第9話:さらば愛しき人よ、俺は「粗大ゴミ」として旅立つ
1. 決定的な「トドメ」の一撃
カイルとリアナが二人で楽しげに、かつての領地の思い出(薬草の品種改良について)を語り合っている。
「あの頃のリアナ様は、本当に輝いていました。……今も、もちろん素敵ですが」
その会話を、天井の梁に同化して(※殺気を消す訓練の応用)聞いていたシグルドは、静かに涙を流した。
(……ああ。聞こえる。俺には聞こえるぞ。リアナ殿の心の声が。『シグルド閣下、あなたの筋肉質な愛は重いし、除菌はしつこいし、何より声がデカすぎて鼓膜が振動するんです』……と!!)
カイルがリアナの肩に付いた小さなゴミを払った瞬間、シグルドの脳内で**「完全撤退」**のファンファーレが鳴り響いた。
2. 「遺書」という名のラブレター(全100枚)
自室に戻ったシグルドは、血を吐く思いでペンを走らせる。
「リアナ殿。貴女の未来に、俺という名の『泥濘』は不要です。爽やかな風と共に、青空を駆けてください」
書き上げたのは、以下のセットである。
婚姻届:(「夫」の欄に自分の名を、血判付きで記入済み。あとは出すだけ状態)
全財産譲渡証書:(「俺の首から下の資産はすべて貴女のものです」)
「俺の取扱説明書」:(「もし俺が野垂れ死んでいたら、この成分の洗剤で焼却してください」等の遺言)
これらを**「思い出をありがとうございます」**と書かれた重厚な鉄の箱(防弾・防魔法仕様)に入れ、リアナの机にそっと置く。
3. 目的地は「最果ての監獄島」
「俺ほどの不審者は、社会に放逐しておくわけにはいかない。自らを隔離することこそ、騎士としての最後の責務!!」
シグルドが向かったのは、凶悪犯が収容される**「断罪の孤島」。
しかし、閣下は生真面目すぎるため、「正規の手続き」**で収監されようとする。
受付窓口にて:
「頼む! 俺を一番下の、光も届かぬ独房に入れてくれ! 罪状は『尊すぎる女性に対し、不潔な自分を押し付けようとした罪』および『存在そのものがハラスメント』だ!!」
看守:
「……いや、閣下。それは罪になりませんし、そもそもここ、閣下の管轄ですよね? 鍵、お持ちじゃないですか」
シグルド:
「うるさい! 俺は今、自分を刑務作業(※リアナの幸せを祈りながらの素振り10万回)に処すと決めたのだ!」
4. 荒ぶるリアナ、監獄を強襲
数時間後、置かれた「遺書」を読んだリアナは、あまりの支離滅裂さと、そこに透けて見える「究極の自己犠牲(という名の勘違い)」に、ついにキレた。
「あのバカ重戦車……! 逃げるなら、もっと遠くへ逃げなさいよ! 自分の管轄の監獄に行くなんて、『迎えに来てくれ』って言ってるようなもんじゃない!!」
リアナはカイル(※事情を察して引き気味)を伴い、馬を飛ばして監獄島へ。
そこには、独房の鉄格子を**「自分の精神を閉じ込めるため」**に内側から素手でひん曲げて補強している、涙目のシグルドがいた。
「リアナ殿……!? なぜここに! 俺はもう、貴女の視界という聖域を汚さぬと決めたのに!」
「シグルド様。その……ひん曲がった鉄格子の中から言うセリフじゃないです。あと、その婚姻届、受理してきましたから。」
「………………えっ?」




