第2-11 レオの将来
「レオの親戚の子?」
「はい。同い年の女の子が二人、仲良くして欲しいという事で今度親に連れられて来るんです。
親戚といってもちょっと離れているんですけど……」
今日はセオドアとのデート中。
最近話題になっていたカフェ……をなんと貸切である。
行ってみたいな〜なんておねだりしたらこれだ。
見た目だけなら大人しく、真面目そうに見えるのに行動力がオカシイ。
振り切れてる人間が莫大な財産のある家に生まれるとこうなってしまうのだ。
人気があるのも納得のお洒落な空間。
ちょっとメルヘンでガーリー嗜好な所で、勿論、平民でも利用は出来るが、それなりに裕福じゃないと難しいだろう。
だが、今は閑散としているので、普段の客層の実態はわからない。
静かな方が良いかと思って……とはセオドア談。
人気があるのも納得の甘味と香りの良いお茶には大満足だ。
しかし、次回からはもっと普通に利用したい。
今日はレオの好きそうなメニューを試してみている。
甘党なので連れて来たらきっと喜ぶはず。
閑話休題。
「仲良く……と言うともしかして…………」
同性ではなく、歳の近い異性である。
その意味は明らかだろう。
トリーシャの疑念にセオドアは頷いた。
「婚約者候補……でしょうね」
やっぱり!
日本人的な感覚では6歳児になんて早過ぎるけど、未来の公爵様なのだ。
そりゃあ、青田買いしたいと言う人は幾らでもいるだろう。
周りを出し抜こうと思ったら、早ければ早い程良い。
二人の少女が同時にと言い出したのは、片方が仕掛けようとして、その情報が何処からか漏れて慌てて参戦した感じかしら?
継母として、レオにはそういった争いとは距離を置いてもらいたい気持ちもある。
それに、原作では複数ヒロインが出てきていたけど……。
その二人は入っているかしら?
実は最新話までは追えてないから、複数出てきた中で誰と結ばれるか知らないのよね。
やっぱり性格が良くて周りから浮いてるレオに声を掛けてくれてた正ヒロイン感強い子かしら?
私はプライド高そうな子も好きだけどね。
えーっと……名前は忘れちゃった。
覚えているうちにメモでも取っておけば良かったかしら?
でも、小説に出てない女の子との出会いもあるだろうし、原作に拘る必要はないから変に介入せずに見守っておきましょう。
原作では、セオドアは死に、トリーシャに虐げられ続けたレオだったが、7歳頃には寄宿舎付きの学校に入れられる。
公爵家がトリーシャに学費をちゃんと渡していたのに、トリーシャはその殆どを着服していた。
レオは退学を免れる為に夜遅くまで勉強を頑張って奨学生になったりするんだけど、他の貴族達の家は多額の寄付金を出している中だから馬鹿にされたり大変な思いをするのよねぇ。
もちろんレオにそんな思いはさせない。
学費もしっかり払うし、寄付金も公爵家から直接学校に払って貰う。
勉強は……本人が頑張りたい分だけ頑張れば良いし!
それに……寄宿舎とかもう少し年上になってからでも良くない?
まだまだ子供なのに〜。
トリーシャは迫り来るレオとの別居生活に気が重くなる。
モヤモヤする気持ちをケーキにぶつける。
うん。美味しい!
そんな訳で、モテモテレオには無限のお嫁さん候補がいる。
見た目が不吉なだけでなく、性格が悪かった原作トリーシャと違って、原作レオは見た目は不吉でも他はハイスペだったから、避けられつつもしっかりモテていたのだった。
そのモテモテ生活のスタートが早まったのは、原作との乖離を感じる。
でも、トリーシャもレオの為を思えば、姑根性を発揮して嫁候補を厳しく審査しなくてはいけない。
「トリーシャさん……楽しそうですね」
「ふふ……そうかしら?」
トリーシャの笑顔は意地悪姑として既に堂に入ったものだった。
フォークでタルトを真っ二つにした。
「確かに……楽しみかも。ふふふふふふ」
恋愛話だーいすき!良い子だったら応援しちゃうわよ!
トリーシャは元々恋愛小説好きなので、心配しつつもどうしてもウキウキしてしまうのだった。
…………悪い虫には容赦しないけどね!
「キングは伯爵だ。良き妻が必要だろう。
そこで、国中の年頃の近い猫を集めて舞踏会を開こう」
王の鶴の一声で、お城でキングのお嫁さん候補を探すための舞踏会が開かれる事になった。
貴族だけではなく、平民にも招待状が届けられた。
シロクロタマが選外だった理由は謎。
そして、飼い主に連れられて王宮にひしめく猫、猫、猫!
お行儀の悪い子はその場で飼い主共々追い払われつつ、順番に国王とキングに挨拶をして行く。
キングは新しく国王に貰ったネズミのオモチャに夢中で、お嫁さん候補を連れて来るどの様な貴族や平民達のおべっかにも一瞥もくれなかった。
「やれやれ……キングに相応しい美しい心を持った美猫は存在しないのか……」
国王は溜息を吐いた。
その時、会場がガヤガヤと騒がしくなった。
招待客達が左右に分かれる。
そこに現れたのは一匹のサバ猫であった。
飼い主はいない。
ボサボサの毛並み、目脂が付いた瞳。
その猫はノラだった。
「まあ……なんて小汚い」
貴族達がその猫を見て眉を顰めた。
しかし、キングはそのサバ猫を見た途端、ネズミのぬいぐるみを放り出して駆け寄っていった。
足を止めたサバ猫に、誇り高いキングが自分から挨拶をした。
「みー……」
「何という事だ!この薄汚れたノラ猫が良いと申すのか!?」
国王は驚きながらも、キングの意思を最優先し、そのノラ猫を伯爵夫人と認めた。
そのノラ猫はしっかりとお風呂に入れてブラッシングをしたところ、輝く様な国一番の美しい猫であることがわかった。
このキングとクイーンの出会いは物語として纏められ、絵本となり、国中の子供達に読み聞かせられる事になったという事です。
キングの見る目の素晴らしさを啓蒙するための国家事業でした。
キングは超スゲェから当然ですね。
因みにクイーンは姉さん女房です。
おしまいฅ^ơωơ^ฅ
題名詐欺にならないように、ちゃんとレオくんの話を進めようと画策し始めました。
猫様方の活躍は自由度の高い後書きの方をメインにします。
本文だと巨大化したりビーム出させたりするとちょっと周りが大変なのでご容赦ください。
*₊ ₍˄✧༝✧˄₎━―*+*+:*+:*…☆