目的地は
「カレンの故郷?」
リオンは、逃走劇を繰り広げている最中、田舎から出てきたと言っていたのを思い出した。
「はい、ウチは二十一番街から出てきたんでス。ホントはお金を貯めて、二番街へ行きたかったんスけど……」
そう言って、寂しそうな表情でカレンは俯く。
その言葉に、エアリアは納得がいったように頷いている。
「そうか、だから君は、この三番街で魔道具の販売をしていたのか」
一人で納得されても、リオンには何のことやら分からなかった。元々、この国はリオンがいた時代には、なかった様式の国なのだ。当然、その仕組みについて分かるはずもない。
「あの、どういうことですか? 別に、都会ならどこで商売を行っていても同じなんじゃ……?」
三番街と呼ばれたこの街も、相当な都会である。それこそガランの首都と同規模か、それ以上に。それほどの都会なら商売をすることに困ることはないだろう。当然、売れればだが。
「いえ、この国は主要都市によって、やりやすい商売があるんでス。ウチみたいな魔道具を売るなら、二番街か、せめて一番街へ出ないと中々生活は厳しいんでス」
「そうなのか、じゃあこの街だと何が主流なんだい?」
「三番街は、薬品関係でスね。さっきのトムス議員が、製薬会社のCEOを務めていまスから」
CEOというものが何かは、よく分からないが口ぶりからすると、いわゆるお偉いさんということだろう。
「だが、それを隠れ蓑にクローン製造などのバイオ研究に手を出すなど……」
エアリアは屋敷の方を振り返り、険しい表情を向ける。元々、三番街及び、その傘下の街はきな臭い噂が絶えなかった。他国のことなので、そこまで詳しく調査も行えなかったが、今回のことである程度、牽制は出来るだろう。
「あの、それで故郷の二十一番街まで行ってもらえますか?」
「ああ、それは構わないが、いいのかい? この街で資金を貯めて二番街まで出るんだろ?」
「そうしたいんスけど、見ての通り、ウチには商売の才能は無かったみたいっス……」
カレンは、務めて明るく言ったが、その胸の内は暗いものだった。家族に無理を言って、三番街へと来たにもかかわらず、ほとんど毎日食べるものにも事欠く有様。これでは一人前の魔道具職人など、夢のまた夢だった。
その上、この街の支配者たる、元老院議員から商売の禁止令を出されては故郷へ帰る意外なかった。
ここで二人に送ってもらえるなら、渡りに船。正直、帰るための路銀すら持ち合わせていないのが現状だった。
「まぁ、それで君がいいなら、こちらは構わないが」
エアリアの言葉に、リオンも頷いている。
これで、新たな目的地がとりあえずは決まった。
「じゃあ、二十一番街へ向けて出発ですね」




