11.「さっそく行ってみよう」
仮パーティーの名前は、エルさんと話し合って、
『黒の炎』(くろのほのお)
になった。
黒はエルさんの容姿を表していて、炎は私の火の魔法を表している。
本当は『炎の剣』とかにしようかと話し合ったけど、結構他の現役パーティーと名前が被るからちょっと捻ったのだ。
「黒っていう要素をパーティー名に入れると、闇魔法使える感じになりますー?」
「闇魔法?? 大丈夫ですよ。エルさんをみたら皆さん分かってくれると思いますし、リアさんが魔法使いさんなのは皆さん知ってますからね」
私がミレーネさんに確認すると、他と被ってないかリストを確認しながらミレーネさんが答えてくれた。
「僕は問題ないと思います。これで何かひっかかるようでしたら、パーティー本登録に進めた時にはまた話し合って決めませんか?」
エルさんがそう言って、眼鏡の奥の目を細めて笑ってくれる。
よく笑う人だな。感じのいい人だ。
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諸々準備してもう次の日からは、まず低層階でパーティーとしてのダンジョン攻略を始めた。
打ち合わせ通り、前衛のエルさんが身体強化魔法で動きの速いモンスターを倒し、少し発動に時間がかかる私が、魔法で体力の多い敵や飛んでいる敵など前衛の対処しづらい敵を倒す。
「ごめん、そっちいった!」
「わかった!」
私が魔法を当てられなかった敵を、エルさんがすぐにフォローしてくれる。
戦闘中は、敬語は時間がかかるから砕けた言葉にしようとも話し合った。
そのうち、戦闘中でなくても砕けた言葉になってしまいそうな予感がした。
エルさんは、パーティーを組むのは私と同じで初めてだそうだ。
それなのに、予想以上に判断がしっかりしていて、私の魔法をちょっと見ただけで、倒せそうな敵とそうでない敵、どのくらい時間稼ぎが必要かをきっちり分かってくれる。
「ファイヤーアロー!」
私は火の魔法を唱えて、エルさんが私に任せた体力の多い敵を一撃で仕留めた。
すぐにモンスターの魔石がドロップする。
エルさんが倒すのに手数が必要な敵は、逆に私の番だ。
私は一際大きい魔石をバックにエルさんにドヤ顔していたかもしれない。
いや、していた。
エルさんはそんな私を見て、柔らかく笑ってくれた。
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「すごいですね、リアさん。魔法の威力が素晴らしいです。それは独学で?」
「はい、いつのまにか自然に使えてました」
「それだけの威力の魔法を一人で習得はさすがです」
しばらく戦闘した後は、少し休むことになり、ダンジョン内のセーフティーエリアにて持ってきた飲み物とお菓子で休憩になった。
私がギルドのキッチンのオーブンを借りて焼いてみたクッキーを、エルさんは少しずつ大事そうに食べてくれる。
身体を動かした後は甘味が染みわたるのだろう。
私も前世は仕事でそんな余裕もなかったけれど、今世ではお菓子を焼いたりもできて大満足だ。
今世の下働きのような時間は……思い出さないようにしている。
「エルさんは剣をどなたかに習ったんですか?」
「ええ、師匠が居ます。マイナーな流派なのですけれど。師匠の事は尊敬してます」
「尊敬できる人が居るって良いですねー」
「ええ」
そんな雑談をしながら私は、エルさんと長くうまくやっていける気がしていた。
エルさんも私と雑談をしながら穏やかに微笑んでくれている。
私はエルさんと仲間になれる。
まだ会って二日目だけど、そう強く思った。
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