【異変の解明】
この物語はフィクションであり、登場する組織や人物は実在のものとは一切関係ありません。また、物語には独特な考えが表れますが、これは物語を読みやすくするための要素であり、私個人の信念とは異なります。この点を理解いただいた上で、物語をお楽しみいただければ幸いです。
寮につくとこの世界の異変を解明しようとウークは動き出す。動きたいというよりも何かを追い出したいという気持ちだった。ウークにはこの世界に信用できる人は一人もいなかった。なぜなら、ウークは「騙された世界」に今、生きていることを思い知ったからだ。しかし、ウークは分からない。この世界の異変に気づけてもそこから先は何もわからない。分かっていたとしても、ウークには解決することは無理だ。ウークは何も考えず、街を歩いた。そして、街から離れていくと、何かにぶつかって進めないところがある。コンクリートの壁にぶつかるというよりもスライムのようなものにぶちあたって、後ろから誰かに引っ張れるような感じがした。そして、無理やりでもその先に行こうとすると、黒板を引っ搔いているような音がヘッドフォンから聞こえるようだった。簡単に言えば、耳を包み込むような嫌な音だった。まだ、これでもうまく伝えられてないな。とにかく、人であれば誰でも嫌がるような音を出していた。何かわからない壁の先に行こうとする行為を数分間と続けているとスクランブル交差点(帝国東京大学前)に飛ばされた。ウークは数分間していた動作に疲れた。そして、スクランブル交差点の近くにある有名な待ち合わせ場所でもある「モッカ神前」のベンチに座り、一日中座って周りを観察していた。人の動きは決まって同じ。同じ顔・同じ服装の人が約一時間半ごとに全く同じ場所を通る。工事なんてしてないのに目をつむっている間に新たな建物ができる。そんな異変にはウークでも気づける。でも、でも、ウークには無理だった。謎を解くのは。
ウークは異変の原因を調べることをやめた。ウークは寮の部屋に閉じこもった。ご飯を食べるのもやめた。しかし、お腹は空かない。階段で転んでも何も痛みも感じない。そうだ。死のう。痛みも苦しみも感じないなら死ぬことなんてなんも怖くない。ウークは高いビルの屋上に立った。そして、飛び降りた。