第0話 序章
小説初投稿の初心者が作成した小説です。
設定の矛盾など諸々至らない部分はございますが、一読頂けたら幸いです。
その男は、車から降りると小さく身震いした。
男が連れてこられたのは、とある暗い森の奥。そこは、一度迷ったら、二度と出て来れなそうなくらい鬱蒼としていた。
この森は通称「黒ノ森」。その不気味さとある理由から、近くに住む人間たちでさえ滅多に近寄らなかった。
して、この男が何故そんな場所にいるのかと言うと…
この森の奥にある、とある場所に呼ばれたからであった。
いや、厳密に言えば、とある場所に派遣されたからだ。
その場所というのが、今男の目の前にそびえ立つ、大きな黒い建物である。
『黒ノ森学院』
建物の正門らしき場所には、そう書かれたプレートが掲げられていた。
男がプレートから目を離し、再び建物に目をやる。
「……わ!!?」
すると、先程までは誰もいなかったのに、突然目の前に一人の女性が現れた。
全身真っ黒な洋服に身を包み、その漆黒の長い髪の毛が風でなびいている。
そして、その顔立ちは美しいものの、瞳からは光が失われ、肌は青白かった。
「死神」というような表現が、失礼ながらも似合う。そんな女性だった。
「……あ、あの……」
「…お話は既に聞いています。白井 夕貴さん。お待ちしておりました。」
男が言葉を紡ごうとしたその時、その女性が口を開いてそう告げた。
白井 夕貴。それは、この男の名前だった。
「っ!」
夕貴は驚き、目の前の女性をじっと見つめる。
「…ようこそ、咎人達の学び舎、黒ノ森学院へ。」
ーこれは、白井 夕貴という一人の男と、黒ノ森の咎人達の物語である。