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第2-9 大臣補佐のお勤め

 大臣補佐の朝は早い。


「お母さん今日もお仕事?」


 レオとレオの肩に乗ったミケがキュルンとしたお目目で見上げてくる。


「ごめんね……国が猫だらけになったのはお母さんのせいだから頑張らないと……」


「猫がいっぱいなのは良いことでしょ?」


 レオは首を傾げた。

 トリーシャはレオの頭を優しく撫でる。

 ミケも気持ち頭を差し出してきた。

 ミケも撫でておく。

 

「それはそうなんだけど……不幸な猫もいるみたいだから」


「そっか。お母さんは僕だけじゃなく、猫達も助けてあげたいんだね。

 僕応援する!」


「ありがとう。元気が出てきたわ!

 頑張ってくる!」


 レオの応援が一番ね。


「「「にゃー」」」


 うちの三猫も、あの上司を見慣れると小さくてより可愛く見えてくるわ。


「いってきます!」



 うちの上司はちなみに当然だが、一切仕事をしない。

 猫なので当たり前だ。

 トリーシャが何でも指示を出している。

 部下は何人かいるので何とかなっているが、なかなか大変なのだ。


「あの……トリーシャ様、大丈夫ですか?」

 

 男爵令嬢のケイトが恐る恐るといった様子で、トリーシャ……ではなく、その頭上を上目遣いで見る。


 トリーシャの頭の上には尊き上司様が鎮座してる。


「大丈夫では無いけど諦めてるから。ありがとう」


 偉大なる我らが上司、キング・ゴールデンドラゴン・オブ・ゴッドタイガー伯爵はその質量をもって現在トリーシャを苦しめていた。

 トリーシャの首は悲鳴を上げている。

 首がグラグラする〜。


 仕方なく頬杖を突いて仕事をする。

 首の負担軽減。

 お行儀は悪いが、猫が頭に乗ってるのに行儀もへったくれもあるもんか。

 

「では、補助金を出して獣医師を増加させて……。

 あと、地域で出来る活動も広報しましょう。それで予算は…………」


 ふと、視線を感じて頭を上げると、ケイトがジッとトリーシャを見ていた。


「何かしら?」


 首を傾げ……ようとしたけど、重量的に難しいのでそのまま尋ねる。


「あ、いえ、その……」


「遠慮しないで良いわよ。こう見えて滅多な事じゃ怒らないから」


「その……」


 ケイトは遠慮がちに言葉を続ける。


「トリーシャ様はもっと気難しい人かと勘違いしてました」


「ふーん……猫を頭に乗せながら仕事をするなんて意外だった?」


「え……っと。いえ……あ、まあ……そうですね」


 意外じゃないと言われても困るので、それは良かった。


「私も目付き悪いけど、さらに目付きが凶悪なキングがいる事で対比で少しは優しく見える効果があるのよ」


 トリーシャは戯けてみせた。


「でも、頭に乗せたまんまじゃ大変ですよね。

 下に降ろそうとしても抵抗するし……」


「食べ物で釣れば簡単だけどね。

 でもこのおデブに食べ物あげ続ける訳にはいかないわよねぇ」


 猫奴隷王に甘やかされに甘やかされたキングは、見た目通りに大喰らいで、いくらでも食べる。


「無理に引き剥がせないですしねぇ」


 何と言っても伯爵閣下にして大臣にして、国王のご主人様である。

 手荒なことが出来ない。


 キングが怪我でもしてしまったら、どんな面倒な事になるのか。


「クイーンは痩せているのに」


 ケイトがキングをジトっとした目付きで見る。

 不遜ね。


「クイーンは結構動いてるもの。

 大喰らいじゃないし」


 キングさえ頭の上にいなければ、それなりに同僚に恵まれて楽しい職場なのに。

 膝の上ならいくらでも居てくれて良いのに何故頭なのか。

 髪型も絶対変になってるし。


 ――コンコン


 ドアをノックする音がした。


「どうぞ」


 入って来たのはセオドアだった。

 トリーシャが王宮勤めをする様になってから、たまに顔を出すようになってる。

 自分の仕事はどうした。

 因みにセオドアもルシオと同じく騎士団長だったりする。

 セオドアは第一騎士団。


「トリーシャさん!キングに困ってません?」

 

「困ってますよ」


 でろーんと頭の上で溶けてるキングで今は視界も悪くなってる。


「国王陛下にお願いして、家に連れて行く許可を得ました。

 タマに叱ってもらいましょう」


 果たしてトリーシャは我が家の守護神の加護を得て、キングの呪縛を逃れることが出来るのか!?

 

 

 

 

 



 

 

いつも読んでいただいてありがとうございます!

もっとセオドアとのイチャイチャも書きたいけど、にゃんこも書きたいし、レオも忘れてはいけないので、色々話が渋滞しています。




















『覇者ゴッドタイガー卿のはじまり』


 キングと国王の出会いは、王宮の片隅であった。


「おや?こんな所に小さな猫が……」

 

 母猫とはぐれてしまったのか。

 その小さく痩せ細った哀れな子猫は、抵抗することなく、ちんまりと国王の両手の平に乗って弱々しく鳴いた。


「みー…………」


 国王はその命の今にも消えそうな儚さに胸を打たれ、国一番の獣医を呼び寄せて世話を命じた。

 その子猫は命が消える寸前であったが、獣医師の必死の努力と、国王の切なる祈りが神に届いたのか、少しずつ健康を取り戻していった。


「この子が今後飢えることなく、強く生きていける様に素晴らしい名前を付けなくてはならない」


 国王は考えた。

 考えに考えに考えて、そして天啓を受けた様にその名前が脳裏に浮かんだのだ!


 キング・ゴールデンドラゴン・オブ・ゴッドタイガー


 後のこの国の支配者である。

 

読んでしまいましたね?

この話は罠です。

罠に掛かった人でまだ評価を付けていない人は諦めて星を付けまくってください。

そして、いいねもお願いします|ωΦ)ฅ



三毛猫ホームズを勉強のために読んでみる事にしました。うちにもミケいるし。神イラストレイターの椋本夏夜様の表紙の奴です。

猫をいかに活躍させるべきなのか、偉大なる作家の作品から学びます。



お金払った方が良いんじゃないかレベルでしっかり誤字見てくれてる人がいる。ありがたや( ˘ω˘ )人

そして作者のうっかりボンヤリ具合(^_^)v

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― 新着の感想 ―
[一言] ヒィ なんておそろしい罠! いよいよタマさんとの対決!?ニャンニャン四天王がんばれー!
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