僕の好きな時間
読みづらいとは思いますが、大丈夫な方はお付き合いください(>人<;)
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カーテンの隙間からはチラチラと外の光が差し込む。
まだまだ寒い季節で布団から出るのが辛い…。
隣にあったはずの体温は目覚めた時にはすでに冷たくなっていて開いているドアから明かりが漏れていてキッチンの方からはいい匂いと規則的な音が聞こえる。
もそもそとベッドから起き上がるも寒くて布団を頭からかぶって小さく疼くまる。
(早く隣に行きたいけど…でも、迎えにきて欲しいなぁ)
僕の中では寒さと寂しさの葛藤が始まった。
「…かーくん」、ぽそり。と彼の名前を呼ぶ。
こんな寝起きの掠れた小さな声ではキッチンまで届かないとわかっている。しかも今は布団にくるまっているし余計に声が篭る。だけど何故だか今朝はひどく気持ちが塞いで不安が募る。泣きたくないのにジワリと目元が熱くなって必死に押し留めるけどそれも叶わず一粒ポロリと落ちてしまった…
「おはよう、千歳」
フローリングを滑るスリッパの軽い音がして待ち侘びた声が入ってくる。
僕を布団の塊ごと抱きしめてぎゅーっとしてくれる。
それだけで不安も寂しさも軽減して少し楽になったけど彼と僕の間にある布団に何だかいい気分がしなくて寒いのは嫌いだけど布団から頭と腕を出して彼の首に巻きつける。
「おはよ、ございます」
彼は布団から僕を引っ張り出して膝に乗せながら優しくトントンと背中をあやすように撫でて耳元で甘く囁く。
「寂しくなっちゃった?ちょうどご飯できたから一緒に食べようと思って起こしに来たんだよ。そしたら寂しがりの子猫が俺のこと呼んでたから、つい可愛くて捕まえちゃった」
そういって僕を抱き上げてリビングまで運んでくれる。
そこはすでに空調が効いて暖かくほんわりとしていて…
僕専用のまぁるいオフホワイトのシャギーラグの上に下ろしてくれた。
「Kneel…ん、上手」
やさしく頭をひとなでしてすぐ後ろにあるソファに腰掛けて足の間に僕を引き寄せてモコモコのブランケットをかけてくれる。
すぐ目の前にあるローテーブルには美味しそうな朝食が用意されていて今日はベーコンエッグとクラムチャウダーと、
・・・・・トマトサラダ。
思わずトマトを睨みつけるが、かーくんは僕を見て笑みを深めるだけで許してはくれない。
「さ、冷めないうちにご飯食べよう」
そういうとかーくんはスープを掬ってフーフーしながら僕の口元に持ってくる。
「はい、お口あーんして」
言われた通りにあー、と口を開けるとトロッとしたクラムチャウダーが入ってきて。うん、今日も美味しい。
ちょっとだけ熱くて「んっ」てなっちゃったけど彼はごめんねと謝って僕用にぬるくしたカフェオレを口元に持ってきてくれる。
極度の寒がりで末端冷え性の僕のために温かいものをたくさん用意してくれるんだけど僕は猫舌でかなりのぬるさじゃないと飲めない。だから僕の分は先によそって冷ましておいてくれる。だけどあんまりぬるすぎても体が温まらないから僕にしたらほんのちょっと熱いくらいで食べさせてくれる。
毎朝恒例の僕の好きな時間…。
「おいし?」
「うん、すごく美味しい」
僕の返事にかーくんは穏やかな笑顔で頭を撫でてくれる。
それが大好きでもっと撫でて欲しいと思う。
「・・・・・」
せっかくいい気分だったのにかーくんの手元には真っ赤なアイツ…
「はい、次いくよ〜、あーん」
「……」
僕は口をクッと引き結ぶ。
「ほーら、今日は美味しいかもしれないでしょ?」
「…じゃぁ、かーくんはレバー美味しいと思う?」
「・・・思うよ?」
「うそだ……んむっ!」
「はい、おじょーず。しっかり噛んで食べるんだよ」
ニコリと笑って自分の口にもサラダを運んでる。
・・・油断した。まだ話してるのにフォークを口に突っ込まれた…!!!
「…っ、かーくんのいじわる!僕がトマト嫌いなの知ってるくせに!!」
「ふふっ、そんな顔もかわいーね?」
「僕怒ってるんだけど?」
「怒ってもダーメ。ほらもうひと口がんばろ?」