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ドアマットヒロインに番と名乗る獣人がやってきた。あなたの番が迎えに来たって? 番ですか、そうですか。さようなら  作者: ひとみんみん


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3.新しい私のお家(うち)

 ミレーネさんから受け取ったカードキー(魔法陣内蔵)を部屋のドアにかざす。

 すると、カチャッという音がして鍵が開く音がした。


 ドアを開けると、そこにはこじんまりとした前世で言うとこの6畳半くらいの個室が広がっていた。

 机と椅子、白い清潔なシーツがかかったシングルベッド、そして自分の装備をかけるクローゼットがある。


 率直に言って最高だった。


 実家では私は伯爵令嬢であり、次期当主だったはずだが使用人も住まわさない隅の屋根裏部屋に押し込められていた。

 低い天井に藁が敷いてある狭い空間。

 小さいころから死なない程度にいつも服の下を痛めつけられて、本人が食べないということにしてギリギリの食事しか与えられず、簡素な灰色のワンピースを着せられて、屋敷の下働きをさせられていた。

 ちょっとでも反抗しようものなら、ご飯抜きからの暴力だ。


 4歳から13歳までそれだったのだけれど、私はよく生きていたなぁと思う。

 あの屋敷にいたのは家族と言っても、お母様が死んだあとお父様が愛人を引き入れたから義理の母と弟と妹だ。

 アナナッサ伯爵家の当主だったお母様の血を引く私がいないと、あの人たちは困るからかろうじて生かしていたのかな、とも思う。


「ふふふっ………」


 でも、そんなことはどうでもいいのだ。

 私は笑いながらベッドに仰向けに横になった。


 黴臭い匂いもしなければ、藁と板の感触もない。


 本当に最高だった。


「さあ、明日から頑張るぞー」


 前世を思い出した私は、庶民的な口調で拳を握った。


 結局、私は冒険者ギルドのギルドカードを作ることにしたのだけれど、私が疲れているのを見て、ミレーネさんが、


『明日までにリア様のギルドカードと、受注可能な依頼のリストや無償貸し出しの仕事道具などを揃えておきますので、この建物の上にある寮で早めにお休みになってはいかがでしょうか』


 という親切な事を言ってくれてこういう状況になっている。

 更にミレーネさんは、


『食堂に行くのも疲れているようでしたら、お仕事を始めたばかりの冒険者の方にお渡しできる初級ポーションもございますから、こちらを飲んでお休みになってください』


 とも言ってくれた。

 私は入ってくるとき机に置いたポーションを一気飲みして、自分の水魔法で浄化の霧を出して歯と体を浄化する。

 そしてクローゼットの中に置いてあった前世で言う所のTシャツとショートパンツに履き替えると(家から着てきた粗末な灰色のワンピースの生地よりごわごわしない!)、泥のように眠った。


 この部屋は鍵がかかる。


 そして、最初の簡単な依頼は、まずは体と心を癒しながらゆっくりとこなしていっていいそうだ。


 空間魔法でたどり着いた先は、まるで楽園のような国だった。


 もう私はただの冒険者リアとして生きていくのだ。


 私は安心して目を閉じた。


「頑張って生きててよかったぁ」


 寮の部屋に私の呟きが溶けて消えた。

読んで下さってありがとうございました。

もし良かったら評価やいいねやブクマをよろしくお願いします。

また、私の他の小説も読んでいただけたら嬉しいです。

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