表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/265

危険な謎

両親は“魔道通信機シェアガジェット”を持ってくると、そこへこの街の地図を表示し、魔物がやってくる場所、いや、根城にしている場所を指示した。

「あの魔物は、この地域の廃ビルを住処にしています。攻め込もうにも、罠が多く手が出せないと聞きます」

「魔物がこの街に住み着いている!? そんなことあり得ない!」

リオンが思わず強い口調で否定してしまう。カレンの両親は、その表情に僅かに怯えたような様子だった。

「リオンさん、どうか落ち着いて欲しいっス……」

「あ……すみません。ちょっと引っかかって……」

カレンが取りなしてくれて、リオンは申し訳なさそうに腰掛ける。



街に住み着く魔物。

それはリオンの常識の中では絶対にあり得ない存在だった。街を破壊し、そこに暮らす人々を殺戮しつくす。それが、リオンにとっての魔物だった。

「あの、魔物が街に住み着くなんて、今は普通なんですか」

特に疑問を抱いていない様子で話を聞いていたエアリアに、リオンは小声で尋ねる。

「いや、聞いたことはないが、そういった種類もいるんだろうな」

魔物について詳しくないが故に、それほど疑問を抱かずにいるようだった。カレンも言わずもがなだった。

「そんなに、魔物が街に住み着くことが不自然なんスか?」

「廃墟ならあり得たけどね。人がいる場所にいることはないはずなんだ……」

まるで、自分に言い聞かせるように、リオンはカレンの言葉に答える。正直、この時代にやってきてからは常識が通用しないことばかりだった。なので、魔物が不可解な行動を取っていても、おかしくはない。

大体“魔王”からして、元人間なのだ。その影響で魔物の生態も大きく様変わりしているかもしれない。それはあまり考えたくはないことではあるが。



「とにかく、この廃ビルへ行ってみよう。ご両親、情報を感謝する。必ず、この街に不利益にならぬよう約束する」

「いえ、お役に立てたのなら幸いでス。頑張ってくだサい」

「どうかお気を付けください。お二人に何かあれば娘も悲しみます」

「何言ってるんスか。ウチも一緒についていくっス」

両親の激励の言葉に、カレンが驚くべき言葉を発した。

「何言ってんだ!? カレンを連れていけるわけないだろ!」

「そうだ! あまりに危険すぎる、君はここで待つんだ」

二人は口をそろえて、カレンの言葉に反対する。それは当然でもあるが。ズブの素人のカレンを魔物討伐に連れていくなどあり得なかった。それでなくとも不可解な点の多い案件なのだ。何が起こるか分からない。

カレンの両親も驚いた表情のまま固まっている。



「でも、ウチがいた方が、魔物を退治した時の言い訳もしやすいのでは?」

「う、それは……」

なかなか痛いところをついてくる。目立たないように行動をするといっても、他国の人間のみでは厳しい部分もあるだろう。だが、カレンがいるならばそのあたりの問題も少なくなる。

「どうしますか?」

「だめだ。いくら何でも、ご両親の前で危険な魔物討伐に連れていくなどいえる訳がない」

エアリアの態度は頑なだった。確かに、自分の娘を危険と分かっていて送り出す親などいないだろう。

事実、両親はエアリアの言葉に安堵したように、胸をなでおろしている。

だが、カレンはなおも食い下がった。


「なら、二人を説得したら連れて行ってくれまスね?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ