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診察室



かーくんのその言葉にはたと気づく。



そういえば僕、他の人たちのこと全く頭になかった…

来た時は気になってたのに。



「…かーくん、やっぱりエスパーなの?」



思ったことを口に出すとかーくんはキョトンとした後

「っぶは!!」と笑いだして


「っはぁ、そんなわけないだろ?

お前が大事でよく見てるからわかるんだよ。


でもな、俺でもわからないことはたくさんある。

千歳が教えてくれないと俺も不安になることあるよ?」



「えっ?かーくんも不安なの?」



いつも僕のこと理解してくれてやってくれて僕の知らないことも教えてくれるしスパダリだと思ってた。



「そんなに意外か?」


「うん。だっていつも自信ありげでかっこいいもん。」


「それは千歳にかっこいいって思われたいから頑張ってるだけ。本当はカッコ悪い男だよ」


「そんなことないもん!かーくんいつもかっこいいよ!!」




『はいはい、お二人さん、わかったから早く入ってきて〜』


診察室の扉の前で立ち止まって話してたから中にいた先生から声がかかる。



「すみません、つい話し込んじゃって…」

「…ごめんなさい」



改めて診察室に入り少し座面の高さが違う椅子に座る。


ダイナミクス専門のクリニックならではの気遣いで椅子の高さがちゃんと違う。Subの性質でDomより高い位置や同じ高さだとソワソワしてしまうから。




『はい、今日はどうしました?

事前の問診票では千歳くんが不安定だとか…』



「今朝から様子が少し気になって。俺的には不安定期なのかなと思ったんですけどやっぱり専門家の意見が聞きたくて」


「僕、不安定期って初めて聞いたんですけどそんなのあるんですか?」



『不安定期はあるのかと聞かれれば答えはyesだね。

それじゃぁ詳しくお話聞かせてもらおうかな』




このクリニックの先生は僕が昔からお世話になってる病院から独立開業した個人クリニックの先生なんだけど、

かーくんが色々調べてこのクリニックに行ってみようとお付き合いを始めてから通いだした所。



先生はDomだけど看護師さんやリハビリの療法士さんはUsualやSwitchが多くDomは数人しかいない。



Subの患者さんが1人でも通いやすいように診察室の中には常にSwitchの看護師さんとUsualの看護師さんが待機していて先生が怖いと感じたら看護師さんを通じて先生の問診を受けられる。



僕は今朝から胸の中がザワザワしていること、

何かおかしいけど何がおかしいかわからないということ、

急に大きな声を出してしまったりテンションが下がったりすることなどを一生懸命話して、それからかーくんから見た様子を捕捉してもらってようやく説明が終わった頃にはすごく疲れていた。



「…あの、うまく説明したいけどできなくて、それで、えっと…」

「千歳、慌てなくて大丈夫だから、一旦落ち着こうな」


「…っ、僕まだ頑張れる!ちゃんとできるから…っ」


「うん。わかってるよ。

千歳が一生懸命伝えてくれるの。


でも、ココ、ザワザワしてるでしょ?」



そう言って僕の手を取って僕の胸に当てるかーくんに涙が溢れて嗚咽混じりになりながら「でも、でも、!」と続けようとして。けど喉が詰まって上手く声が出せなくなって思わずかーくんに抱きついてしまう。



「頑張って話してくれてありがとう!すごく頑張ったな、Goodboy!!!」



かーくんがぎゅっと抱きしめて褒めてくれてやっと少しだけ落ち着いて自分が過呼吸気味になっていることに気づいた。


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