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第3-10 ドルシーの逃避行

「トリーシャ!助けて!」


 ドルシーが着の身着のままやって来た。

 ゆったりしたドレスは本当に部屋着の様だ。


「どうしたのよ」


 可憐で愛らしい容姿に似合わず、めちゃくちゃ気の強いドルシーが逃げてくるなんて何があったのか。虎か熊でも現れたか?


「お父様が私を結婚させるってー!」


「あらあら……」


 お年頃の貴族の令嬢たるもの仕方がない話かも知れない。


「クソデブ豚野郎と結婚させるって!」


「あらあら…………」


 お口が悪くなってるわ。

 しかし、高位貴族の令嬢で女神そのものの美貌を持つドルシーなら、どんな男でも――超絶鈍感男のセオドア以外なら――選びたい放題なのに。

 侯爵家がお金に困っている話は聞かないのに可愛い娘をそんな男に嫁に出そうとは。


「そのクソデブは何処のどなた様?」


「ルドヴィック・ノルディア」


「え……!?こ……皇帝陛下!?」


 大陸の大国の皇帝陛下の名前!トリーシャは流石に予測していなかった名前に驚きを隠せない。

 

「逃げて良いものなの?国際問題?」


「絶対イヤなの!なんか私の見た目が気に入ったとかで何としても嫁にって言ってるって!

 お父様がしつこく話持ってこようとしてるからお兄様の所に逃げてたのに!」


 確か皇帝には三人の妃と五人の子供がいて、一番上の王子は既に十歳を過ぎていたか……。

 見た目は…………まあ、うん……置いておいても嫁いで幸せになれそうな環境か微妙な所だ。


「とりあえず……今日はゆっくりしていって」


「トリーシャならそう言ってくれると思ってた!」


 ドルシーは猫四天王を侍らせて寛ぎ始めた。ニコニコと機嫌が良さそうで、本当に大物だ。

 しかし、トリーシャは舞い込んで来た国際問題に頭が痛い。

 友人を他国に売り渡すつもりは無いが、公爵家も流石に国相手にどこまでドルシーを守れるのか。


「セオドアは?」


 ソファに行儀悪く寝そべりながらドルシーが可愛く小首を傾げる。

 ハニーブロンドがサラサラと流れる様はそれだけで絵になる。見た目だけなら本当に完璧。中身も好みかは分かれそうだけど面白いから好きなんだけどね。


「今日は帰ってこないわよ」


「ふーん。ラッキー!」


 ドルシーはセオドアのこと長年好きだったはずなのに、最近は邪険に扱っている。

 セオドアの本性を理解したらしい。キラキラの王子様系統じゃないのよ。


「うおーい!ドルシーいるかー?」


「ゲゲ!お兄様!?」


「麗しい貴族の兄妹のやり取りじゃないのよ……ルシオは妹の味方なの?」


「うんにゃ、敵だぜ!」


「いけ!四天王!!あんな奴兄でも何でもないわ!」


「うわやめ……ひっくしょん!」


 動物愛護精神と猫アレルギーでルシオは苦戦している。


「ドルシーが帰ってこないと俺が親父にドヤされて面倒くさいんだ!いってぇ!引っ掻いた!……うぅ鼻水ぅ!」


「今日は夫もいないから帰ってちょうだい」


「くそ〜!覚えてろよ!」


 トリーシャが退出を促すと、美貌の貴公子は鼻水を垂らしながら涙目で敗走した。


「ふっ……良くやったわ、四天王達」


 猫達の女神ドルシーが四天王を労う。


「いつまでもは匿えないんだからね」


「わかってるわよ!」


 ドルシーは不貞腐れてしまった。

 トラブルに巻き込まれたくないけど、ドルシーには前に助けて貰ったから何とかしてあげないと……。

 

 

 

 

いつも読んでいただいてありがとうございますฅ^•ω•^

ルシオは名前がテキトーなところも含めて結構好きなキャラです。


気が付いている人もいるかも知れませんが、アリアンナの名前の由来は、作者ありあんと、から来ています。性格ちょい悪そうで強かそうな女の子に憧れがあったりなかったりしまする。

そして、作者名は可愛い女の子っぽい、アリア〜系の名前に見せかけて、昆虫由来です。蟻です。

何処かで書いた事があるような気もしますが、蟻antです。

可愛いと思いきや虫けら!?みたいな一発ネタです。もう少し捻った名前にすべきだったかと偶に後悔するような感じです。


いつも誤字報告ありがとうございます!

お手数おかけしまくってしまって申し訳ないですが、

(>人<;)頼りにさせていただいてます!

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