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第2話「代表生徒」

第2話です。

初めて、一部の生徒が登場します。

夕貴はペコリと頭を下げて自己紹介をした。


それを聞いた生徒たちの表情がぱっと明るくなる。


「夕貴先生!よろしくねー!」

「こちらこそよろしく…!あ、そうだ、私達も自己紹介しないと…」


すると、4人の中で最年長らしきメガネの少女が夕貴に向き直った。


「初めまして。黒ノ森学院高等部の、東山(ひがしやま) 亜希(あき)です。よろしくお願いします。」


亜希と名乗った少女はペコリと丁寧に頭を下げる。


透き通ったエメラルドブルーの瞳に、すっきりとしたハーフアップが良く似合う、いかにも優等生といったような風貌だった。



この少女が、罪を犯した問題児…?



夕貴は信じられないというような顔をするが、すぐに切り替える。


「東山さん、よろしくね。」

「!はい…!じゃあ、皆も自己紹介しようか。」


亜希は他の3人にも声をかけた。


「はーい!夕貴先生、初等部の御法川(みのりかわ) 麻弥(まや)です!よろしくお願いしまーす!」


そう言うと、麻弥という少女はにっこりと笑って夕貴と握手をした。


髪の片側を可愛らしいヘアアクセで結い、その無垢な黄色の瞳でこちらを見あげている。


彼女は初等部…つまり小学生だ。こんな幼い子まで…?


夕貴は脳内に渦巻く疑問を何とか抑えつけ、麻弥に笑いかけた。


「麻弥ちゃん、よろしく。」

「うん!」


ふと、無邪気に笑う麻弥の後ろにいた少年が夕貴の前にてこてこと歩いてきた。


「!」

「…雪原(ゆきはら) 蒼真(そうま)です。ようちしゃ、にいます。えっと…よろしくね…?」


少年は少し遠慮がちに呟くと、上目遣いでこちらを見る。


蒼真というその子は、美しいブルーの瞳に、お金持ちのお坊ちゃまのようなフリルシャツとサスペンダーパンツを着用していた。


こんな子が本当に、という疑問もそうだが、何より「幼稚舎」という単語に夕貴は驚きを隠せなかった。


幼稚園生だぞ?なのにこんな所に…と思わず考え込んでしまう。


「…?先生?」

「!ご、ごめんね!蒼真くん、これからよろしくね。」


夕貴は慌てて蒼真に笑いかけた。


「……あの……」


すると、突然隣から小さな声が聞こえた。


「わ!?」

「!あ、あの、すみません…ち、中等部の、間宮(まみや) (れい)です…よろしく、お願いします…」



しどろもどろに自己紹介をしたその少年は、申し訳なさそうに目を伏せる。


紫色のウルフカットで、片目は前髪で隠れて見えない。そしてマスクで口元を隠しつつ話していた。


零と名乗った少年は、いわゆるシャイな人見知り、というような印象だった。


「零くんだね。よろしく。」

「これで代表生徒は全員です。手続きが終わったら、私たちが学校を案内しますね。」


4人全員が自己紹介を終え、亜希がまとめるようにそう言った。


「!ありがとう。それじゃあ、手続きに行ってくるね。…理事長、お待たせしました。」

「いえ。では行きましょう。」


夕貴は百合子に一言声をかけ、再び歩き出した。


「…とても、この学院にいるとは思えなかったでしょう?」



すると、百合子がまた夕貴の心中を察したように言った。


「!え…」

「見かけはどこにでも居るような普通の子供たちです。けれど、その内面は…」


百合子は理事長室の扉を開きつつ、ぽつりと呟いた。



「…闇を抱えた、咎人達なのです。」





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