第七話:「ギルドの中の敵」
第七話:「ギルドの中の敵」
バストレイドの冒険者ギルド、朝の喧騒。
だが、その空気が、静かに淀んでいた。
依頼が不自然に偏っていた。
セーフラインへの依頼は減り、代わりに特定の低評価パーティが高報酬の任務を受けている。
同時に、“失敗率”も上がっていた。
「誰かが、依頼をコントロールしてる」
アマデオが口を尖らせる。
「わざと失敗させて、街の治安を崩して、そこに“裏組織の警備役”を割り込ませる。筋は通る」
受付嬢・リュシアの密告
その夜、ルディは受付嬢リュシアから密かに呼び出される。
「……危険ですが、あなたになら話せます」
リュシアの声は震えていた。
「ギルド内部に、黒商連と繋がった者がいます。依頼の割り振り、記録の改ざん、圧力。
それを行っているのは……副管理官のマリウスです」
マリウス。冷静で計算高く、古参の管理職。表向きは無害。
「私は記録を集めています。けれど私一人では暴けません。証人も必要です。……あなた方に、力を借りたい」
証拠を奪う作戦
マリウスのオフィスは、ギルド本部の上階。
厳重に管理されたその部屋に、深夜の忍び込み作戦が決行される。
アマデオの影渡り。
ランハートの目視偽装。
ルディは下層で“見張りの買収”と“警備動線の撹乱”を担当。
その一連の動きが、完璧だった。
部屋に侵入したアマデオが発見したのは、帳簿と裏名簿。
しかも、依頼者情報にはエルナの名前が“黒で塗り潰されていた”。
「……ターゲットになってたんだな、最初から」
裏切り者、現る
だが、帰路。ルディの前に立ちふさがったのは、副管理官マリウス本人だった。
「お見事。さすが、セーフライン」
ローブを脱ぎ、静かに短杖を構える。
「記録を盗んだ者を消せば、記録もなかったことになる。単純な話です」
ルディの目が細まる。
「……裏組織に売ったか。何の見返りだ」
「立場です。権威です。世界の真実に、近づく機会です」
戦闘:マリウス vs セーフライン
マリウスの魔法は強力だった。
【連鎖指令魔法:ファントムチェイン】
幻影と鎖による束縛魔法。動きを封じ、意識を裂く。
だが、ルディは言った。
「見えなくても、“意志”は縛れない」
アマデオが幻影の裏を見切り、ランハートが鎖を叩き斬る。
そしてルディは、真正面からマリウスの腹に“セーフブレイカー”の柄を叩き込んだ。
ガンッ!
「これが“誠実”だ。“約束された正義”じゃない。“自分で立つ”ってことだ」
マリウスは沈黙し、その場に崩れた。
ギルドの決断
翌日、マリウスの記録が公表され、ギルド内粛清が行われた。
ルディたちは正規の調査班に協力し、内部からの信頼も一層強くなる。
「……これが、俺たちのやり方だ」
そう言ったルディの背に、リュシアがそっと一礼する。
ラスト一文
だが、その報告書が届くより早く、遠くの拠点で一人の男が書類を読み終えていた。
ヴィート・カラッジオ。
「……やはり消すべきだったか、“誠実な奴”は。次は、狩るぞ」




