第47話:策略案:オペレーション・レオ・パニック「猫を超えし者」
1. 究極の「毛玉(魔力塊)」トレーニング
シグルド様は、リアナ様が「本物の猫は毛玉を吐くものよ」と何気なく呟いた一言を聞き逃しませんでした。
「ならば我が軍は、より高密度な、より魔力に満ちた毛玉を吐き出してみせよう」
翌日から、訓練場には「オエッ……ニャン……」という、筋骨隆々の兵士たちのえげつない嗚咽が響き渡ります。もはや軍隊ではなく、集団食中毒の現場です。
2. 決定的敗北:本物の猫の帰還
そんな努力(?)をあざ笑うかのように、窓から「ミャア」と鳴いて戻ってきたのは、昨日シグルド様が文字通り放逐したはずの、薄汚れた野良猫でした。
リアナ様と、子供たちのレオナ、ルディ、リナは、その小さな命を囲んで歓喜します。
子供たち: 「やっぱり本物の猫さんが一番かわいい!お父様、耳が動くおじさんたちは……ちょっと怖いよ」
リアナ様: 「そうね……。シグルド、努力は認めるけれど、あなたの部下たち、さっきからずっと床で毛玉を吐こうとしていて、正直……不衛生だわ」
3. 黒獅子の覚醒(暴走)
「……普通の猫が良い、だと……?」
愛する家族からの無慈悲な宣告。シグルド様の独占欲とプライドが臨界点を超えます。
「ならば見せてやろう。猫の頂点すら超越した、百獣の王の姿を!!」
爆風と共に立ち上る黒い魔力。シグルド様は、魔王の真の姿の一つ、伝説の**『黒獅子』**へと変身します。
全長5メートルを超える、漆黒の毛並みと黄金の瞳を持つ巨大な獅子。その咆哮一発で、野良猫は脱兎のごとく城外へ逃げ出しました。
「見たかリアナ! あの劣等種は逃げ出したぞ! 今、この城で最も『もふもふ』しているのは、この私だ!! さあ、撫でろ! 存分に私を、王を撫でるがいい!!」
4. 訪れる、静かなる(そして冷ややかな)審判
広間に響き渡るシグルド様の(猛獣的な)ゴロゴロ音。しかし、期待していた「キャー!素敵!」という声は聞こえません。
リアナ様: (深いため息をつきながら)「シグルド……。窓ガラスが全部割れたわ。あと、子供たちが怯えて泣き出したから、今日の夕食は抜きです。反省して、その不気味な猫耳兵士たちを解散させてきなさい」
子供たち: 「パパ、やりすぎ……。猫耳おじさんの方がまだマシだった……」
シグルド様は、黒獅子の姿のまま、しょんぼりと首を垂れて石畳を見つめるのでした。床の摩擦係数は、今の彼の心と同じく、限りなくゼロに近いのです。




