暗き街 part2
「助けてもらえるんでスか?」
カレンには、二人がなぜ旅をしているのかは分からなかったが、この街を救うことが寄り道であろうことは分かる。
それでもリオンは、迷わずこの街のために動くと言い、エアリアもまたそれに頷いている。
心強いのは確かだし、とてもありがたい言葉だったが、カレンにはその理由が分からなかった。
「目の前で困っている人を見て、助けない選択肢は僕には無いな」
「私もだ。騎士としても、人としてもな」
二人は、さも当然であるかのように言ってのける。確かに、ここでこの街を救っても、これからの旅において重要な手掛かりが入手出来たり、大きな助けになるようなものが手に入る確率は低いだろう。
ハッキリ言って、メリットが薄いのだ。それでも目の前で苦しんでいる者がいて、自分たちはそれを何とかできる力を持っている。それだけで手を差し伸べるには十分な理由だった。
「あ、ありがとうございまス!!」
カレンが深々と頭を下げる。長いこと、損得勘定で動くのが当たり前の環境にいたので、それなしで誰かのために何かをしてくれる者は初めてだったのだ。カレンとて、逆の立場だったら無償で助けたかどうか分からない。それくらいクウドで生きるということは金がすべてなのだ。
二人は、そんなカレンに微笑みかけると、先ほどとは違う店の中に入っていく。店内は、同じように薬品を販売している店だった。
(似たような店で売り上げを食い合わないのか?)
リオンはそんな疑問を胸に抱きながら、店主の元へ近づく。先ほどの店主よりも年を重ねた、初老の男だった。
「この街を襲う魔物について話を聞きたいんですが……」
だが店主は、リオンとエアリアの顔を一瞥したのみで、答えることをせずに顔を下げる。明らかによそ者のリオンとエアリアを警戒している様子だった。
「あ、あの……」
「あんたら、魔物の話を聞いてどうするんだ?」
なおも食い下がろうとするリオンに、不機嫌そうな顔を向け、ため息交じりに店主が聞く。その言葉の中には『迷惑』の二文字が見え隠れしていた。
「この街を襲うという魔物を討伐する。その為の情報を聞きたいのだ」
エアリアが店主に目的を伝えるが、不機嫌そうなその顔が変わることはなかった。
「余計なことはせんでくれ! あんたら、三番街傘下の街の者どころか、クウドの人間ですらないじゃろう。そんな者たちに助けられたと本社に知られたら、協力金の名目でいくら持っていかれるか分からん!」
そう早口で捲し立てられ、二人は店を追い出されてしまった。店の外では、カレンの浮かない顔が待っていた。まるで、こうなることが最初から分かっていたような顔つきだった。
「申し訳ないっス……」




