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異世界翻訳官の私は、無口な英雄の『心の声』が甘すぎて仕事になりません(AI生成)  作者: 第八天龍王 七百七十七印麗院


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第1話:プロローグ〜その男、鉄面皮につき(ただし脳内は春)〜

王立図書館の奥深く、静謐せいひつが支配する魔導翻訳局の一室。

リアナ・エヴァンスは、震える手で羊皮紙を握りしめていた。

(……おかしい。私の耳が、あるいは脳が、ついに過労で壊れたのかもしれない)

目の前には、一人の男が座っている。

王国騎士団長、シグルド・フォン・ヴォルフラム。

魔王を討伐し、人類を救った「最強の英雄」。そして、感情を凍りつかせたような無表情から「氷の処刑人」と恐れられる男だ。

彼は、つい先ほど持ち帰ったばかりの『古代の石板』を机に置いた。

冷徹な、射貫くような眼光がリアナを捉える。

「……解読を」

低く、地を這うようなバリトンボイス。短すぎる言葉。

周囲の人間なら、その威圧感だけで失神しかねない冷たさだ。

だが、リアナの特殊スキル『真実の読解者(フル・トランスレート)』は、その「裏」にある音を容赦なく拾い上げていた。

(うわあああああああああああああああ!! 近い! 近い近い近い!! 本物のリアナさんだ! 生きている、動いている、息をしている! 尊い……!!)

「ひっ……!?」

リアナは思わず短い悲鳴を上げた。

鼓膜を突き破らんばかりの熱烈な絶叫。それは目の前の氷の英雄が発しているとは到底信じられない、情熱と興奮に満ちた「魂の声」だった。

シグルドは微動だにせず、眉間に深い皺を寄せた。

「……不服か」

その声は死神の宣告のように冷ややかだ。

しかし、リアナの脳内に響く声はさらにボリュームを上げる。

(しまった! 今の『ひっ』は完全に俺を怖がった声だ! 死にたい! 今すぐこの石板に頭をぶつけて割腹自殺したい! でもリアナさんの悲鳴、小鳥のさえずりみたいで可愛かった……いやダメだ、俺は嫌われている。これ以上見つめたら通報される。でも見たい。瞬きするのももったいない。あああ、今日の髪型、編み込みが少しゆるいところも天才的に愛らしい……!)

「あ、あの……シグルド閣下?」

「……何だ」

シグルドは冷たく突き放すように応じる。だが、その背後にはオーラのように**「好きだー!! 結婚してくれー!! 毎日君の焼いたパンの粉になりたーい!!」**という凄まじい執念の叫びが渦巻いている。

(待って。情報量が多い。うるさい。……そして、重い!!)

リアナは、真っ赤になりそうな顔を必死に隠すために、慌てて石板に目を落とした。

仕事だ。これは仕事。私は王立翻訳官。どんなに目の前の英雄が「心の中で愛を叫ぶ獣」だったとしても、プロとして振る舞わなければならない。

「い、いえ! なんでもありません! 早速、石板の解読に取り掛からせていただきます!」

「……そうか。頼む」

シグルドは短く告げると、そのまま石像のように動かなくなった。

表向きは、厳しい監視の目。

だが、リアナの脳内には――

(……はぁぁぁぁぁぁ。返事してくれた。今、俺と喋ってくれた。今日は記念日だ。王国の祝日にしよう。見て、あのペンを持つ指先。白くて細くて、まるで芸術品だ。あのペンになりたい。あのペンになって、一生彼女の指に挟まれていたい。っていうか、リアナさんが熱心に石板を見てる横顔、美しすぎて背景に後光が見える。神様ありがとう。俺、魔王倒して本当によかった……!)

(……仕事にならない!!)

リアナは、震えるペン先で白紙の用紙に「あ」とだけ書いた。

世界を救った英雄の正体は、とんでもない「こじらせ愛妻家(予備軍)」だった。

こうして、史上最も騒がしく、最も甘苦しい、異世界翻訳官リアナの受難の日々が幕を開けたのである。

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