第22話:魔導育児、或いは対神・決戦兵器(おむつ)の誕生
「ハンス、見ろ。我が子の肌は、シルクを超えて『概念的な柔らかさ』に到達している。この無防備な奇跡を守るため、私は決意した。この家を、世界で最も安全な要塞へと作り替える」
真っ白な灰からAEDの連打で蘇生したシグルドは、もはや人間としての生活を捨て、**「全自動・高機動育児スタンド」**と化していた。
彼の脳内は今、リアナへの愛に加えて、赤子への**「過剰すぎる防衛本能」**でショート寸前である。
『ああ、我が子の柔肌に、この世界の汚れた大気が触れることすら許せん……! 酸素よ、感謝せよ。お前は今、この子の肺を満たすという光栄を授かっているのだ。もし二酸化炭素として排出される際に不敬を働けば、分子レベルで裁断してくれるわ!』
リアナの脳内には、もはや環境音のようにシグルドの支離滅裂な脅迫状が流れ続けていた。
爆誕:魔導装甲「オムツ・オブ・アヴァロン」
シグルドが最初に手掛けたのは、オムツの改造であった。
「リアナ殿、安心されよ。このオムツは、古代竜の鱗を極限まで薄く叩き伸ばし、聖水で浄化した神聖布を使用している。吸水性は通常の100万倍。そして何より、**『物理反射』**の魔法陣を組み込んだ」
「……シグルド様、お願い。ただの布でいいの。反射されたら、私がおしっこを被るじゃない」
「なっ……! 私としたことが、リアナ殿に害をなす設計ミスを……! 修正だ! 排泄物は異次元へと転送し、肥料として異世界の不毛な大地に恵みを与える回路を組み込むッ!」
こうして、赤子が一度用を足すたびに、どこか遠い異世界で**「神の奇跡(黄金の雨)」**が降るという迷惑なシステムが完成した。
育児の果ての「灰」
シグルドの暴走は止まらない。
ガラガラ(玩具): 振るたびに超音波による結界を展開し、半径3kmの害虫を殲滅する。
離乳食: シグルドが自らの魔力を練り込みすぎて、一口食べるごとに赤子の戦闘力がスカウターで測定不能なレベルまで上昇する。
子守唄: 脳内翻訳機を通じてリアナに「愛の重低音」をダイレクトアタック。
「……ハンス、リアナ殿が……リアナ殿が、離乳食を食べさせる姿が聖母すぎて、私の網膜が……網膜が幸福の過負荷で焼ける……ッ!!」
「閣下、目を開けてください! まだお風呂入れの任務が残っています! 1、2、放電!!」




