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第2-12 お嫁さん候補?

「ご機嫌よう!ロザリー・スチュワートと言うの。レオ様、私と仲良くなってちょうだい」


「ご機嫌よう、レオ様。わたしはアリアンナ・ボーマンと申します。

 未来の公爵様と会えて光栄です」


 親戚の女の子二人が現れた。

 親同士の挨拶の後に、女の子二人がそれぞれ挨拶をする。


 ロザリーは金髪を見事な縦ロールにした女の子だ。気合いの入った赤いドレスがよく似合っている。少し吊り目のパッチリとした灰色の瞳は気が強そうだ。


 一方で、アリアンナは淡い水色のドレスで柔らかくカテーシーをしてみせた。

 アッシュブラウンのサラサラの髪に少し垂れ目で大人しそうな、優等生の雰囲気。


「ようこそお越し下さいました。

 僕はレオ・アイバンです。

 どうぞ親戚同士仲良くして下さい」

「にゃー」


 肩にミケを乗せたレオがニッコリ笑って挨拶をした。

 レオもちゃんと女の子を迎えるに当たってお洒落させている。

 ちょっと大人びた上着を品良く着こなしている。流石だわぁ。流石私の息子だわぁ。

 親バカになっちゃう。


「ウチの猫を紹介するよ!こっち来て!あ、肩にいるのはミケだよ」


「わあ……可愛いですね。ミケちゃん、アリアンナです。よろしくね」


「よく肩から落ちないわね」


 6歳児達は今の所問題なく仲良くしてくれそうで良かった。

 タマ達も上手いことよそ行きの顔で振る舞ってくれることを祈る。


「レオ様は随分とご立派になられましたね」


 スチュワート夫人が自分の娘にタマを抱かせているレオを見て満足そうに赤い唇の端を持ち上げ微笑んだ。

 娘の縦ロールは母親譲りらしく、夫人も中々に目立つ容姿をしている。

 

 ロザリーはおっかなびっくりで、抱きしめつつ座り込んで、タマの頭をそっと撫でている。

 シロは目の前に垂れ下がるクルクルのドリル髪に猫パンチしている。

 オモチャじゃないわよ……。


 アリアンナはクロに近付いて捕まえようとしては、逃げられるを繰り返していた。


 おっとりして見えるボーマン夫人が、カップを置いて、そう言えば……と手をポンと叩いてからその話題を出した。

 

「レオ様もうちのアリアンナも来年から学園に入学になりますね。

 やはり寄宿舎に入るのですか?」


「そうですね……私達はここを離れるわけには行きませんから、心配ですけど」


「将来の公爵様だもの。早くに自立させないといけないのよね。

 ロザリーも寄宿舎には早めに入れる予定よ」


「…………お二人がそうなさるのなら、アリアンナも考えてみようかしら」


 ボーマン夫人も考えを改めた様だ。

 ………………もしや、寄宿舎に入れるのが遅くなったら、レオのお嫁さん候補として出遅れると思ってかしら?

 などと、トリーシャはつい穿った見方をしてしまう。

 レオを大事に思うなら、貴族間の人間関係の機微には敏感でなくてはならない。


 その時、足元に気配を感じて視線を落とす。


「あら、タマ。こっちに来たの?」


 抱き上げて膝に乗せる。

 タマの後を追って来たらしいロザリーが、赤いスカートをたくし上げて小走りで近寄って来た。


「まあ、ロザリー端ないわ」


 スチュワート夫人が娘を窘める。


「ごめんなさい、お母様。

 タマが走っていってしまったから……」


 レオとアリアンナも気が付いたら近くに来ていた。


 ロザリーがジッと灰色の瞳でトリーシャを見つめていた。


「……何かしら?」


 子供の真っ直ぐ過ぎる目線に少したじろぎそうになる。


「……トリーシャ様の瞳も、レオ様とおんなじで珍しい菫色ですわね!」


 ロザリーがニコッと笑いながら言った。


「ロザリー!酷いわ!そんな事言うなんて!」


 アリアンナがロザリーを非難する。


「謝って!」


 アリアンナは矢張り優等生キャラの様だ。


「謝るって……何に……」


 ロザリーは目をパチクリしていた。


「……ごめんなさいね、トリーシャ様。ロザリーが不躾で」


 スチュワート夫人が娘に代わって謝罪した。


「いいえ、特に気にしていませんわ」


「トリーシャ様は寛大でいらっしゃるのね」


 ボーマン夫人が垂れ目を笑みの形にして、褒めてくれるが、本当に何も思っていないので居心地の悪さを感じる。


「ごめんなさい……レオ様のお母様」


 ロザリーも釣られて謝る。

 その金髪の頭をトリーシャは優しく撫でた。


「良いのよ。菫色の目って珍しいわよね。

 レオと同じ色だから私は気に入ってるわ。

 あなたも菫色が嫌いじゃないなら嬉しいのだけど」


 相手は6歳の子供だし、トリーシャには悪意がないのにそんなにとやかく言う趣味はない。


「嫌いじゃないです!」


 ロザリーがパッと顔を上げて言った。


「そう、嬉しいわ。

 レオとも……猫達とも仲良くしてね」


「はい!」


 ロザリーは素直過ぎる性格の様だ。

 貴族社会で苦労する気がするが、同じ吊り目族としては頑張って貰いたい。


 レオが学園に入る前に知り合いが出来て良かった。

 これで孤立することはないだろう。


 でも、やっぱり離れて暮らすのは寂しいかも。

 

 


 


 

 

 

 

 

 一人の男がキジトラと一緒に森の中を歩いていると、跳ねるバッタに気を取られたキジトラが足を滑らせて湖に落ちてしまいました。


「うわー!キーちゃん!」


 男が慌てて助けようとすると、泉の中からハニーブロンドに金色の瞳の美しい女神が茶トラを抱えて現れました。


「あなたの落としたトラ猫は、このキング・ゴールデンドラゴン・オブ・ゴッドタイガーですか?」


「違います」


 男は即答しました。

 なんだあの超巨大デブ猫は。

 こちらを見下し切った……いや、世界の全てを下に見ている様な不遜な目をしている。

 名前……で良いんだよな?長々とした呪文みたいなのは聞き逃したが……何ちゃらゴッドとか言ってなかったか?


「では……あなたの落としたトラ猫は、こちらのクイーン・シルバーフェアリー・オブ・ゴッドタイガーですか?」


「………………違います」


 つい返答が遅れてしまう程の美しい猫でした。

 名前がやはり長過ぎる。

 しかし、どんなに素晴らしい猫も長年一緒に暮らしてきた家族同然のキーちゃんの代わりにはならない!


 泉の女神は優しく微笑む。


「あなたは正直者ですね。では、このキング・ゴールデンドラゴン・オブ・ゴッドタイガーとクイーン・シルバーフェアリー・オブ・ゴッドタイガー、そしてあなたの落としたプリンス・ブロンズナイト・オブ・ゴッドタイガーをお渡しします」


「ウチの猫に勝手に変な名前付けないで下さい。それと他の猫はいりません」



おしまい



いつもあとがき含めて読んでいただきありがとうございます(,,ΦωΦ,,)♪


いいね、を押すのをお忘れ無くよろしくお願いします

(,,ΦωΦ,,)♪


 

全話きっちり誤字脱字チェックしてくれてるお姉様?ありがとうございます(((o(*゜▽゜*)o)))♡♡♡

最近は頑張ってミスを無くそうとしていますが、元々の教養が私には不足していて難しいです(*´-`)

いつも頼りにさせていただいております!


 

 


 

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