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鼻歌が聞こえる部屋

作者: ゆる坂さん

 一人暮らしに2DKは広すぎた。実際一部屋に生活空間を押し込めて残りの一部屋は物置きと化している。元々仕事から帰って寝るだけの住まいなのでワンルームでも良いのだが、

以前住んでいた部屋の隣人が夜勤なのか無職なのか知らないが不規則に騒がしく辟易した。そこで引っ越しを契機に奮発したのだがやはり持て余してしまった。

 しかし最近になって休み前の就寝は物置きの部屋と決めていた。乱雑に散らばっているものを押しのけて布団を敷き、朝になるのを楽しみに寝床についた。明日も聞こえるだろうか、と考えながら。


 やさしいメロディで目が覚めた。最近の流行歌なのか懐メロなのかは知らないが、いつもの緩やかな調べ。歌詞は付いていない。いや、元の歌にはついているのかもしれないがそんなことはどうでもよかった。こちらの方が良い、鼻歌の方が。

 隣の部屋なのか階下なのか上の階なのか、誰が歌っているのだろうか、なんて下手な詮索はしない。この歌が聞こえてくるだけで心が満たされていくのを感じる。切なくて暖かくて…、優しい歌声。平日の喧騒を、慌ただしい毎日を、荒んだ自分の心を洗い流してくれる。

 

 今日は週末。明日も聞こえるだろうか、と荷物を端に押しやり物置き部屋に布団を敷いた。



                             ≪ 了 ≫

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