第三話 迷子
「きついんだけどー・・・」
草原のど真ん中でクリアがつぶやく。その前を同じように、疲れている歩き方をしているフラッドは反応せずに黙々と進んでいく。
「ねぇーフラッドぉ・・・」
フラッドは無視して進む。クリアは無視されたのに少しムカッと来て、少し大きな声でフラッドに声をかける。
「フラッドー!」
またフラッドは無視。さすがにクリアは本格的にムカついてまた大きな声でフラッドを呼ぶ。
「フラッドー!!」
「うるさい!!」
やっと返事をしたフラッド。しかしムカついた顔をしていた。クリアはフラッドの顔を見て少し怖気づく。フラッドはまた前を向き、歩き始める。そして小さな声で言う。
「俺だって疲れてんだから・・」
と言った。クリアは自己中な考えだったな、と思って反省する。フラッドだって、こんな広い草原の中で疲れないわけないんだ。
「まさか、こんな広いとか思ってなくてさ。ミスったよな」
「うん」
「おいクリア。あとどのくらいか地図で見てくれ」
クリアは自分のポケットに入っているぼろぼろの紙を広げる。そこには広い大地が書かれている。クリアは地図とにらめっこをして一言言った。
「僕、地図の見方、分かんないよ」
フラッドはため息をついた。クリアは記憶をなくして何もかもを忘れてるんだ。
「地図貸して」
フラッドはクリアに手を伸ばし、地図を受け取る。フラッドは地図に人さし指を置き、現在地を示す。
「今は大体この辺だ。で、このコンパスから見ると・・」
フラッドは自分のポケットからコンパスを出す。
「ちゃんと南へ向かってるから、そろそろ着くはずなんだけど」
と言ってフラッドは辺りを見回す。だが、周りには村とか無く、ただただ草原が続いていて・・・・。クリアとフラッドは顔を見合わせて。
「無いよな・・・」
「・・うん」
迷子決定になった。こんな何も無い草原で迷子になるって大変だろおい。二人はうめく。
「何も無いってやばいよな?いや、ヤバイだろ。すぐに村に着くと思って水しか持って来てないし、すぐ死ぬっておいおい」
「え、死んじゃうの?嫌だよ僕。赤いの出して死んじゃうの?」
「いや、血は出さないけど、干からびるって言うか・・」
「干からびる?え、どんな状態?赤いのよりすごいやばい状態?」
「やばいのか・・?いや、なんか・・なんだろ。えぐい・・?」
「えぐい?どんなのそれ。怖いの?」
「まあ怖いかな・・?」
「嫌だよ僕。早く村に着かないと干からびちゃうでしょ?早く行こうよ」
「俺たち迷子なんだから、そうしたくても出来ねーんだよ!」
二人の言い合いはまだまだ続く。そこへ誰かが通りかかる。
「・・・どうしたの?こんなところで言い合いなんかして・・」
女の子の声だった。二人は声がしたほうを振り向き、ぽかんと口を開ける。何でこんな草原のど真ん中で女の子と出会うんだよ。女の子は白い大きな布をかぶり、肌が見えないようにしている。てか、本当に女の子なのかが不明だ。フラッドは女の子を指差して言う。
「え、何で、女の子・・・え、男の子?」
「女の子です」
女の子は答える。
「何で二人はここで言い合ってるの?中に入ればいいのに」
・・中?“中”とは何か。中なんてどこにも・・。女の子は少し考えて一言言った。
「ついてきて!」
女の子はさっさと進んでしまう。クリアはフラッドを見る。そしたらフラッドもこちらを見てきた。そして同時にこう言った。
「「行って見よう」」
女の子に付いて行くと小さな穴の開いた場所を発見する。女の子はそこに入っていく。二人はそこに入る。すると足が滑ったのかどんどん下に滑っていってしまう。
「「うわああああああああ!!!」」
二人は声を上げる。だが、女の子も滑っていたが、全然怖そうじゃなく、普通に滑って言っていた。むしろ微笑んでいる。二人は一番下まで滑っていった。女の子はきれいに着地したが、フラッドは前にのめり込んでる様に着地し、クリアはその上に座ってる状態で着地をする。クリアはすぐに退いたが、フラッドはのびている。
「大丈夫?いきなりだったもんね」
女の子は大きな白い布の隙間から、微笑んでくる。クリアはかわいいなぁと思った。そして女の子は大きな布を脱ぐ。その下は黄色いワンピースを着ている可愛らしい女の子だった。フラッドは起き上がる。少年二人は周りを見渡す。普通の村みたいだが、日陰でうす暗い。そして少女を見る。
少年二人と、何も知らない少女が出会った。
また長くなった。
やっと三人が出会いましたね!始めるよー!