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切り替わる斬撃

「エアリアさん!? これ……」

手渡されたカギを握りながら、スーツの男と激しい剣戟を繰り広げているエアリアにリオンは声をかける。

「その娘を逃がしてやれ!! この男たちは私が相手をする!」

その言葉に男は赤熱した剣を、より激しく振るう。

「はは、俺一人相手取るので精々なのにここにいる全員とだって?」

男の横薙ぎの斬撃を剣の腹で受け流しながら、返す刀で剣を突き出す。

「慣れぬ戦いだからと、甘えたことを私が抜かすとでも?」

突き出した剣を上に斬り上げ、男に距離を取らせるとそのまま火球を連続して放つ。



「くっ……しまった!?」

火球のいくつかを剣で受けた男だったが、それもエアリアの狙いの内だった。

弾かれた火球は、起動車バイクでリオンとカレンの二人に迫っていた男たちの何人かに命中し吹き飛ばした。

「今だ! 早く行け!!」

爆発が起き、包囲網に穴が開いたところに真紅の起動車バイクが疾走していく。

だが、その運転席にまたがるリオンの表情は恐怖と困惑に彩られていた。

「ぎゃあああ!? 制御があああ!!」

見よう見まねでアクセルを捻ったはいいが、まともな運転などリオンに出来るはずがなかった。

「きゃあああああ!?」

後ろに乗ったカレンも不安定なバランスのまま猛スピードで駆け抜ける起動車バイクに恐怖の叫びを上げる。



二人分の叫びを乗せたまま走り去るマシンを見て、男は小馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

「へっ、せっかく逃がせたのに当てが外れそうだなぁ?」

「いや、ここで貴様らを倒せばなんの問題も無い」

力強く剣を握りしめ上段に振り下ろし、炎の斬撃をエアリアは飛ばす。

「二度もあんたの思い通りにならないさ!」

その攻撃を水の魔術を込めた剣で受け止め、凄まじい蒸気を吹き上げさせると周囲の景色を白一色に染め上げる。

「おい! とっととあの二人を追え!」

男は配下を怒鳴りつけると、自身はエアリアへと袈裟懸けに斬りかかる。



「その判断の速さは、流石の騎士様だな!」

視界を奪われるや否や、即座にこの場から離脱し二人を追いかけようとしたエアリアを足止めしながら、男は剣から風の魔術を斬撃と共に放つ。

「チッ、貴様スイッチャーか?」

風の斬撃を炎の斬撃で斬り裂きながら舌打ちする。

複数の属性魔術を頻繁に切り替えながら戦うスイッチャー。

だが、基本的に魔術師に多く、剣士でスイッチャーというのはかなり珍しかった。

「業務上、この方が好都合でね」

仕事の都合、という少々世知辛い理由を語りながらも男は風の矢を放ちながら、その中に炎の矢をいくつか混ぜ込んでくる。



「くっ……この程度でっ!!」

エアリアは矢を防御術式で受け止めるがそれは悪手だった。

障壁に阻まれた風の矢に炎の矢がぶつかりその火力を大幅に上昇させてしまったのだ。

「あんたにしちゃあ甘い手を打ったな……」


もはや火焔の旋風となった矢に、障壁ごと飲み込まれたエアリアに男がボソリと呟いた。

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