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第2-14 結婚式

「く……苦しい」


「若奥様頑張って!」


 トリーシャはメイドのメアリーにコルセットをギリギリと締め付けられている。

 今日は遂にセオドアとの結婚式の日である。


 ドレスはプリンセスラインの豪華絢爛で煌びやか。

 自分に似合うのかと不安だったが、そこはベテランのメイド達がバッチリメイクでトリーシャを改造して行く。


 ティアラは公爵夫人がかつて結婚式で付けていたもの。

 代々伝わる、所謂家宝という代物。


 教会で親族の前で盛大に行われた後に、屋外でガーデニングパーティが開かれる。

 そして、夜までぶっ通しで客が詰め掛けると言うから今から既に疲れてしまう。


 そして、疲れる理由は他にも色々。

 セオドアは今、公爵家の唯一の息子だ。

 家を継ぐのはレオだが、レオの継父になるのだからどっちにしろ王侯貴族が二人の婚姻をほったらかしていてくれる訳がない。


 つまり、王様が来る。

 ……今となっては国王が猫バカおじさんだと事前に知っていて良かったと思う。

 キングも勿論来る。

 キングに招待状を出したらキチンと肉球の押してあるお手紙で返事が来た。

 国王がノリノリで臣下の者にやらせたのだろう。


 …………嫌がるキングがインクを零し、担当者を引っ掻く様子が脳内にアリアリと思い浮かんだ。


 担当者様すみません。でも、どうせ招待しなくても国王はキングを連れてくるだろうし、国王には媚びを売った方が良いと考えたんです……。


「ほら、出来ましたよ。お美しいです……」


 メアリーが額の汗を拭きながら、満足げにトリーシャの全身を眺めた。


 トリーシャも姿見の中の自分に見惚れる。

 熟練した匠の技の化粧のおかげか、いつものキツイ吊り目は少し優しげで顔立ちも涼やかで清楚に見える。


「セオドア様とレオ様にも見てもらいましょう」


 メアリーは嬉しそうに、二人を呼びに部屋を出ていった。

 トリーシャが居どころなさげにソワソワとしながら、前髪を触って他のメイドに怒られたりしていると、程なく二人がやって来た。


「トリーシャさん……」


 セオドアが目を丸くしてトリーシャを見つめる。


「お母さん綺麗!」


 着飾っていつもよりお兄さんになったレオが、トリーシャに駆け寄って抱きついた。


「レオもカッコいいわ」


 レオに遅れて、モジモジとセオドアが近づいて来る。


「綺麗です。……本当に女神の様で……」


 セオドアの恥ずかしがるタイミングはよく分からないが、はにかんでいる顔は元が良いからか可愛く見えるのでヨシとする。


「セオドア様もカッコいいですよ」


 それは本心だ。

 モジモジソワソワするのをやめれば、王子様然として、この世全ての女子が憧れる整った容姿の持ち主だ。


「恐縮です……」


 早く謎キャラ止めて普段の涼しい顔した猪突猛進に戻って欲しい。

 しかし、トリーシャは逆に緊張がほぐれてきた。

 多分、セオドアなりに緊張して変になっているのだろう。


 トリーシャはセオドアの背中をバチコンと手の平で叩いた。


「ほら、しっかりして。二人の……いや、三人と四匹の新たな門出ですよ!」


「はい!」

「「「「にゃー」」」」


 セオドアに合わせてレオの足元に集まった猫四天王が返事をした。

 タマを筆頭に統率の取れた集団だ。

 今日は全員お揃いの首輪でお洒落をしている。

 首輪にはアイバン公爵家の紋章が下げられているので、パーティなどでも四匹に無礼を働く者は先ずいないだろう。


「さ、もう直ぐ式が始まります」


 メアリーに促されて家族全員で式場に向かう。


 トリーシャは外国の結婚式が実際にどんなものなのかは詳しくないが、小説が元になっているこの世界での結婚式はトリーシャの常識からそんなに離れたものでは無かった。

 作者が日本人である事が、世界観に大きく影響している様だ。

 ……もしかして作者も猫好きだから、登場人物であるこの世界の人もほぼ猫好きになってるのかな?


 何故か猫を連れて来ている人がチラホラいるのが日本の結婚式との大きな違いだ。

 でも、これは原作小説の影響ではなく、明らかにトリーシャのせいだろう。


 赤いカーペットの上をトリーシャは静々と俯き歩いていく。

 その長いベールをレオが手に持ってサポートしてくれている。

 親戚のロザリーとアリアンナは花を入れた籠を持っていたり、子供達が大活躍だ。


 猫達は完璧な静けさを以て肉球でカーペットの感触を確認しながらトリーシャの後に従う。

 堂々たるタマシロクロに遅れじとミケも少しだけ急足で、しかし優雅さを意識した足取りで頑張っている。


 そして、セオドアと共に神官の前で永遠の愛を誓った。

 トリーシャの胸も高鳴る。


「トリーシャさん……誰よりも愛しています」


 セオドアが今一度、トリーシャだけに聞こえる声量で、セオドアだけの言葉で誓った。


 誓いの口付けは少しだけ長く、猫達が尻尾を揺らし、その場にいた誰もが美しい二人の夫婦を祝福した。


 

 

 

₍˄·͈༝·͈˄₎ ੭ꠥ⁾⁾◯ ₍ᐞ•༝•ᐞ₎◞《なにしてる!

                早く逃げろ!


 


₍˄·͈༝·͈˄₎?     ₍ᐞ•༝•ᐞ₎◞ ₍ᐞ•༝•ᐞ₎◞ ₍ᐞ•༝•ᐞ₎◞

          《風呂の準備が始まった!


₍˄·͈༝·͈˄₎!!!



₍ᐞ•༝•ᐞ₎◞ ₍ᐞ•༝•ᐞ₎◞ ₍ᐞ•༝•ᐞ₎◞ ₍˄·͈༝·͈˄₎ ◞ =3=3=3=3










いつも誤字報告ありがとうございます(;ω;)

国語の勉強になります!

精進せねば٩( 'ω' )و



いつも読んでくださりありがとうございます!

そして!!!いつも!!!!いいねを!!!!!毎話!!!

押してくださっているのですよね!!!???ありがとうございます!!!!!!!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] お風呂ですよ四天王確保ーーーーー!!! タマさん達のおしゃれの裏にはメイドさん達の知られざる苦労が…
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