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王都への道

騎士たちは、素早くその場からの撤収作業を行った。金属馬たちを起こし、中央に刺さったカギを抜くと金属馬たちはそのカギへと吸い込まれていった。

(収納魔術の応用か?)

当たり前に作業しているので千年後の世界では割とありふれた技術なのだろうと思い、特に口にすることはなかった。ここで何か言っても余計に怪しまれるだけである。

そのうち、一人の騎士が近づきまたカギを取り出し、先を地面に向けた。すると先ほどとは違う四輪の金属馬、というより馬が引く馬車と言った方が適当か、が目の前に現れた。見ると他の騎士たちも同様にしていた。



「さあ、乗ってくれ。これで王都まで帰還する」

エアリアに促されるままリオンは金属の馬車に乗り込む。中は結構広く、椅子の座り心地もなかなかのものだった。

(千年前の馬車はもっとひどい乗り心地で尻や腰が痛くなったっけ)

そんなことを思い出しながら、対面に座るエアリアへと視線を送る。薄い透明な壁の向こうに座る騎士へと指示を出し、馬車を走らせた。

「さて、リオンといったね。旅をしているといったけれどどこからどこへ、そして何のための旅なのかな?」

視線を戻し、エアリアが尋ねる。その声色には、隠そうとはしているが警戒の色が見えた。

(正直に話すべきか、どうするか)

リオンは迷っていた。おそらく、エアリアは悪い人間ではない。だが、自分の境遇を話したところで信じる者など到底いないだろう。逆の立場だったら、信じられる話ではない。だからといって、エアリアの鋭い眼差しの前では生半可な嘘では意味などなさそうであった。



「すみません、詳しくは離せないのですが、僕は魔王と戦うため旅をしています」

結局こう言うしかリオンには出来なかった。自分が千年前の人間などと言ったところで頭がどうにかなったと思われるだけである。

「魔王? 君はたった一人で魔王と戦おうと言うのか?」

「無謀なのは理解しています、ですが頼れる伝手もないのでこうするより他がなかったのです」

「ふむ……まあ、いい。では古代魔術も魔王と戦うために?」

「古代魔術?」

言ってから、しまったと思ったがもう遅かった。エアリアは途端に怪訝な顔つきに変わり、リオンへと詰め寄る。

「君は、自分の魔術がどういうものか理解せずに使っていたのか?」



やはり、きた。聞き返してしまったのは本当にまずかった。おそらく千年の時の流れの中で魔術の形態も大きく様変わりしたのだろう。何せ金属の馬を使って移動や、戦闘を行うまでになっているのだ。魔術だって変わっている方が自然である。

「理解はしています。ある事情で、古代魔術しか今は使うことしかできないのです」

それを聞いてエアリアは

「まあ、いい」

と、一言だけ言ってそれ以上何も追及しては来なかった。だが、王都につくまでの道中、ずっと訝しむような眼差しをリオンへと向け続けていた。

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