第13話:閣下、デートを「制圧戦」と履き違える。〜私服の下のフルプレートと、消えた市民たち〜
1. 決死の「カジュアル」
リアナからの「今度の日曜日、街へお買い物に行きませんか?」という誘い。
それは、シグルドにとって**「市街地におけるリアナ護衛任務:難易度SS」の通達でした。
「私服で、気楽に」と言われた彼は、悩みに悩んだ末、「特殊合金製の極薄チェインメイル」**を肌着として着用。その上に、一見普通のシャツ(※防弾・防魔法加工済み)を羽織ります。
「……よし。これで、不意の暗殺者による刺突にも3秒は耐えられる。その3秒でリアナ殿を抱えて音速で離脱すれば、生存率は0.02%上がる……!」
鏡の前で、デートに行く男というよりは敵陣に単身乗り込む特攻兵の目つきで頷くシグルドでした。
2. 「一般市民(精鋭)」による包囲網
当日、街のメインストリート。
リアナは不思議に思いました。今日はなぜか、街の人々が皆、やけに体格が良く、姿勢が正しく、そして鋭い眼光を放っていることに。
道端で野菜を売っているおじさん:元・帝国軍第1騎士団の剣聖。
楽しそうに遊んでいる子供たち:小柄な体格を活かした隠密部隊のスペシャリスト。
ベンチで新聞を読んでいる老紳士:シグルドの副官(ライフル銃を新聞の裏に隠し持ち、全方位を警戒中)。
「シグルド様、今日はなんだか……街に活気があるというか、圧が強いというか……」
「……気のせいでしょう、リアナ殿。皆、貴女の神々しさに気圧されているだけです(※訳:周囲500m、ネズミ一匹通さない完全封鎖は完了している)」
3. 試着室の「籠城」
リアナが服を選び、「これ、どうでしょうか?」と試着室から出てきた瞬間。
シグルドは感動で膝をつきそうになりますが、脳内では**「無防備! 敵の狙撃ポイントが多すぎる!」という警告が鳴り響きます。
彼は咄嗟に、店の入り口に控えていた「一般市民(変装した部隊長)」に目配せ。
次の瞬間、店の周囲に魔法障壁のカーテン**が展開され、店内の全スタッフ(精鋭)が「伏せ!!」と叫んで配置につきました。
「リアナ殿……! その服、あまりにも美しすぎる。……危険だ。この美しさは、見た者の理性を破壊する兵器に等しい。今すぐ、この店ごと買い取り、地下シェルターへ移送しなければ……!!」
「シグルド様!? 普通に『似合う』って言ってくれるだけでいいんです!!」
4. カイル(幻影)のスマートな助言
『やれやれ。シグルド、君はデートに軍隊を連れてくる趣味があるのかい? 彼女が求めているのは「護衛」じゃなくて「隣を歩く恋人」だよ。僕なら、彼女の手を優しく引いて、隠れ家カフェで二人きりの時間を演出するけどね。』
「カイル……! 貴様は分かっていない! 二人きりだと!? 死角が180度生まれるということではないか! 貴様は、リアナ殿が背後から飛んでくる『愛の矢(物理)』に射抜かれてもいいというのか!? 俺は……俺は彼女を守るためなら、この街の全人口を精鋭兵に入れ替えることだって厭わないんだ……!!」
5. 結末:アイスクリームの「毒見」
結局、リアナが楽しみにしていたアイスクリーム屋でも、シグルドは**「毒物混入の疑いがある」として、自ら持参した試薬でアイスを検査。さらに自分ですべてのフレーバーを「毒見(という名の爆食い)」し、リアナに回ってきたのは極寒の冷気で閣下の唇が青白くなった後の、半分溶けかかったアイスでした。
「……リアナ、殿……。……安全、です。……さあ、召し上がれ……(ガタガタ震えながら)」
「……もう、シグルド様のバカ!!」
怒ったリアナに手を引かれ、そのまま「普通のアイス」を強制的にあーんと食べさせられたシグルドは、アイスの甘さとリアナの体温で脳がオーバーヒート**。
「甘い……甘すぎる……。これは毒か? いや、天上の甘露か……? ああ、俺の体内の戦闘本能が、リアナ殿の糖分によって中和されていく……。俺は……俺はもう、剣を振るうことすら忘れて、ただのアイスのコーンになりたい……」
そのまま市街地の真ん中で、幸せの絶頂に達した閣下の口から虹色のエクトプラズムが放出され、100人の精鋭部隊が「閣下ァァーーー!!」と叫びながら一斉に駆け寄ってくるという、前代未聞の「市街地制圧デート」は幕を閉じるのでした。




