表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/63

3-26 最強の助っ人あらわる?

「オーナー様美しいです」


「あら、そーお?」


「若奥様お綺麗です」


「ふふふ……そんなぁ。照れるわぁ」


「若々しくて殿方が放っておきませんわ」


「そうかしらぁ〜」


 姿見を見るが、スカート丈は足をしっかり隠す長さがあるし、少し少女趣味な感じはするが意外と似合っているのではないかと思う。


 元々キツイ顔立ちだったはずが、前世の記憶を取り戻してから時間が経過すると共に、険がとれて顔立ちが柔和になってきた気がする。

 前世の自分に少し似てきたというか…………正直なところ少し太ったというか…………。


 ううん……前のトリーシャは痩せすぎだったのよ。そのせいで骨張って余計に顔がキツく見えていたの。今が適正体重!よかったよかった。


「……………………」


 ま、いいのよ!これで!

 よし、満足したしお仕事に取り掛からないと!!!


 トリーシャは自らを納得させた。

 そして、ササっとメイド服は脱いだ。

 流石に貴族の夫人が使用人の服を着て一般人の衆目に晒されるのは不味い。

 お堅めの暗い色味のドレスに着替えた。


「私は忙しい時間にお会計するだけだからね」


 とはいえ初日は人数も少ない。なるべく店にいようと頭の中で予定を立てる。

 

 さて、開店の時間だ。


「「「おかえりなさいませお嬢様」」」


 メイド達一斉に頭を下げる。

 そして、


「「「にゃー!」」」

「「「にゃん」」」


 猫達の中から人懐っこいのが、お客さんの足元に優雅さを忘れずにゆるりと近寄る。


 聞き慣れぬ挨拶と沢山の猫に目を丸くするお嬢様二人組を、メアリーが本物のメイドの余裕と貫禄でしっかりテーブルへ案内する。


 お、ミケがお客さんの膝に乗って撫でさせてやっている。

 見たところちょっと裕福な平民のようだ。


 金のある貴族はメイドさん目当てには来ないだろうとトリーシャは考えている。

 家に帰れば本物がいるし、もっと高いレベルで仕えてもらえるからだ。


 メイドが身近ではなく珍しい程度の……しかし、こうした不要な道楽に金を出せる程度の家柄がメインターゲットになっている。


「かわいいー」

「おいでおいで〜」


 各種おもちゃは無料で貸し出している。

 うちから連れてきた猫達がお客さん達にすりすりと近づいて膝に乗って撫でられ、他の猫達の見本となっている。


 猫達もすぐに慣れて店内はすぐに賑わってきた。


「意外と男性客もいるのね……」


 女性客ばかりになると思ったが、単身店に来ている人もいる。

 もちろん女性やカップルの方が割合は多いのだが。

 

 セオドアとレオは端っこの席をずっと占領している。

 既に地味な服に着替えているトリーシャに無駄に熱い視線を投げかけてくる。

 目が合うと微笑んだので微笑み返す。


「あら、オーナーったらお熱い……」

「ねー……」

 

 風邪ひきを逃れたバイト達がヒソヒソと囁き合いながら生暖かい眼差しで見てくる。


「……………………くっ」


 恥ずかしい!羞恥!!!仕事に集中しないと!!


 幸い客足が途絶えず、すぐにセオドアの目線は気にする余裕はなくなってきた。

 お会計のトリーシャは実はファミレスでのバイト経験がある。なので、客をあまり待たせることはなく次から次へと捌いていた。

 これもまた現代知識による無双?……とは違うけど、前世の経験が活かせたわね。

 人生二回目舐めるんじゃないわよ。

 

 トリーシャは素早く客を捌きながら、ご機嫌で増えていく売り上げにホクホクと微笑んだ。


「忙しいけど楽しいわね! これならたまに手伝いに来ても良いかも?」


 セオドアは仕事に行く時間になり、惜しみながらもレオと共に一旦帰ることになった。


「大盛況ですね。流石トリーシャさんです。全部指示に従えば何もかも上手くいきますね。心配はないと思いますが……トラブルがあったらすぐに助けを呼ぶんですよ」


「お母さん、またね」



 二人に手を振って、更に仕事に邁進。

 お店はますます混んできた。

 

 連れてきた助っ人プロメイドのメアリーは獅子奮迅の勢いで仕事をしていた。

 運ぶ料理の数が凄い。片腕に二つも三つも皿を乗せつつ笑顔を振り撒いている。

 でも、熱いお茶のお盆を頭に乗せて運ぶのは危険では?家ではそんなことやってるの見たことなかったけど、プロのメイドって凄いのね。


 しかし、それでも店が回りきっていない。少し焦りを覚えたころ、店長とスタッフ達から相談をされた。


「オーナーすみません、あんまり忙しいんでロボを使っても良いですか?」


「ロボ……ですか?」

 

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「ネコ配膳ロボ」これは半年前の私が創作メモに残したたった一つのメッセージです。

意味不明過ぎるし、なんでそんな単語を異世界恋愛ものに書いたのか考えてもわかりませんでした。しかし、せっかくなのでネコ配膳ロボが出てくる話を作ってやろう!と思って書いてるお話です。


少しだけ話のストックができました。最終章のプロットを簡単に書いているので、もう少しお付き合いくださると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
追いついたー! この世界でどう猫配膳ロボを出すのか楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ