【外の世界へ】
この物語はフィクションであり、登場する組織や人物は実在のものとは一切関係ありません。また、物語には独特な考えが表れますが、これは物語を読みやすくするための要素であり、私個人の信念とは異なります。この点を理解いただいた上で、物語をお楽しみいただければ幸いです。
ウークたちは排気口の出口へと出た。排気口から追われているはずが、なぜか誰も追って来ない。追っ手が来るどころか、出口にすら見張りはいなかった。あたりを見渡すと、雪景色がきれいで流氷が一面にあった。また、船では逃げることが不可能な孤島だった。というよりも島というよりは島として存在するのが精いっぱいの土地と表現する方がいいだろう。海より陸の方が低い位置にあり、塀で水が侵入してくるのを防いでいる。高波が来れば、一瞬で沈むだろう。しかし、簡単に沈むからこそウークたちはここに収容されていたといっていいだろう。ウークは周りに島がない。そのことに絶望した。ましてや、服でさえも寒さを守ってくれない。筋肉も脂肪もない軍団には寒さは最大の強敵だった。もう、寒さで逃げることは不可能だった。助かるには、この施設を乗っ取るしか方法はなくなった。ウークたち一行は排気口へと戻るのであった。
「モヤシ待ってろ。この施設を乗っ取ったついでに助けるから…」
ウークは絶望したが、すぐに前向きになった。そして、あのサイコパス施設長とウークの頭脳戦が始まるのだ。馬鹿と阿保との戦いか。それとも、鬼と神との戦いなのか。我々、読者である常識人にもわからない。ここから君たち読者は常人のままでは理解しがたい世界に入るであろう。さあ、君たちもバカになろうではないか。
次話、10月24日17時から公開予定です。