第3-4 お姫様はどっち
レオの虐め現場を目撃してしまい、トリーシャは仕事の合間にコソコソとレオの様子を窺う様になった。
同僚のジンジャーも協力してくれているし、ミネルヴァ学園長に一度トリーシャの不審な様子を見られてしまったが、溜め息を吐かれただけでお咎め無しだった。
ごめんなさーい。
コネ入社だし、他の同僚達に嫌われないか不安だったが、ジンジャーに相談したら笑われた。
コネなんてほぼ全員がそうなんだから気にする人なんて居ないそうだ。
良かった……のかな?
今のところは同い年のクラスメイトとは仲良くやっている様子だ。
まだ、6歳では髪と目の色なんて気にならないのかも知れない。
今のところレオは特にどこのグループにも属していない様子だ。
どの男の子ともそれなりに話をしている。
そして、ロザリーと取り巻きの三人によく話しかけられたり、偶にアリアンナと行動を共にしたりしているので、今の所は孤立する事は無さそうで安心している。
…………と安心していたのも束の間、問題が発生した。
学校行事で演劇をすると言うのだ。
そして、王子様役は女子生徒達の推薦ですんなり決まった。
勿論レオだ。
しかし……お姫様役は一人!
立候補したのはロザリーとアリアンナの二人。
一歩も引かない二人に、クラスが真っ二つに分かれてしまった。
そして、投票で決めることにしたのだが、なんと、投票権はトリーシャ含めた教師陣にもあると言う……。
「ねえ、レオ様はどっちがお姫様がいいの?」
「私ですわよね?」
レオは両手に花だが、厳しい選択を迫られていた。
「ぼ……僕…………僕は……………………」
レオは混乱している!
6歳児の男子には選べない!
どちらかを選んだら不味いことになるのを本能で察しているのだろう。
多分、カブトムシとクワガタどっちがカッコいい!とかなら秒で答えられそうだけど!
「早く決めろ!」
「オレならアリナンナの方が良い!」
「えー?でも見た目はロザリーの方が良くないか?髪がクルクルしてるから!」
男子達もやいのやいのと適当に囃し立てている。
レオはオロオロし続ける。
トリーシャも良い加減仕事に戻らないとと思いつつ、レオを放っておけない!
ここで入って行くのは流石に過保護?うう……仕事サボってばかりでごめんなさい!
その時、救いの声が上がった。
「にゃー」
レオを守る様にミケが女子とレオの間に割って入る。
「にゃー」
ミケはもう一度鳴いた。
四天王最弱猫はいつの間にかレオを守れる程逞しく育っていたのだ。
感涙。
レオも、そんなミケの背中を見て拳を握り、宣言する!
「僕は……ミケがいいと思った方にする!」
ミケに問題を丸投げした。
かくして、クラスのお姫様決定権は1匹の猫に委ねられた。
「……にゃー?」
ミケは女子達の視線が一斉に自分に向いたのを感じ取って、戸惑ったように鳴いた。
「ミケ様?」
「ミケ様……私と仲良くしましょう」
ロザリーとアリアンナがジワジワ近づく!
「――ッにゃー!!」
ミケは逃げた。
「追いかけろ!」
「逃すな!」
6歳児達が一斉にミケを追いかけて教室を飛び出した。
担当している教師もそれを追いかける。
「ど……どうしよう」
後には呆然としたレオと、慌てて物陰に隠れたトリーシャが取り残された。
「ミケ……流石に子供達に捕まったりしないと思うけど…………」
トリーシャはため息を吐きながら、ミケの逃げそうな場所の候補を考える。
ミケの好物を用意して苦労を労ってあげないとね。
いつも読んでいただいてありがとうございます!
このたび感想欄に区分が無くなって感想が書きやすくなりました。
でも、どうせなら画像とか付けてもらえるようにして欲しかったです。
読者様のお宅に猫様がいたら、参考画像の募集ができたものを…… (*ฅ́˘ฅ̀*)♡
誤字報告ありがとうございます(*・ω・)ノ♡♡♡
いつも何度でも、窺うを伺うにしてしまうんです……
そろそろ学習せねば( ˙-˙ )




