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4-2 ドルシーのアドバイス

「うーん……食欲もない、というよりも何だか味覚?嗅覚?がおかしくて食べる気にならないわねぇ」


 しかし、子供の規範となるべき母たるもの。

 好き嫌いをするわけにはいかない。

 それに心配をかけたくないので、行儀は悪いが息を詰めてこっそり水で流し込んでいる。


「ドルシーが集めてる薬草に良いのがあれば良いんだけど……」


 薬師としての仕事も少しお休み気味だ。

 この世界の植物は優秀で、上手く作れば日本における薬よりも効果が高く副作用がない。

 ただし匂いがキツいのばかり。


 猫達も作業中は近づかない。

 だけではなく、扱った薬草によっては数日近づいてくれなくなってしまう……お風呂入ったりしてもわかるのね。


 トリーシャも嗅覚が何故か過敏になってからは、煎じていて思わず吐きそうになったので、とても作業はやっていられない。

 ドルシーがどういう売り方してるのか、トリーシャの作った薬はやたらと高くあちこちで売り付けてるようで評判も悪くないみたい。


 せっかく販路拡大してくれたみたいなところ申し訳ないけど、薬師としてはしばらく休業ね。

 ドルシーが使う分だけは既にストックがあるから良いんだけど……。


 そう考えていると、(くだん)美少女(魔物使い)が元気よく現れた。


「やっほー! 来てあげたわよ。具合悪いんでしょ?」

 

 冒険者の鎧は身につけていないものの、最近は動きやすそうな服を好んでシンプルな格好をしている。


 良かった……相棒のグレートパンサー(グレープちゃん)は連れてきていないみたい。


「いらっしゃい。そうなのよ……最近どうにも調子悪くって。

 何か吐き気や疲れやすさに効くのはないかしら?あと、ずっと熱っぽいというか……」


「ふむふむ……なるほど。食欲は?」


「あんまりないわね……なんだか匂いに敏感になって、すぐに吐きそうになるのよ」


「なるほどなるほど……」


 ドルシーは腕を組んでウンウンと頷きながら聞いてくれる。ワガママっぽいけど意外と面倒見が良くて聞き上手なのよね。


「わかった……かも。それは下手に薬草を使わない方が良いわね。ダメよ、勝手な判断で飲むのは。お医者さんに体の変化について全部伝えなさい」


 ドルシーは思いの外真剣な顔で伝えてきた。


「えっと……何かわかったの?」


「わかった。でも、嬉しいことでも、そうじゃないことでも曖昧なことは言うべきタイミングじゃないわ。とにかく早くお医者さんを……今日にでも呼びなさい!わかったわね?なんなら私が良いお医者さん連れてくるけど!?」


 ドルシーは話していて興奮してきたのか、顔を近づけつつ声が大きくなってきていた。

 トリーシャはドウドウと手でドルシーを宥めつつ困り顔で返事をする。


「わ、わかったわ。お医者さん頼るのが確実よね」


「そう!また明日くるからお医者さんがなんて言ってたか私に教えてよね!外にグレープちゃん待たせてるからまたね!」

 

 若き冒険者の少女は嵐のように去って行った。


 そして、アドバイスに従って医師を呼び、トリーシャが受けた診断は…………


 

いつも読んでいただきありがとうございます!

トリーシャの異変については皆様の予想通りということで……( ´ ▽ ` )

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