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第3-8 アリアンナの事前準備

 子供達が拍手でアリアンナを讃える中、大人達は大人気なく、アリアンナの勝利を告げた先生に詰め寄る人もいる。


「ロザリー!」


 スチュワート夫人の声が響き渡る。

 ロザリーが駆け出して講堂を出て行ってしまったのだ。


「僕追いかけてくるよ!お母さんはこれ持ってて!ミケ、行くよ!」


 王子様……もとい、レオがミケと共にロザリーを追いかけて行った。

 トリーシャは……迷った上で職員として大人達を宥める為に残る事にした。

 レオはしっかりしているし、学園の内部で迷う事も無いだろう。

 警備も問題無いから危険は無いはず。


「トリーシャさん、それは?」


 レオに渡された絵本をセオドアが指差す。


「子供達がお揃いで持ってたものよ」


 手元の絵本に目を落として……表紙に描かれたお姫様の絵を見る。

 そして、母親と喜ぶアリアンナを見る。


「……なるほどね」


 カラクリがわかった。

 投票権を持つ人のうち、最大勢力は子供達だ。

 アリアンナ……というよりボーマン家は自分の娘に似たお姫様の絵本を大急ぎで作成して子供達に配っていたのだ。

 それによって子供達の中での、このお話のお姫様のイメージはアリアンナに近くなる。

 髪の色といい、ドレスのデザインといい、今日のアリアンナは特に絵本から飛び出したかの様な仕上がりだ。


 大人達は演技が上手い方を選ぶべきだと思っていたが、子供達はよりお姫様に近い方を選んだのだ。


「ずるいなぁ〜……」


 戦略勝ちだ。

 トリーシャとしてはロザリーに今からでも変更してもらいたい気分だ。

 演技力もだが、正面からお互い競い合って欲しかった。

 しかし、子供達の意見を覆してしまって良いものだろうか?

 

 セオドアは絵本を見て素直に感心している。


「なるほど……賢いですね」


「とにかく、場を納めてレオ達を探しましょう」


 セオドアも加わった事で、貴族である親御さん達を速やかに退出させる事に成功した。

 一息ついたトリーシャに話しかける女性がいた。


「あの……少しお話を宜しいですか?」

 

 見覚えの無い人だ。

 落ち着いた雰囲気の妙齢の女性だ。


「何でしょう……?」


「劇のお話の事なんですが……あ、ワタクシは…………」


 名前を聞いて、その女性が誰なのか分かって、トリーシャは目を丸くした。



 ♢♢♢♢♢



「にゃー!」


 ミケが鳴きながら、階段の下に素早く走っていくのを、レオは追いかける。


「……うぅ、くすん」


 女の子の泣く声に、少しだけ怖気付きながらも、レオはそっと静かに近付いていく。


「ロザリー、大丈夫?」


「…………レオ様。ごめんなさい。お見苦しいところを」


 ロザリーは顔をくしゃくしゃにしながら目を真っ赤にして泣いていた。

 握りしめたハンカチもグシャグシャに丸まっているので、レオは自分のハンカチを差し出した。


「僕はこのロザリーの方がお姫様みたいだって思ったよ。

 ドレス可愛いよ。とっても似合ってる」


「ありがとうございます…………」


 レオはそのままロザリーの隣に座る。

 ミケもロザリーに寄り添っている。


「ミケもロザリーが良いって言ってるよ」


 レオはお姫様を選ぶのをミケに任せようとしていた事を思い出していた。


「ふふ……嬉しい」


 ロザリーの目からまた涙の粒が溢れ出した。

 二人と一匹はそのまま暫く寄り添って座っていたが、ロザリーの目の赤みが少し引いた頃、レオはロザリーと手を繋いで講堂に戻った。


 

 

 

 

更新頻度がなかなか上がらずに申し訳ないです。

九月から家庭環境の変化があって、やることが多くなって体力をそっちに取られてる感じがあります。

しかし慣れればきっともう少し頑張れるはず!!

偉大なるキングよ!私に力を!!ԅ(ФωФԅ)


感想も頂いてヤル気は出てきてます!文字書く元気のない時は、今後のストーリーの妄想をしたり?準備にあてて突き進みますᕦ(ò_óˇ)ᕤ


誤字報告早速いただきました!

ありがとうございます!

フリック入力手が滑ったまま気がつきませんでした!

感謝╰(*´︶`*)╯♡


余分な送り仮名があった様です。

いつも誤字教えていただいてありがとうございます(((o(*゜▽゜*)o)))♡

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