなかった。


「合図したら 向かいの部屋に入れ」


と指示が来た。


「今だ」


の合図と同時に、僕は赤いドアを開けて、向かいのドアへ入った。


「コンピュータへ」


 その部屋には、モニターがたくさんついた制御室のようだ。ぼくはコンピュータの前に座り、電源を入れた。


ピー ピー カタカタ ウィーン ピッ パチッ


スピーカーから、女の声が聞こえた。


「エンタルゲームを知っているね。あなたのアバターを救出するの。手伝って。」


「え? どういうことだい?」


と僕はたずねた。



 彼女の話によると、エンタルゲーム内で、僕のアバターがいる1部の区域が遮断され、僕とアバターの意識が切り離されてしまったのだそうだ。はじめのうちは、ゲームの人工知能が制御していたのだが、アバターが覚醒しはじめた。つまり、アバターが自ら知能を持ち始めた。すぐにアバターとリンクしないと、僕の意識が消えてしまうという。現実の僕は意識を失い個室病棟に移され、アバターとリンクできないでいた。このままでは、危険だとと言うのだ。


「それで、僕は何をすればいいの?」


「あなたは、アバターと意識の共有を試みて。」


と指示があったが、どうしていいものやら見当がつかない。とにかく、エンタルゲームを起動させよう。


「IDを入力したのだが、応答がない。」


と言うと


「では、こちらからアプローチするわ。」


と返事があった。数秒後、もう一度IDを入力した。


次の瞬間、僕はアバターの姿でエンタル世界にいた。



つづく




第45話 ・・・をもとめて



目の前には、ウサギが立っていた。


「ヌシとリンク できたんだね」


そうして 現実世界への出口に 一番近い 月へ向かった


月では 現実世界行きのバスの

運転席に顔だけくんと体が 待機していた


「はやく乗って」


と顔だけくんが叫んだ



「ぼくはここに残る」


「ここは すぐに消滅する 君は現実にもどるんだ」


ウサギは ぼくを無理やりバスに 押し込んで ドアをしめた


「エナがここを 作ったんだ!」


顔だけくんは バスを発車した スピードを上げ 現実世界へ走り出した

現実の世界に帰ったところで そこには 何もない ぼくは迷わなかった

バスの窓を割り 外へ飛び出し 路面に頭部を打ち付け・・・



そのとき


時間が止まり トキオが現れた


「トキオ ぼくも 君たちと一緒に 消えることにした」


そう言うと、トキオはぼくを じっと見た


そして 遠くを指差した



向こうから あの妊婦が現れた


妊婦は ぼくの目の前に立つと




ゲラゲラと 聞き覚えのある 大きな笑い声が聞こえた


そして ぼくは 妊婦のお腹に 


そっと



キスをした




つづく




第46話 んんん


 気が付くと、そこは病室のベッドの上。ハカセが僕の様子をうかがっている。その横にはあの白いドアの眠り姫が立っていた。


「目覚めたんだね。」


と僕が言うと、彼女はニコリとほほ笑んだ。彼女の笑顔、どこか見覚えがあるような気がした。



「もしかして、君は・・・・・・」



彼女はゲラゲラとお腹を抱えて笑い転げた。



「エナ どうやって、エンタル空間から出たんだい?」



ハカセが隣で説明した。


 ハカセには孫がいた。そのお孫さんは、交通事故で意識障害を起こし、知能も記憶も失ってしまった。それがここにいる眠り姫のえな。長い間植物状態であったのだが、ハカセは孫の意識を創造するために、エンタルネットを開発したのだ。エンタル空間を使って、人工知能にリアルの人間の感情をふれさせ、その意識信号を人間の感情に限りなく近づけた。そうしてできたのがエナの意識プログラム。そのエナの意識プログラムを、人間のえなにアナログ移植したのだ。


「どうしてもみんなを救いたかったの。それで妊婦のお腹に私の意識プログラムのコピーを残したの。それを人間のえなに移植したのよ。」


とエナが付け加えた。


さらにハカセは、


「君のやさしい心とピュアな感性、そして二重人格の要素がどうしてもえなに必要だった。巻き込んですまない。」


そう言って、頭をさげた。ぼくは、ハカセとえなに


「ありがとう。」


と返事を返した。






数年後の日曜日、

今日はえなとデートの日。


駅の改札で待ち合わることにした。


僕は少し遅れて、駅に到着した。


えなは改札の前で待っていた。




小さな男の子を連れて。





そしてぼくは、彼女に言った。









「日曜日に帰る。」






おわり


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