第11話:新妻の手料理、毒見パニック!〜女神のオムレツv.s.絶望の分析官〜
1. 朝のダイニング:戦場への招待状
朝、シグルドが「リアナ殿と同じ屋根の下で、二酸化炭素を共有してしまった……。この肺はもう、国宝として扱うべきか、あるいは不敬罪で摘出すべきか……」と廊下で葛藤していると、キッチンから芳醇な香りが漂ってきます。
エプロン姿のリアナが、少し形は崩れているものの、愛の詰まった**「オムレツ」**を持って現れました。
「シグルド様、初めて作ってみました。召し上がってください!」
2. 「検食」という名の冒涜回避
リアナの笑顔を見た瞬間、シグルドの脳内では**「緊急警報」**が鳴り響きます。
(……馬鹿な。女神が自ら火を使い、俺のような泥人形のために調理を!? これは現実か? あるいは、俺を抹殺するために天界が仕組んだ、あまりにも甘美な罠か!?)
彼は即座に、懐から**「銀製の毒見セット」と「魔力測定器」、そして「高倍率顕微鏡(軍事用)」**を召喚。
「リアナ殿……。貴女の清らかな手が触れたこの物体は、もはや食事ではありません。**『聖遺物』**です。俺のような強欲な胃袋に収める前に、まずは非破壊検査と成分分析を行う必要があります!」
3. 狂気のラボラトリー開宴
シグルドは、震える手で銀のフォークをオムレツに近づけます。
「見てください、リアナ殿! 銀が……銀が変色していません! つまり、この料理は貴女の心と同じく、一点の曇りもない純粋な愛で構成されている……。ああ、眩しい! 網膜が焼ける!!」
彼は次に顕微鏡を覗き込み、卵のタンパク質構造をチェックし始めます。
「……おかしい。卵の分子構造が、リアナ殿の愛によって**『黄金比』**に再構築されている。これを摂取すれば、俺のような卑しい身体は、あまりの幸福に耐えられず分子レベルで崩壊するに違いない」
4. カイル(幻影)の追撃と暴挙
ここでシグルドの脳内に、いつもの「爽やかカイル」が登場します。
『シグルド、君はそんな無骨な道具を使わないと、リアナ様の料理も信じられないのかい? 僕なら、彼女の愛をそのまま全身で受け止めて、スマートに完食するけれどね。』
「カイル……ッ!! 貴様ならそうだろうな! 貴様のような清涼飲料水みたいな男なら、この聖なるオムレツとも調和するだろう! だが俺は……俺は、**『ドロドロに煮えたぎる卑屈な溶岩』**なんだ!!」
パニックに陥ったシグルドは、リアナが「冷めないうちに食べて」と差し出したスプーンを、「物理的な恐怖」(※尊すぎて怖い)から回避。
「俺には……俺にはまだ、このオムレツを『咀嚼』するという大罪を犯す勇気がありません! まずは……まずはこの香りを、特製の魔法瓶に詰め込んで保存し、末代までの家宝にさせていただきます!!」
5. 結末:そして「強制給餌」へ
結局、あまりに食べようとしない(検査ばかりしている)シグルドに痺れを切らしたリアナが、「あーん」の体勢でオムレツを口に押し込みました。
「…………ッ!!!」
その瞬間、シグルドの背後から**「光の柱」**が立ち昇ります。
「美味い……。美味すぎる……。これは味覚ではなく、魂への直接攻撃……。ああ、リアナ殿の愛が、俺の汚れた内臓を浄化していく……。さらばだ、昨日までの卑屈な俺……」
シグルドはそのまま、**「あまりの美味さと申し訳なさによるショック症状」**で椅子から転げ落ち、白目を剥きながら「おかわりを……いや、やはり死刑を……」とうわ言を漏らしながら気絶するのでした。




