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第3-3 いじめ!?登場!悪役令嬢!

「何だよその目の色!変なの!」


 トリーシャが猫三銃士を引き連れて次の授業準備のために廊下を歩いていた時の事である。

 廊下の曲がり角の向こうから、男の子の声がした。


 コソッと向こうを覗き込む。

 目の色……と言えば…………。


「やっぱり!レオ!」


 体の大きさからして上級生……と言ってもレオと何歳も年の違いが無さそうなチビども二人に廊下の隅に追い詰められている。

 

 どうする!?もう出ていくべきかしら!?

 相手も貴族の筈だから暴力までは振るわないと思うけど……。

 

 トリーシャは親指の爪を噛んで目を吊り上げ、廊下の角から人殺しの様な目で年齢一桁と思しき少年達を睨み付ける。

 この時のトリーシャを目撃した人が居たなら、トリーシャ=悪い女神の化身説が確実に定着してしまっただろう。

 三銃士も顔をひょっこり覗かせて敵を窺う。

 相手は二人、こちらは三匹。数の上での勝利からか三銃士はトリーシャよりも落ち着いていた。

 強者はどっしり構えているものなのだ。


 それに比べて悪鬼の様相のトリーシャは、大人としての分別と教師の端くれの理性を自分の中で戦わせつつ、ガキどもをどう料理してやるか脳内でシミュレーションしていた。

 鬼気迫る恐ろしい顔だったが、幸いその様子を見る者はいなかった。


「この目を悪く言うのはゆるしません!あやまってください!」


 レオは毅然として言い返している。


「しゃー!」


 ミケも戦う気満々だ。

 最近少し大きくなってきたが相変わらずレオの肩に乗っている。

 毛を逆立てて歯を剥き出しにし、今にも飛び掛からんばかりである。


「何だと!一年のくせに生意気だぞ!俺は王子と親友なんだぞ!」

「そうだ!王子に頼んだらお前なんて牢屋に入れられるんだ!


 一触即発!

 その時、


 ――バンッ!


 レオ達のいる場所のすぐ側のドアが開いた。

 

 


 「ちょっと!今だれか私の悪口言わなかったかしら?」



 その時、妙に居丈高なのに舌ったらずな澄んだ声が廊下に響いた。

 聞き覚えのあるその声は……


「ロザリー?」


 レオがキョトンとその名を呼んだ。

 黄金に輝く縦ロールを手で払いながら、顎をシャクレさせて頑張って自分より背の高い少年達を睥睨しようとしている。

 その背後には二人のキツイ顔立ちの少女が二人。

 どちらもロザリーより年上だ。


 ……そうだ。ロザリーは悪役として原作にチラッと出てきたんだったわね。

 ヒロインの一人を取り巻きと一緒に虐めるみたいな。

 でも、アッサリと企みがバレて退学させられて……みたいな話で登場ページ数が少なめだったから忘れてた。

 ロザリーの挿絵とかも無かったし。


 ロザリーは公爵家に比べれば下になるが、スチュワート家は貴族全体の中では高位に属する家柄なので、こうして親同士の繋がりのある上級生を従える力があるのだ。


「何だよ!お前に言ってないだろ!」


 女子の怖さをまだ知らぬ愚かな少年が唾を飛ばしてロザリーに食ってかかった。

 少年の言うことは正しい。

 ……しかし、何が正しいかを決めるのは、時として、その場を支配する者だったりするのだ。


「何?ロザリー様にそんな口を利いて許されるとでも思ってるの!?」

「謝りなさいよ!」


 後ろの取り巻き達がグイグイと少年達に詰め寄る。

 手慣れてそうだ。

 少年達はオロオロしながら視線を彷徨わせる。


「いや……違くて…………俺らはコイツの目が気持ち悪いし、何か企んでるんじゃ無いかって……「はあ!?私の許可なくレオ様に話しかけないで欲しいんですけど!」


 ロザリーが言葉を被せつつ更に詰め寄る。

 この少女容赦ない。

 言っていることは意味不明だが、とにかく勢いがある。

 喧嘩に一番大事なものを心得ているらしい。


「そうよ!あんたたちどこの貴族よ!平民みたいなペラペラの服着て!」

「貧乏人!本当は貴族じゃないんじゃないの!?」

「学園の品格が下がるから出て行きなさいよ!警備員呼ぶわよ!」

「変な髪型!」

「靴もダサい!」

「眉毛がモジャモジャ!」


 悪役令嬢の機関銃の様な口撃に、少年達は涙目になり始めた。

 唇を噛んで手をグーにして泣くのを堪えてる。


「何!?男の癖に泣くの?ダサーい!」

「ママのところに帰れ!」

「えー?赤ちゃんみたーい!」


 女子は恐ろしい。

 泣きそうになってる程度で攻撃の手を緩めたりはしないのだ。


 流石に見兼ねてトリーシャが姿を現すと、少年達は逃げて行った。


「えーっと……みんな廊下では静かにしようね?」


 トリーシャは少女達に何を言えば分からずに、当たり障りのない事を言った。

 くそぅ……大人なのに情けない。


「あ!レオ様のお母様!ごきげんよう!」


「「ごきげんよう」」


 少女達は優等生然とした愛らしい笑顔を浮かべて、トリーシャが授業で教えたとおりに優雅に挨拶をしてみせた。

 何という落ち着き。

 末恐ろしさを感じて、トリーシャの額に汗が伝った。


「レオ……大丈夫?」


 トリーシャがレオに声を掛けると、レオはニコリと笑った。


「うん!大丈夫だった」


「にゃー」


 レオとミケが良いなら、まあ…………。


 原作ではトリーシャの方が悪役として上だったのにな。

 ロザリー……見直したわ。

 目が合うと、ロザリーは可愛く小首を傾げた。

 


 


 

 

 

 

◥(ฅ^>ω<^ฅ)◤


 ❤︎Ψ (˄ ΦωΦ ˄)↝


( m^ ° ω° )m



いつも読んでいただいてありがとうございます!

短編を10月5日にまた書きましたので、お暇な人は覗いてみてください(°▽°)


早速の誤字報告ありがとうございます!

誤字報告頂いていない話がもはや無さそうな?

いつも皆様に助けられております٩( 'ω' )و♡♡♡


またまた誤字報告ありがとうございます!

気をつけているつもりでも中々たくさんありました(^◇^;)

いつもとても有難いです(*´ω`*)

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