表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

デアイ

 私は、小学生になりたての頃の夢を見た。

 高座渋谷駅の近くの段数が少ない階段を上がればある小さな福田公園で遊んでいる夢。

 柔らかいゴムボールを地面に落として弾ませ、弾んで胸の高さまできたゴムボールをキャッチして、また地面に落としてを繰り返す。

 母親が友人に会う為、高座渋谷駅近くまで昔は出掛けていた。

 母親の友人である女性も息子を公園で遊ばせていたので近くに居たが、人見知りなのでその男子と遊ばなかった。

 公園の東屋の青く塗られたベンチに腰を下ろし、ブレザーを片手に抱き、子供達を眺めていた男子高校生が視界に入った私は思わず彼に声を掛けていた。

「おにいさん……」

「なんだ、ガキんちょ?」

 ぶっきらぼうに返した彼は、笑顔も作らずにただ見つめてきた。

「お友達、いないの?おにいさん」

「余計なお世話だ、ガキんちょ。ガキんちょだってお友達いなさそうだね?」

「うん……」

「喉、渇いてねぇか?ガキんちょ」

「かわいてる」

「あっそう。オレンジジュースか?」

「うん。オレンジジュース、飲みたい」

「ちょっくら買ってくるから待ってろよ」

「うん。ありがと、おにいさん」

 肩にまでつきそうに伸ばした髪が靡くのがなんだか記憶に残った。


 公園に戻ってきた男子高校生の彼が、オレンジジュースの入ったペットボトルを渡してきた。

「はい、オレンジジュース」

 私はもらったオレンジジュースの入ったペットボトルのキャップを開け、ひと口飲んで美味しいと感想を告げた。

「そう。じゃあ俺は帰るから。じゃあな、ガキんちょ」

 彼がベンチから立ち上がり、歩いて行って片手を上げ、振った。

「おにいさん、またね!」

 私の挨拶は届いてなかったのか、返事が返ってくることはなかった。


 ◇◇◇◇


 肩にまでつきそうな長い髪の男子高校生とはその日以来、福田公園で遊んでいても見かけなかった。


 夢で見たあの記憶に残っている男子高校生はもう大人だ。

 綾瀬市に引っ越してきた私はあの男子高校生に逢えたらな、と思っている。

 あの日、母親に知らない人からたかっちゃ駄目でしょと叱られた。


「遥華ー、早く降りてきなさ〜い!」

 階下から母親に起こされる。

 もう起きてるってば。

 見た夢に首を傾げた私だった。

 階下に降り、リビングで朝食を食べていく。

「ママ〜小学生になりたての頃、福田公園でオレンジジュースを買ってもらったことあったじゃん。あのときの高校生さぁ、今は何歳くらい?」

「はぁ?いきなり何よ。さっさと食べちゃいな!」

 私は母親に急かされ、朝食を食べ終え、登校の支度を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ