第五話:「ラズ・ファルディア、突入」
第五話:「ラズ・ファルディア、突入」
これはセーフライン初の「殺しに来た敵」との正面衝突。
アクションと緊張感、そして各メンバーの実力を本気で描く回だ。
第五話:「ラズ・ファルディア、突入」
それは、**“不意打ちの中の正面突破”**だった。
夕刻、バストレイド西部、冒険者ギルド近くの訓練場。
アマデオとランハートが軽い調整訓練を終えたその時、空気が変わった。
「来るッ!」
アマデオが叫ぶより先に、何かが“横”から来た。
ザンッ!
石壁に斜めに入った深い切り込み。
誰かがいた場所だった。だが、誰も見ていなかった。
「視界の外……まさか、“瞬撃術”か」
ルディの声に、風が答えた。
「正解。さすがね、“誠実おじさん”」
そこに立っていたのは、長身の女。白銀の髪。背に長剣二振り。
――ラズ・ファルディア。
黒商連戦闘部隊の最凶剣士。
静かなる開始
ラズはふわりと笑う。
「殺さないわ。上が止めたから。でも“実力”は確かめに来た。あなたたちが“邪魔”になりそうか、ね」
「なら……全力で応えよう」
ルディの剣が抜かれる。
1st Clash:ラズ vs ランハート
最初に動いたのは、ランハート。
剣を抜く前の“気配”で踏み出し、剣を抜きつつ斬りかかる。
だが――ラズはそれを、見てから避けた。
「悪くない。けど、若い」
彼女の刃が逆に唸り、ランハートの剣を弾く。
彼の剣が初めて、正面から打ち負かされた瞬間だった。
2nd Clash:ラズ vs アマデオ
背後からナイフが滑る。
視線誘導からのフェイント、地を這う影――盗賊のセオリー通りの奇襲。
だがラズは、剣の腹で受けた。振り返りもせずに。
「軽すぎ。子猫の爪じゃ、狼は倒せないよ?」
アマデオのナイフが、折られた。
Final Clash:ラズ vs ルディガー
ラズが向き直る。白銀の双剣を抜き、静かに構える。
「で、あなたは? 誠実って、剣に通じるの?」
「通じない。でも、止められる」
ルディのロングソードが、一歩踏み出す。
鉄アレイを思わせる重さと質量、剣じゃない“質”で剣を受ける。
ガンッ!
ラズの一撃を、剣の腹で真正面から受け止めた。
次の瞬間、短剣が抜かれ、**脇腹をかすめる。**彼女の動きが初めて乱れた。
「……おもしろ」
ラズは後ろに跳んで着地する。
「あなたたち、“面白い”。殺さないの、勿体ないわね」
そう言い捨てて、ラズは霧の中に消えた。
ダメージと対話
全員、軽傷。だがアマデオは左手のナイフを失い、ランハートは剣を削られた。
「勝てなかったな……」
「いや、負けてない。退かせた。 それで十分だ」
ルディの言葉に、二人がうなずく。
「“誠実”ってのも……通じるかもしれねぇな。剣の形じゃなく、意志の問題だ」
ラスト一文
ギルドの高台で、ヴィートが呟く。
「ラズが“面白い”と言ったか……では、本当に潰さなきゃならなくなるな」
その目は、笑っていなかった。




