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ドアマットヒロインに番と名乗る獣人がやってきた。あなたの番が迎えに来たって? 番ですか、そうですか。さようなら  作者: ひとみんみん


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2.「心機一転。新しい街」

本日、2話投稿してます。これは1話目です。

「あっ?」


 気づくと私は大きな街の門の前に立っていた。


 形の違う大きな石をランダムに積んだみたいな門。

 その前に、芝生が敷き詰められた広場が広がっている。

 私はその中央に立っていた。

 足元をよく見ると芝生に紛れて、転移や飛行、移動魔法系を集中させる魔法陣が書かれている。


 私は門の方に寄っていった。


 ここがどこかも分からない。


 でも、転移する時に『できるだけ遠くへ』『私を受け入れてくれる所へ』と願った。

 少なくとも、私を虐げるあそこからは遠いだろう。


 門へ入る行列に並んでいると、程なくして私の番が来た。

 門番が笑顔で迎えてくれる。


「アイステリア王国ダンジョリアの街にようこそ。新しく街に入る人だね?」

「そうです」

「身分証は?」

「ありません」

「じゃ、この水晶に手をかざしてくれるかな。赤く光らなければ犯罪歴がないから、街に入れるよ」

「はい」


 門番とそんなやりとりをして、木の台に載せられている大きな水晶玉に手をかざした。

 家族に虐げられている事はあっても、私はそんなに大きな犯罪を犯していないはずだ。


 水晶は白く眩く光った。


「うん、魔力が多くて犯罪歴なし。じゃあ、この仮入国証を持って、ここからすぐ近くに見えるあの『冒険者ギルド』って書いてある建物に行ってくれるかな。疲れている場合はこのまま宿に泊まっても構わないけれど、仮入国証の期限は24時間で切れるから、それを過ぎると治安維持隊に捕まるよ」

「分かりました。丁寧にありがとうございました」


 ひらひら、と門番が手を振ってすぐ次の人に向き直る。


 アイステリア王国はずいぶん柔軟な国だ。

 と言っても、聞いたことない国だ。

 私はどこまで転移したんだろう。後で調べようかな……。


 私は門番に頭を下げて、速やかに『冒険者ギルド』と大きい看板がかかっている建物に向かった。




「いらっしゃいませー! 仮入国証をお持ちですねー! 0番の窓口へどうぞー」


 赤茶色のレンガ造りの『冒険者ギルド』に入ると、かわいい女の子が笑顔で受付に案内してくれる。


「本日は冒険者ギルドにお越しくださいまして誠にありがとうございますっ」


 そして受付ではこれまた綺麗な亜麻色の髪を三つ編みにした可愛い女の子がペコリッと頭を下げてくれた。


「仮入国者様、本日はアイステリア王国内での身分証にもなる冒険者ギルドカードを発行するという事でよろしいでしょうか?」

「はい、よろしくお願いします」


 私は強く頷いた。

 門番の人の感じからしてそうじゃないかと思っていた。

 前世で読んでいたライトノベルでも出てきた流れだ。


「ありがとうございます。そうしましたら、こちらにお名前と冒険者としての目安となる職業をご記入ください。あ、代筆もしておりますので遠慮なくお申し付けください」

「はい、あ、すみません。登録料とかって、きんとかでも払えますか?」


 外国に来たけど、外国のお金を払ってない事に門を通ってから気づいた。

 後、言葉が通じてる。

 え、文字は…………?

 申込書を見ると、普通に母国語で『名前』『職業』と書かれていた。


「登録料はお支払いいただかなくて大丈夫ですよ」

「……え?」

「…………………え?」


 あれ、この流れは違う。

 ライトノベルだったら、手数料をまず用意するのに苦労する流れでは?


 私たちはちょっとの間、首を傾げて見つめあった。


「………あ、申し訳ございません。どことなく仮入国者様が慣れていらっしゃるようなので、説明を省いてしましました」


 またしても受付の女の子はペコリッと頭を下げた。

 そ、そうか。

 確かに私、前世を思い出してここまで躊躇なく来たしね。


「コホンッ…………、では改めて、アイステリア王国立ダンジョリア冒険者ギルドへようこそっ! 私は、ここで受付嬢を務めておりますミレーネと申します」

「あ、私、……………………リアと申します」


 私は少しためらってから、元の名前のアメリア・フラガリア・アナナッサからリアだけとって名乗った。


「リア様。可愛らしいお名前ですねっ。そうしましたら、色々ご説明しますっ」


 ミレーネさんが、どこかからイラストが描かれた紙を取り出して説明を始めてくれた。


「まず、ここはアイステリア王国ダンジョリアの街。街に入るときに犯罪歴は全ての人がチェックされているので、街に入れた時点で冒険者ギルドに登録してこの町で活動する資格があります」


「もちろん、少数とはなりますが、お子様やご高齢の方や冒険者を希望されない方は、こちらから更に紹介状を書いて町役場か商業ギルドもご案内しております……………………」


 ミレーネさんは30分程度時間をかけて、私が質問する事にも丁寧に答えながらこの町の仕組みを教えてくれた。

 ミレーネさんいわく、冒険者ギルドは国立の為税金の補助もあり登録は手数料無料で行われること。

 冒険者の受ける仕事には、依頼人から少額の手数料をもらっており、税金と合わせて冒険者の負担にならない運営となっている事。


 冒険者ギルドの発行する身分証が一番発行が早いので、嫌でなければギルドカードを作った方が街で生活していくうえで便利でおすすめという事。


「なにより、この仮入国証をご持参いただいたという事は、門で『魔力が高い』という風に言われたと思いますが」

「あ、そうですね。そう言われました。火と水の魔法と空間魔法が使えます」

「ですよね、であれば、やはりギルドカードをお作りになられるのがおすすめです。こちらのギルドでは街中の宿泊施設よりも格安で泊まれる個室の寮を借りれますよ。簡単な依頼を何回かこなしていただければ1か月は泊まれます。ギルド職員も利用している食堂を3食無料で利用できます」

「簡単な依頼?」

「そうですね、最初は火種を作ったり魔法から作った水を売ったりですかね。あ、ご存じかもしれませんが魔法由来の水は錬金術等色々な事に使います」

「……なるほど」


 少し、気味が悪いほどにお得な説明を受けた。

 私の空間魔法が優秀すぎるのではないだろうか。

『できるだけ遠くへ』『私を受け入れてくれる所へ』と空間魔法に願ったけれど、これまでとは。


「なんか………こう言っていいのか分からないのですが、こちらに有利すぎないでしょうか?」

「あー……、リア様のご疑問はもっともですね。説明が足りなくて申し訳ありませんでした。今、アイステリア王国では王様が代替わりしまして、魔法を使える方に広く活躍してもらおうという政策が今までより更に強化されたのです」

「………なるほど」


 私の空間魔法がちょうどそういうキャンペーンをやっている国を察知して転移してきた、という事だろうか。

 空間魔法、便利すぎやしませんかね。

 前世を思い出すまでの私は、家族に虐げられて弱っていたのは分かるけど、さっさと自分の持っている有能な空間魔法で逃げればよかったのに。


読んで下さってありがとうございました。

もし良かったら評価やいいねやブクマをよろしくお願いします。

また、私の他の小説も読んでいただけたら嬉しいです。

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