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僕を知らない僕  作者: 太秦佑助
第二章
32/34

【壊れている男 小早川秀冬×モヤシ】

この物語はフィクションであり、登場する組織や人物は実在のものとは一切関係ありません。また、物語には独特な考えが表れますが、これは物語を読みやすくするための要素であり、私個人の信念とは異なります。この点を理解いただいた上で、物語をお楽しみいただければ幸いです。

小早川秀冬はホンシェンの拷問の様子を監視カメラの映像から見ていた。

「甘いな。やはり、中国の外交官はどこか手を抜いている。それは拷問じゃねぇ。南の蛮族は、我らの敵ぞ。殺す気で行かなくてどうする。死ねば、良いんだよ。」

小早川秀冬には殺意はあった。直接的な殺意と間接な殺意が交互に顔に表れた。というのもモヤシへの殺意と誰かへの殺意を抱いているように見えた。その殺意から、小早川秀冬はモヤシのいる拷問室に向かった。その向かう途中で、ホンシェンとすれ違った。

「何か聞き出せましたか。」

と答えは分かっているのに敢えて、小早川秀冬は質問をした。

「いや、何も聞き出せなかった。あいつは何かを隠している。それは間違いない。私の拷問術にかかれば、いずれ真実を吐くだろう。」

と、ホンシェンはドヤ顔でこちらを見てきた。しかし、拷問がうまくいっていないことを知る小早川秀冬はこいつ馬鹿だろと思いながら、ホンシェンから離れていくのだった。小早川秀冬が拷問室に着くと、モヤシの顔は白かった。顔が見えなくなるほど汗に覆われていた。

「よかったな。あいつの拷問が生ぬるくて。」

と小早川秀冬は言う。

「ああ。お陰でまだ命はつなげているよ。モッカの悪魔は見つかったかい。」

とモヤシが頬を緩めながら聞く。

「まだ、分からない。でも、奴を殺すチャンスならある。

そんなお前に殺してほしい相手がいる。」

と小早川秀冬は目をにやにやさせながら聞いてきた。

「だれだ。殺してほしい奴とは。モッカの悪魔か。それとも…」

とモヤシは不安に思いながら聞いた。

「いやいや、モッカの悪魔ではない。そもそも、モッカの悪魔は誰だかわからない。それよりも、まずはホンシェンを殺してほしい。」

と小早川秀冬の口からまさかの人物の名前が出てきた。

「ホンシェンとは誰だ。」

とモヤシは聞く。

「ホンシェンは先ほどお前に拷問していた奴だ。そいつを殺せ。」

と小早川秀冬が言う。

「そいつって、仲間じゃないのか。」

とモヤシは思わず、疑問を口にした。

「ああ。仲間だ。でも、俺が死んでほしいと思っている人間だ。ただ、俺の手では立場上殺せない。だから、お前に殺してほしい。あとは、処理するからお願いだ。」

と小早川秀冬が土下座をしてきた。

「ああ。それくらいのことならいいよ。僕もちょうどあいつの拷問には飽き飽きしていたところなんだ。」

モヤシは、人を殺す気はなかったが、小早川秀冬に話を合わせた。突然、小早川秀冬が注射針を取り出すと、モヤシに刺した。じわじわとモヤシの体には感覚がなくなっていった。小早川秀冬はモヤシの感覚がなくなるのを確認すると、カッターの刃をポケットから取り出した。そして、モヤシの左の手の親指と爪の間にカッターナイフの刃を無理やりねじ込ませた。

「これで、あいつを殺せ。」

と小早川秀冬は言うと、右の親指も同様にカッターナイフを無理やりねじ込ませた。小早川秀冬は満足すると、笑顔で拷問室を出た。

小早川秀冬という男のサイコパスな面が出ていたと言っていい。ただ、ホンシェンを殺させるのであれば、カッターナイフの刃をモヤシに渡せばよかった。しかし、モヤシの爪と指との間にカッターの刃を差し込んだのは紛れもなく、モッカの悪魔への恨みがある。それよりも、モヤシが南の蛮族だからといった方が納得はいく。モヤシのことをモッカの悪魔ではないとは思っていた。しかし、小早川秀冬は、南の蛮族は苦しんで死んでほしいと思っている。だからこそ、無駄な行動をしてしまった。その行動はモヤシを敵に回してしまった。モヤシは完全に小早川秀冬と嘘でも味方になることはない。

小早川秀冬がモヤシのもとから離れた後、モヤシは恐怖に襲われていた。それは、痛みへの恐怖だった。痛みは麻酔のおかげで襲ってこない。いや、麻酔のせいでというべきかな。とにかく、モヤシはカッターナイフが刺さった指を見ながら、さらに恐怖を感じていた。痛みはないが、体中がむずむずする。そのむずむずが体中を襲い、尿意さえも感じられた。さらに、体中の隅々から汗が出てきて体を冷やした。まるで、自分が冷凍保存されているような感覚に襲われた。モヤシは痛みに叫ぶのではなく、恐怖に叫んだ。血反吐が出るほどの叫び声だった。その叫び声は、だいぶ離れた部屋にいた小早川秀冬にも聞こえた。小早川秀冬はその叫び声を聞くと、腹を抱えながら笑っていた。


次話、11月16日17時から公開予定です。

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