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異世界翻訳官の私は、無口な英雄の『心の声』が甘すぎて仕事になりません(AI生成)  作者: 第八天龍王 七百七十七印麗院


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第3話:沈黙の告白(強制スピーカーモード)

シグルドが「頭を冷やしに」中庭へ猛ダッシュしてから一時間。

ようやく戻ってきた彼の顔は、以前にも増して「氷の処刑人」の名にふさわしい、凍てつくような無表情だった。

「……再開する」

「は、はい……よろしくお願いいたします、閣下」

リアナは震える手で、古代の魔導具『真実の共鳴鏡』を起動した。

これは本来、石板の欠けた文字を魔力の共鳴によって補完する補助具なのだが、経年劣化のせいか、最近はリアナの「心の声を聞く力」と妙に同調してしまう傾向があった。

(……おかえりなさい、リアナさん。一時間ぶりの再会だ。さっきの抱擁の感触がまだ腕に残っていて、実は中庭で素振りじゃなくて地面に『リアナ』って書き殴りそうになったけど耐えた俺を褒めてほしい。ああ、今日も世界で一番可愛い。そのペンを持つ指先、少し震えている。守りたい。俺の全財産を投げ打って指専用の高級マッサージ師を雇いたい……!)

(お願いだから、今は黙ってて……。魔導具に干渉しちゃうから……!)

リアナは必死に魔力を集中させる。

だが、その時。魔導具の水晶体が不気味に赤く明滅し、バチバチと火花を散らした。

「……? 調子が悪いのか」

シグルドが眉をひそめ、装置に顔を近づける。

「あ、危ないですから離れて……!」

リアナが制止しようとした瞬間、装置から**「キィィィィィィィン!」**という耳を突き刺すようなハウリング音が鳴り響いた。

そして。

『――っああああああああ!! 近い! 閣下との距離が近すぎて死ぬ! 今すぐこの場で跪いて靴に接吻したい! 否! それでは変質者だ! でも愛してる! 好きだ! 石板の解読なんてどうでもいい、今すぐ結婚式場を予約させろ!!』

部屋の壁を震わせるほどの大音量。

それは、間違いなくシグルドの声だった。しかし、その熱量は氷の処刑人のそれではない。

「…………えっ?」

リアナは硬直した。

今の声は、彼女の脳内に直接響いたものではない。

魔導具が「シグルドの思考」を物理的な音波として、部屋全体にぶちまけたのだ。

「……今のは、なんだ」

シグルドが、かつてないほど動揺した様子で周囲を見回す。

「どこから声が……。誰だ、今の不敬な輩は……!」

(ぎゃああああああああああ!! 出た! 出ちゃった! 俺の本音が音漏れした!? いや、そんなはずはない。今の俺は冷徹な閣下のはずだ。落ち着け。これは敵の精神攻撃だ。幻聴だ。そうだ、そうに決まってる……!)

『――落ち着けるかボケェ!! 俺の声だ! 完全に俺の告白だった! リアナさんに聞こえてたらどうする!? 「死んでください閣下」って言われたら俺は本当に切腹するしかないんだぞ!!』

追い打ちをかけるように、魔導具が彼のパニックを「爆音」で実況する。

「な……ッ!?」

シグルドは顔を真っ赤にし(と言っても、端から見れば「怒りで血管が浮き出ている」ようにしか見えない)、腰の剣に手をかけた。

「リアナ殿! 下がれ! この魔導具、呪われている……!」

(待って、それ、呪いじゃなくて貴方の心の声なんです!!)

リアナは泣きそうになりながら、暴走する魔導具に飛びついた。

「閣下、これは、その! 故障です! 音声記録が、ええと、過去の……不審者の声を拾っただけで……!」

『――嘘だ! リアナさんが俺を庇ってくれている!? なんて優しいんだ。天使か? 女神か? 嘘をつく時の、その泳ぐ瞳も最高にキュートだ! 抱きしめたい! 抱きしめて「今の声は全部俺の真実だ」と叫びながら街中をパレードしたい!!』

「うあああああああああ!!!」

ついにリアナは叫び声を上げ、魔導具のプラグを力任せに引き抜いた。

……静寂。

しんと静まり返った執務室で、肩で息をするリアナと、石像のように固まったシグルド。

シグルドの表情はもはや氷というより、零下の絶対零度で固まったかのように険しい。

「……リアナ殿」

「は、はい……」

「今の……不審者の声だが」

「は、はい、不審者の声ですね。閣下とは似ても似つかぬ、下品で騒がしい、誰かもわからない声でした。私、何も聞いてません。記憶を消去しました」

リアナが必死の形相で言い切ると、シグルドは静かに目を閉じた。

(……バレた。絶対にバレた。死のう。明日、いや今から辞表を書いて、辺境の最前線に志願しよう。リアナさんに気味悪がられた。俺の人生、完。さようなら、俺の初恋……)

(……死なないでください!! 辞めないで!! 嫌いになってないから!!)

リアナは、机の下で震える自分の手を握りしめた。

彼の「本音」がこれほどまでに自分に向けられていることに、恐怖よりも、胸の奥が熱くなるような不思議な感情が勝り始めていることに、彼女自身も気づき始めていた。

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