遊戯と男
人外たちの中でひっそりと・・・ではなく、市の中心部にドンと構えたそれは、人間どもを誑かし狂わせる遊戯施設である。
中毒患者たちの財布を狙う人外たち。
そう、ここでは食うか食われるかである。
「遊ンデ云ッテモ悪クナヒデショウ。」
そう言って私の手を取ったのはまだ若い娘。
「イイヱ、ワタシハ先ヲ急グノデ。」
娘の手を放し歩み始めると後ろから罵言雑言が飛んでくる。
睨む目が私に突き刺さっているのを感じる。
「フンダ、金ノ無ヒ兄サンハ嫌ヒダヨ!私タチヲ見下シテルンダ。」
そう言われても振り向いてはいけない。彼らの思うつぼである。
幾重にも纏わりつき、生命力を奪っていく。
彼らは誑かしのプロだ。
「サアサ、今兄サンノ頬ニキスシタノハダアレ。」
目隠しを外すと3人の娘。
「右ノ子カナ。」
「ブー。ハズレ。」
「アゝ、マタカ。」
1枚ずつ渡していた金も、もう残りわずかである。
そういうことになりたくないなら、断る勇気が必要だ。
なに、男なら一回は失敗するさ。そうして覚えるんだ。
「ジャア、今度ハ手ヲ握ッテモラオウカナ。仕事柄握手ガ多ヒノデ、間違ヒハナイ。」
そう注文できるようになる必要がある。
そうすれば娘たちはピタッと動きを止め、悪態をつき始める。
「オ兄サン嫌ヒ。」
何のことはない。娘たちは都合よく正解を出していただけなのである。
客の期限を見つつ、時々正解させて良い気分にさせる。
あゝ、なんと馬鹿な男たち。
しかし悲しいかな、男は全員馬鹿なのである。
我々が女を弄ぶって?女のほうが、ずうっと私たちを弄んでいるじゃあないか。
どちらも弱者を良いカモにする。お互い様なのである。