第3-20 パワーでスピリチュアル
老婆は――名前をフレアと言うらしい――包めそうなものは全て包み、持ち帰りには適さないものを優先的に食べた。
豪快な食いっぷりと、一切の遠慮を知らない態度に、トリーシャはもう唖然からの感嘆に至っていた。
胃腸がこれだけ丈夫なら長生きしそうね……
「ご馳走様。残りは夕飯にでもするよ。それじゃあたしはこれで……」
「ストーップ!待って!無料で食べてそれで終わりは無しでしょ!」
「しかし、食べた後は少し寝るのが習慣で……」
「ダメ!ダメダメダメ!食べた分と持ち帰る分は喋っていって貰うわよ!」
それを聞いてフレアはため息をついた。
「やれやれ……最近の若いのは年寄りをすぐにイジメる。まぁ、いいじゃろう。あんたは選ばれた存在に間違いない。その目を見ればわかる。あ、せっかくだからこの季節の果実のジューシーソルベを頼もうかねぇ」
「もう好きにしてくださいな……」
やたらとよく食べるフレア婆さんの語るには、トリーシャは選ばれし存在らしい。
しかし、この世界にあまりにも大きな影響を与えるので、その分だけ厄介ごとに巻き込まれる可能性が高い……との事だ。
ムシャムシャしながら語っているのを要約するとそんな感じであった。
「じゃあ私はどうすれば良いんですか?」
「ふむ……心配ならば」
♢♢♢♢♢
「あら、そのブレスレットなぁに?」
一緒に学園の事務室で作業に従事するジンジャーがトリーシャの手首に連なる石の輝きに気がついたようだ。
「うん、これは特別な力が籠ってる石なの」
「…………なるほど?」
う……可哀想な人を見る目で見てくる!
やっぱり一般的なアイテムとかじゃないんだ……。
確かに怪しいことこの上ないし、前世なら絶対に信じない所だけど、魔物にドラゴンもいるのよ!?特別な力の籠った魔法のブレスレットくらいあるでしょ!あるよね?あるべきなのよね!?
「ま、まあ何か色とか気に入ったし、雑貨屋さんでそういう謳い文句で売ってたのよ」
トリーシャは言い訳みたいに早口で言った。
幸いジンジャーは不審には思わなかったようで「ふーん」と興味なさそうに相槌を打った。
変な人とは思われなかったみたいでセーフ!
でも……!
これを付けていたお陰なのかちょっと良いことあったし!なくしていたアクセサリーが見つかったり、ちょっと気分変えていつもの通りをとおらなかったら、事故に巻き込まれずに済んだんだもん!
「別にこれを魔法のアイテムって思ってる訳じゃ無いのよ……?」
トリーシャは念のために言っておいた。
「そりゃそうでしょ。神の祝福や呪いの籠ったアイテムなんて殆どが国宝級の代物だし、公爵家ならあっても不思議はないけど、こんな普段使いするなんて思ってないわ」
「え……あ、うん。そうよね…………」
魔法のアイテムは実在するんだ……。
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