VS.ハルトⅡ part1
放たれた氷塊が、ハルトの目の前で大きく右に逸れる。そのまま壁を突き破り外へと飛び出していき、元の魔力となって霧散していった。
「…………」
突然の出来事に、ハルトはナイフを握りしめたまま固まっていた。困惑した表情のまま、意識をリオンの姿をしたナニカへ向ける。
「はぁっ……はぁっ……」
そこに映っていたのは、肩で息をしながらも鋭い眼光を此方へ向けるリオンだった。
「先輩……なのか?」
「ああ、ようやく戻ってこれた……」
そう呟き、杖を出現させハルトへと向き直る。その瞳には危うげな光は無く、ハルトのよく知るリオンの瞳だった。
「随分とヤバい魔術に手を出してんじゃない?」
「僕もそう思うよ」
そう言うと、二人は同時に魔術を放つ。一つは烈風、一つは雷光。二つの力は激しくぶつかり合い、破壊の嵐が辺りを包む。
ハルトの放った烈風の斬撃を、雷の矢で弾きそのまま壁に縫い留める。そのまま返す刀でリオンが放った雷球は、上下から襲う風の牙により噛み砕かれて霧散する。
だが、リオンは霧散した魔力を利用し、矢継ぎ早に炎の渦を発生させてハルトを取り囲む。
「……やるね、先輩」
「余裕をかませる状況か?」
その言葉と共にリオンが杖を掲げると、炎の渦はその幅を狭めていく。
だが、ハルトの表情からは余裕の色が消えることはなかった。
「はあぁっ!!」
気合を込め、ナイフを渦に向かって斬り上げると、そのままナイフを覆っていた風の刃が炎を吸収し、熱風へと変貌を遂げた。
「ふぅんっ!!」
ハルトはそのまま、灼熱の熱風を横薙ぎに振り抜く。その紅き嵐はリオンの首を溶断せんと、荒れ狂いながら迫る。
「くっ……うおおぉぉおおお!!!」
リオンは障壁を展開し、眼前の熱風を防ぐ。そのまま、障壁で熱風を無理矢理掴むとハルトのナイフから引き剝がし、力任せに振り回す。
振り回された灼熱の嵐は、部屋の中を暴れまわりあちこちを焼き焦がしていく。その中にはエアリアたちと戦っていた魔物も含まれていた。
回復をする余裕もなくそのまま焼失していく魔物たちに、エアリアとカレンは驚愕と恐怖の視線を向ける。
だが、その二人には一切の傷がないのは、流石と言ったところか。
「お荷物まで守りながらなんて、随分余裕があるじゃないか」
「お前くらいならな」
「言ってくれるっ!!」
リオンの挑発に、イラついたハルトが風の斬撃を連続して放つ。その内のいくつかがエアリアとカレンへと飛来していく。
だが、恐怖で引きつった表情の二人の目の前で、風の刃が凍って砕ける。
「僕の目の前で、仲間を殺らせると思うか?」




