表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/265

魔物の正体

リオンは叫んで、雷を纏わせた剣を構え駆け出す。

もうこんな茶番には付き合ってはいられない。さらに霧を濃くしようと、魔物が体から吹き出しているが、もうそんなこともどうでも良かった。


ーー対話を放棄し、突撃するのみか……程度が知れるな


火球を放ちながら言っても、まったく説得力が無いが、リオンはもはや意にも介していない。

目の前の魔物の言葉にはなんの意味も無い。ただ、それらしいことを口にしているだけだ。

「そんなことを言っていられるのも今の内だけだ!」

リオンは雷剣から、斬撃を連続して飛ばす。だが、今度は魔物も学習したのか、大きく動くことはなく、斬撃のいくつかはそのまま素通りしてしまう。当たったものも障壁ですべて防がれてしまうが、そうだとしても構わない。

重ねて、リオンは剣に風の魔術を纏わせると、それを突きの要領で、前方へ切っ先を向ける。剣先から放たれた風の魔術は竜巻状となって、魔物へと向かう。


ーーむぅっ、これは……


障壁を展開していた為、動くことの出来なかった魔物は、そのまま竜巻に包まれる。

凄まじい烈風が空間を支配したその後、霧がすべて晴れ、魔物も姿を表す。



「な、何だと!?」

「ウソ……あれって……」

今の今まで、確かにそこには魔物がいた。四つ足の体、それを包み込むゴワゴワとした赤褐色の毛皮。

赤黒い瞳を血走らせた魔物がそこにいたはずなのだ。

だが、竜巻が消えたその場所にいた、否あった物は大型の“起動車バイク”だった。その“起動車バイク”には四人の男女が乗っていた。




「やはりな」

リオンだけは分かっていたような顔で呟く。


ーーどうして分かった……?


起動車バイク”の上部に取り付けられた箱から声が聞こえた。あそこから声を出していた為、ガサガサの不快な声になっていたのだろう。

「そもそも、人の言語を理解する魔物は滅多にいない。それがこんなボロボロの建物に住み着くはずもない」

ずっと引っかかっていたこと、進化で片づけるにはどうしてもいかなかったこと。

人間の言葉を話す魔物が、こんな僻地で強盗まがいのことをするなんて腑に落ちなかった。

「人が魔物のフリをしていたのか……」

そう、この時代の人間は、魔物を見たことがある者はほとんどいない。騎士団に入っていても、知らない魔物の方が今は多いだろう。




四人は、それを利用したのだ。魔物を見たことが無いのなら、それがどんな姿、どんなことを口にしようと気が付くことはない。

なにせ本物を知らないのだから。

だが、いくら魔物を見たことが無くても“起動車バイク”を魔物には間違えないだろう。

その問題は、

「あの霧は姿を誤魔化す為っスか」


ーー…………


カレンの言葉の通りだった。霧の魔術を使うことによって、真の姿を覆い隠し魔物の姿をその霧に映し出す。

そうすれば、後は周囲が勝手に魔物だと勘違いしてくれるという訳だった。

誤算があるとすれば、魔物をよく知る存在が現れたら一気に瓦解する作戦だったことだ。

ちょうど今の状況のように。


ーーだが、まだ我らが負けた訳ではない


四人はアクセルを吹かしながら、三人へと“起動車バイク”を突っ込ませる。

リオンたちが身構えたその瞬間、黒より黒い漆黒が視界を覆った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ