第十六話:「村落防衛戦と記憶の盾」
第十六話:「村落防衛戦と記憶の盾」
北部の無名村。
そこに暮らす者たちは、みな「記録から除かれた者」だった。
戦争で身分を失った者、制度からはじかれた者、そして救われたことすら覚えていない者たち。
そこへ、彼女は来た。
記録執行者アルマ・ノイン。
白紙降臨
森の奥から現れた白き衣。
その姿を見た老人が震える。
「あれは……“神”じゃねぇ、“消す者”だ……!」
アルマはゆっくり記録書を開いた。
「この村の名は存在しません。
村の全住民の記録不一致を確認。削除対象と判定します」
村に、“記録消去術式”が展開される。
地図から、名称が滲む。
井戸が崩れ、家の壁が剥がれ、「無かったこと」になっていく。
セーフライン、迎撃開始
「ここを消させるわけにはいかない」
ルディの声とともに、村の防衛戦が始まる。
【戦闘構成】
◆ ランハート vs 空間歪曲兵(記録操作下の兵)
剣がすり抜ける。
ランハートの斬撃が当たったはずの敵は、**記録上“傷を負っていない”**ことになっている。
だが彼は、剣を構え直す。
「記録が抜けても、この目は誤魔化せない。」
踏み込み、“視たとおり”に刃を走らせる。
一閃。実体を断ち、歪んだ記録を修正する。
◆ アマデオ vs 情報無記録型工作員
ナイフが効かない。音が出ない。
相手は“記録されていない兵士”――動きに一切の痕跡が残らない。
だがアマデオは笑った。
「記録が残らねえなら、こっちは“予測”で殺る」
自身の影に火薬を仕込み、動線に先回りする爆破。
爆風で体を浮かせた瞬間、逆手ナイフで一撃。
◆ ルディ vs アルマ(第一交差)
アルマが言う。
「この村を守る意味はありません。彼らは“歴史にいない”。」
ルディが答える。
「じゃあ、お前に聞く。
“誰の記憶にある者”は、救う価値がある?」
アルマは数秒黙り――、
「……不明。だが、処理対象であることに変わりありません」
記憶の盾:村人たちの叫び
戦闘の中で、子供の一人が叫ぶ。
「ウルフだよ! オレ、ウルフさんに助けられたんだ!」
一人、また一人、思い出す。
「名前忘れてたけど、剣を持ってた……大人だった……あの時、抱えて逃げてくれた!」
“記憶”が集まり始める。
アルマが立ち止まる。
「記録が……不安定……“複数の証言が同一存在を指している”……」
ルディが叫ぶ。
「お前の記録に名前が残ってなくても――俺は、ここに立ってる!」
ラスト一文
記録が歪み、白紙の術式が止まる。
アルマはその場から離脱しながら、初めて一言つぶやいた。
「これは、消せない可能性……“記憶の反乱”か……」




