表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/265

親娘

カレンは両親に向かい、頭を深々と下げた。

「お願いしまス。どうか二人への同行を認めてくだサい」

「……」

両親は言葉を発することなく、お互い顔を見合わせている。自分たちの娘がせっかく帰ってきたと思ったら、危険なことをすると言い出したのだから無理もない話ではあるが。

「……お前が行ったところで何の役に立つんだ?」

「そうよ、ご迷惑になるだけだから、やめなサい」

当然、二人から返ってくる言葉は、反対するものだった。

それでも、カレンは食い下がった。なぜそこまでするのか、カレン自身にも上手く言葉にすることは出来ないが、そうしなければいけない気がしたのだ。

「お願いでス。ウチはここで行かなければ、一生後悔してしまう気がするんでス。それは危険の中に身を投じるよりも嫌なんでス」

「カレン……」

母親は悲痛な面持ちで、頭を上げようとしない我が子を見つめる。その瞳にはうっすらと、涙の粒が浮かんでいた。

「いいや、だめだ。三番街へ行かせるのはお前の夢の為だから構わなかったが、今回は違う。お前は魔物討伐をするのが夢なのか?」

父親は、毅然とした態度で愛娘の懇願を突っぱねる。それは、カレンの夢が魔道具職人だと分かっているからだろう。魔物討伐はその夢に何ら関りはない。 

「でも、ウチはもう大人っス。自分の道は自分で決めっ……!?」



カレンがそこまで言いかけたとき、乾いた音が店内に響いた。

母親が、カレンの頬をはたいたのだ。瞳に大粒の涙を浮かべ、頬には溢れた涙が筋を作っていた。

「そりゃあ貴方は世間から見れば、もう大人よ。でも、私たちにとってはいくつであっても、可愛い娘なの。それを危険な目に合わせようとする訳ないでシょう!!」

震える声で自身の胸の内を吐き出し、うずくまる母親。それを優しく抱きとめながら、父親も続ける。

「お前が魔物討伐を仕事にしているなら、ここまで反対はしない。お前が何をやりたいかをよく考えろ」

父親の言葉は、あくまでカレンのことを想ってのものだった。証拠に、父親の目にも大粒の涙が溜まっている。

「父さん……母さん……それでもウチは行きたいんでス。これが、今ウチのやりたいこと……ううん、やらなければいけないこと、なんでス」

カレンはそれでも諦めない。心に決めたことは必ずやり遂げる、それがカレンにとって一番大事なことだった。

「ウチはもう決めたんでス。二人に付いていくって」

「本当に、それがカレンにとって大事なことなのか?」

「ハイ」



カレンの力強い眼差しに、両親は諦観したように、ため息を一つこぼす。

だが、その表情はどこか誇らしげでもあった。

「分かった。この方たちへの同行を許そう」

「ホントでスか!?」

「でも、一つだけ約束して。必ず三人で無事に帰って来るって」

母親のその言葉に、リオンとエアリアは驚く。まさかこちらの心配までしてくれるとは思わなかったのだ。

「僕たち、もですか?」

「ええ、この子を守るために、あなたたちが傷ついては意味がありまセん。だから三人無事で帰ってくだサい」

「分かった。必ず、この三人でここへ戻ることを約束しよう」

エアリアの言葉に、カレンが顔を輝かせる。

「じゃあ、ウチも行っていいんスね!?」

「ああ、だが決して勝手な行動はしないこと。私か、リオンの後ろにいるんだ。離れたら守ってやれなくなる」

エアリアの注意に、カレンはコクコクと頷く。

そしていつの間に準備していたのか、カバンを背負うと、

「さあ、そうと決まれば早速出発っス!!」

そう言って外へと出ていく。

リオンとエアリアは、そんなカレンの様子に顔を見合わせながら苦笑した。


「やっぱり同行を許可したの失敗でしたかね」

「かもな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ