第4話「学院案内」
第4話になります。
いよいよ生徒たちに学院を案内、そして生徒を紹介してもらうことになった夕貴。
だが、代表生徒である亜希たちの口からは少し不穏な言葉が…
「!あ!夕貴先生ー!」
夕貴が理事長室から出てくると、麻弥が走ってきて出迎えた。
「!えっと…麻弥ちゃん、お待たせ。今手続きが終わったよ。」
「!お疲れ様です。では、早速ですが学院を案内しますね。こちらにどうぞ。」
夕貴の言葉を聞いた亜希は、にこりと笑って歩き出した。
「!うん、お願いします。」
「行こー!先生、こっちこっち!」
麻弥は夕貴と手を繋ぎ、楽しそうに歩き出す。
「…それにしても本当に広いんだね、この学校…」
「そうですね。私も初めて来た時はびっくりしましたよ。」
亜希は夕貴の言葉に賛同するように頷いた。
「よし…まず、この3階には先程の理事長室の他に、音楽室、美術室、家庭科室、化学実験室があります。あ、これは学校の地図です。」
亜希はそう説明すると、夕貴に学校の地図を手渡した。図解入りで分かりやすく部屋の配置が書かれている。
「!ありがとう!助かるよ。」
「ふふ、最初のうちは迷っちゃいますもんね。」
「先生、もし迷子になったら、麻弥が助けてあげるね!」
女子2人が笑顔で話す中、零と蒼真は少し遠慮がちにしていた。
「!大丈夫だよ、2人とも。そんなに緊張しないで。」
「!うん…」
亜希に声をかけられた蒼真は、そっと夕貴の手を握った。
「…先生、おててつないでもいい?」
「!うん、もちろん。」
夕貴はにこりと笑いかけ、蒼真も嬉しそうな顔をした。
「じゃあ、次は2階に行きましょうか。…うん、この時間なら多分みんな教室にいると思います。今日は授業はお休みなんですけど、月に1度の教室の大掃除の日なんです。」
亜希はそう説明し、階段を降りていく。
「麻弥のお友達も紹介するね、先生!」
「!僕も…!」
「!ありがとう、楽しみだな。」
楽しそうにする麻弥と蒼真とは対照的に、零と亜希は少々気まずそうな顔をした。
「?2人とも、どうかした…?」
「!あ、いえ、すみません……その……」
亜希は階段を降りる足を止め、夕貴の顔をじっと見つめた。
「…あんまり、驚かないで下さいね…皆、結構癖が強いって感じなので…」
「…特に、中等部と高等部は……」
2人はそう言うと小さくため息をついた。
一体どんな生徒たちが待ち受けているのか、夕貴は緊張した面持ちで階段を降りるのだった。